« ワーグナー 「パルシファル」第3幕 クナッパーツブッシュ指揮 | トップページ | バッハ 復活祭オラトリオ ヘリヴェッヘ指揮 »

2007年4月 7日 (土)

チャイコフスキー 交響曲第5番 アバド指揮

Asakusa_sakura_1 桜のある風景。
今日は、昨日撮った「浅草」のアサヒビールの○○○ビルを背景の1枚をどうぞ。

浅草には幸運なことに、隔週くらいで訪問しています。
しかも、訪問先はこの画像の近く。
隅田川沿いのビルの上階で、いつも厳しい打ち合わせを行いながらも、窓の外はこの○○○が鎮座していて、心和ませてくれるのであります。
ここからは、お花見も、隅田川の花火大会もベランダから臨むことができて、夢のような立地なのであります。そして、近くには、「カミヤバー」を始め、有名な店がたくさん。
そして、浅草は、日本人の各地のなまりばかりか、世界中の言語に満ち溢れる国際観光地なのであります。
だから○○○は、このオブジェ本来の意味であるところの「炎」。そう前進を意味する「躍進」をかたどっていると、ここに宣言しておかなくてはなりませんね。

Abbado_tyaiko5 今日の1枚は、そんな「炎」ような「躍進」が音楽の隅々に感じられる演奏を。
超メジャーとなった名曲、チャイコフスキーの第5交響曲を、「アバド指揮ロンドン交響楽団」で。

1970年、アバド38歳の録音。
そう、日本は万博の年で、大阪フェスティバルホールに、キラ星のごとく世界中から名オーケストラやオペラ団が訪れた。

当時はアバドは、デッカに数枚録音していたが、日本では「若い俊英」と評されるだけであった。

カラヤンやベームのドイツ系ばかりが本格扱いされ、イタリアの若い指揮者などは、「イタリア人らしくよく歌う」とか「明るい」とかいうレッテルしか貼られず、あまり聴かれなかったように思う。

そんなアバドを強力にサポートしたのが、DGである。
ロンドン、ベルリン、ウィーン、ボストンで、名門オケを相手にロッシーニは別として、カラヤンのレパートリーを次々に録音していった。
スカラ座とのヴェルディ、シカゴとのマーラーは、もう少しあとのはなし。
今日のチャイコフスキーもまさに、カラヤンの得意分野。
これ以前にニュー・フィルハーモニアと2番、このあと、ウィーンフィルと6番4番を録音したが、DGでは全集に至らなかった。
後に、全集の一環として、シカゴ響と。さらにベルリンフィルとも録音しているが、このロンドン響とのものは、アバドとの出会いの頃の、私にとって一番大切な1枚である。

響きが豊かで、かつ全体がしっかりとまとまっていて、交響曲としての枠組みが完璧なカタチで示されている。
でも、節度を保った豊かな歌に満ちていて、オケがニュートラルなものだから、しなやかな雰囲気は聴いていてホンワカとしてしまう。特に第2楽章。
終楽章も前途豊かな希望に満ちていて、前へ進む力に満ちているが、強引さは少しもなく、オペラの一場面のように劇的であると同時に、自然な感情の高まりが音に現れていると思う。

円熟の極にある、アバドという指揮者をこうした過去の演奏で聴いていただくのも、アバドが昔から変わらなかったことが認識できるものと思う。

|

« ワーグナー 「パルシファル」第3幕 クナッパーツブッシュ指揮 | トップページ | バッハ 復活祭オラトリオ ヘリヴェッヘ指揮 »

コメント

Yukoさんこんにちは
やはりあのビルはみんな呼び名が一緒なのですね(笑)
アバドのCDは持っておりませんでした。
と、いいますかオペラが先行して手が回ってません
Blogを読んでオペラだけではなく、今と昔の聴き比べも面白いものだと感じました。
ありがとうございます

投稿: おぺきち | 2007年4月10日 (火) 16時19分

おぺきちさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

○○○は今朝もまじかに見ましたが、朝日を浴びて、それこそ怪しく光ってましたぁ(笑)

演奏家の過去を知ることも、いかに立派になったか、またはそうではないか?が確認できて楽しいものです。
でも確かに、膨大なCDが溢れる中、手が回りませんよね。まったく。
私の場合、好きなアバドと数人の特定人物に絞ってます。

投稿: yokochan | 2007年4月10日 (火) 23時01分

 今晩は。クラウディオへの熱い思いがひしひしと伝わってくるような文章しっかり拝読しました。
 私は、アバドのチャイコは、シカゴを指揮した5番しか聴いたことがありません。でも思い入れの深いCDなのですよ。中学生の時に二度目に買ったCDの一つがこのアバドのチャイコ5なのです。初めて買ったCDは、シノーポリのマーラー5とレニーのベト第九、小澤さんの英雄の生涯でした。二度目に買い求めたCDがアバドのチャイ5とムーティのローマ三部作、ドラティの弦チェレ、それに戦争アクション映画「トップガン」のサウンドトラックCD(笑)でした。特にドラティのバルトークとアバドのチャイコは、慈しむように何度も何度も聴いたものです。CDが高かったですしね。今はチャイ5と言ったらムラヴィンスキー閣下のとメータ&ロサンゼルスのを一番頻繁に聴いておりますが、クラウディオのチャイ5も忘れた頃に聴きたくなる名盤ですね。

投稿: 越後のオックス | 2009年10月27日 (火) 22時22分

越後のオックスさん、おはようございます。
神戸のホテルでおいしい卵かけご飯で食事をすませたところです(笑)

アバドはチャイ5を3回録音しておりますが、私は一番古いロンドン響とのものが歌にあふれていて一番好きであります。
越後のオックスさんのCDデビューの数枚は、中々に本格的ですなあ!
あたしは、世代もありますが、お決まりの新世界、田園、未完成、第九でございますよ。
マーラーなんて聴いてる人はどこを見渡してもいないような時代でした(笑)

メータには、イスラエルフィルとの5番もあるんですよ。近くロスフィル盤を取り上げようと思ってます。

投稿: yokochan | 2009年10月28日 (水) 07時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: チャイコフスキー 交響曲第5番 アバド指揮:

« ワーグナー 「パルシファル」第3幕 クナッパーツブッシュ指揮 | トップページ | バッハ 復活祭オラトリオ ヘリヴェッヘ指揮 »