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2007年4月 6日 (金)

ワーグナー 「パルシファル」第3幕 クナッパーツブッシュ指揮

Matsusaka_castle_1 昨日に続き、お城の桜。
こちらは、三重県松阪城址の桜。
小高い平山にある城跡の天守閣があったあたり。
ここからは、松阪市内の眺望が望める好立地。
秀吉の時代、蒲生氏郷が築いたとのことで、信長の安土を参考に、町内は自由交易で栄えたといいます。
三井物産の祖、三井家もこの地が発祥とのこと。そんな由緒あるところがそこらじゅうにある。
いやはや、西日本の歴史は重い。
それに比べると、関東は江戸以降だから、関西から見ると、「東京なんぼのもんじゃい」というのもわかりますな。

Parsifal_kuna60 今日の金曜日は、キリスト教では「聖金曜日」。
イエス受難の日で、弟子達と「パンと葡萄酒」による「最後の晩餐」をとりおこない、「ユダ」の裏切りによりユダヤ教の司祭らに引き渡され、民衆の無慈悲な煽動による裁判で「十字架」に架けられる。

この「晩餐」でイエスが使った盃が「聖杯(グラール)」である。十字架上のイエスを楽にするために横腹を突いた「槍」が「パルシファル」において「アンフォルタス」を傷つけ、そして最後には開放する「槍」である。おまけに「聖杯」はこの時のイエスの血も受けている。
ワーグナー好きには、いわずもがなの物語だが、この「聖杯」を守る騎士達の王が、「アンフォルタス」から「パルシファル」へと引継がれ、その息子が「ローエングリン」と相成るわけ。

この「聖杯」を巡る伝説は、中世のアーサー王や騎士団の伝説と符合し、「聖杯」を探求する冒険・旅、しいては自己探求という放浪の旅を希求させた。
このあたりは微妙に「タンホイザー」の世界にも通じる。
日本人には理解しがたい観念として、こうした「聖杯探求」という行動通念が欧州人にはあったらしい。
 そして恐ろしいことに、かの「ヒトラー」も「聖杯探求」に憑り付かれた人物であった。
「聖杯」を所有することで、世界が支配できるという観念で・・・・。
事実、「聖杯」には不死・復活・再生・・といった秘蹟が込められているとされた。

人間の欲望と冒険への情熱、そして人間の魂の開放という宗教の概念を超えてしまう恐ろしい武器となりかねない「聖具」。恐ろしいことだ。
音楽で私たちを支配し、虜にしてしまう「ワーグナー」も「聖杯」を求め続けた一人なのかもしれない。

奪われた槍を奪還したパルシファルを迎えた老臣グルネマンツが、聖金曜日の奇跡と厳かに歌う。音楽は高揚し、胸が高鳴る感動を覚える。やがて緑の野辺は花に染まり、言葉に尽くせぬように美しい音楽が展開される。
クンドリーは、パルシファルから洗礼を受け、初めて涙を流すことを覚え泣き伏せる・・・。
素晴らしすぎる音楽の泉。ここにはワーグナーの毒なんてひとつもない。
純粋に美しい音楽のみがある。

Parsifal_4 戦後バイロイトのパルシファルの定番。
ヴィーラント演出とクナッパーツブッシュの指揮。
14年間続いたこのコンビによる演奏は、おそらくほとんどが手に入るかもしれない。
私は5種類を持つのみだが、今日の1960年盤は、即興的な要素と深淵な雰囲気に満ちた名演。

    アンフォルタス:トマス・ステュワート  グルネマンツ:ヨーゼフ・グラインドル
    ティトゥレル  :デイヴィット・ワード  パルシファル:ハンス・バイラー
    クンドリー   :レジーヌ・クレスパン クリングゾル:グスタフ・ナイトリンガー

      ハンス・クナッパーツブッシュ指揮  バイロイト祝祭管弦楽団

テオ・アダムやヤノヴィッツらが、脇役にチョロっと名を連ねているのも楽しい。
聖金曜日の夜に聴く「パルシファル」は格別でありました。
 

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コメント

こんにちは!
クナのパルシファルって現役盤でもいったい何種あるんじゃ~~っていうほどたくさんあるのですね。歌手も色々入れ替わっていて、どれも聴いてみたくなります・・・が、実は一番有名なフィリップス盤しか持ってません。アレは録音もキャストもいいですが、クンドリーがどうかなあ・・・といったところです。
こちらの1960年盤はタワレコのHPでは見つかりませんでした。クレスパンのクンドリーが色っぽそうな感じがします。

投稿: naoping | 2007年4月 7日 (土) 10時42分

yokochanさま こんにちは

クナの「パルジファル」、私もいくつか持っています。
長すぎて、聴き通すことはまったくできないんですが、爆~
同じCDも持っています。
バイロイトの「パルジファル」の最長演奏は、何と、かのマエストロ、トスカニーニの演奏だと聞いたことがあります。クナよりも遅いって、どんな演奏だったのかなって思います。

この記事を読んで、聴いてみたくなり、CDを探しました、爆~

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2007年4月 7日 (土) 15時26分

naopingさん、こんばんは。
歌手がみんな違うので全部聴きたくなりますよね。
このCDは、二千円代で購入しました。今は入手は難しいかもしれませんが、また姿を変えて出てくるでしょう。

そうそう、おっしゃるように「クレスパン」のクンドリーが実はこのCDの一番の聴きものなのです。もうふるい付きたくなるような魅力的クンドリーですぜ。ナイトリンガーもカッコイイし、おっさんのバイラーも以外や高貴な雰囲気です。

投稿: yokochan | 2007年4月 7日 (土) 23時06分

rudolfさん、こんばんは。
へぇ、トスカニーニが最遅パルシファルですか!
これは是非聴いてみたいですね。
レヴァインもかなり長いですが、リズムが豊かなので、そう意識させませんが、クナッパーツブッシュはやはり、独特のオーラをたたえた「パルシファル」をいつも作りだしていたと思います。

それにしてもトスカニーニ、気になります。

投稿: yokochan | 2007年4月 7日 (土) 23時11分

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