R・シュトラウス 交響的幻想曲「影のない女」 スゥイトナー指揮
まだしつこく続く「影のない女」。
ここまでしゃぶり尽くせば本望。「影のない男」となってもいい。~だってもう、子供なんていらないもん~おっをーっと、重大発言ですかね??
シュトラウスは「影のない女」の1919年の初演後、作品を愛するあまり1946年の晩年に、主要な場面からエッセンスを抽出し、20分あまりのオーケストラ作品を作りあげた。
冒頭の威圧するような和音から始まり、バラクの愛の歌や、乳母が見せる夢のような光景・・・・、オペラの展開に従って、原曲を知るものにとってお馴染みの旋律が次々と現れ、3時間30分の全幕のダイジェスト版のような幻想曲に仕上がった。
「バラク」の歌う音楽の比重が高いような気がする。
主要登場人物5人(皇帝夫妻・バラク夫妻・乳母)の中で、一番良識と優しさをもった人間が「バラク」ではなかろうか?
それは家族・兄弟、しいては身寄りのない子供達のために、必死に働くお父さんで、唯一自分の血を分けた子供(劇では果実と称す)を熱望する良心のかたまり。それが、ホフマンスタールとシュトラウスが描いた「バラク」。
二組の夫婦愛を賛美したオペラでもある「影のない女」。
妻を顧みない働くお父さん、そんな夫へ不満を募らせる妻。何だかちょっと昔の日本のような・・・、そんな気分である。シュトラウス一家はどうだったのだろうか?
少なくとも、今の日本の若い世代の働き手には考えにくい世界かもしれない。
妻も夫も対等に社会で活躍するが、わりを喰うのは子供達。
「スゥイトナーとベルリン国立歌劇場管弦楽団」が1970年頃に録音した当CDは、美しい演奏で、かつ歌の呼吸に満ちた素晴らしい演奏。
プフィッナーやヴォルフの珍しい曲も収められた1枚は、渋いがお薦め。
他の所蔵演奏。
「メータとベルリン・フィル」は切れ味豊か。
「シノーポリとドレスデン」は精緻でありながら、濃厚な歌に満ちながらも、オケの美しさに感服。
「シュタインとN響」はエアチェックの自作CDR化、これがまた素晴らしい。ベームもかくあり、と思わせるキッチリとかつ熱い演奏。
これにて、3夜に渡った「影のない女」は打ち止め。
お付き合いありがとうございました。
次月は、難題「インテルメッツォ」が控えております。
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コメント
またまた参加です。
ブログにつけられた懸賞金(じゃなかった、コメント)、「影のない女」がシュトラウスの中で今までの最高でしたね。隠れファンが多いんじゃあないでしょうか。かくいう私もそうなんですが。
「バラの騎士」が「フィガロ」、「アリアドネ」が「コジ」、「影のない女」が「魔笛」と、モーツァルトのオペラと関係付けられるからでしょうか?オペラが好きな人から見れば、モーツァルト・オペラは「フィガロ」や「ドン・ジョヴァンニ」、昂じてくると「コジ」なんですけれど、オペラを余り聴かないモーツァルト・ファンは「魔笛」が最高らしいそうで(モーツァルトの交響曲や器楽曲、室内楽曲は聴くのに)・・・。
交響的幻想曲の「影のない女」、調べてみたらバレンボイム=シカゴ、シノーポリ=ドレスデン、ティーレマン=ウィーン・フィルで持ってました。シノーポリとティーレマンはシュトラウス・オペラのオーケストラとして双璧なのだから言わずもがなですが、シカゴの豊麗かつソリッドの馬鹿ウマには卒倒です。
投稿: IANIS | 2007年4月17日 (火) 00時03分
IANISさん、連続いらっしゃいませ。
そう、以外なほどの人気作品ですね。
モーツァルトへの対比、なるほどであります。
そして、私はこの作品が、作者は意図的に避けたようですが、ワーグナーに一番近いのはないかと思ってます。
そうそう、ティ-レマンも持ってました。忘れてました。
シカゴですか!それは聴いてみたいものです。
投稿: yokochan | 2007年4月17日 (火) 00時16分