ハウェルズ 「楽園賛歌」 ヒコックス指揮
「しろつめ草」、いわゆるクローバー。この時期、道ばたや野辺にさりげなく咲いていたり、公園などでは群れなして咲いていて、妙にきれいだ。
その儚さがいい。
子供達が、首飾りにしたり、リースを編んだりしている休日の風景。
英国作曲家「ハーバート・ハウェルズ(1892~1983)」は抒情派で、エルガーやRVWの流れをくむやや保守的存在。
この人が大好きで、ショップでは必ずチェックする作曲家。
かなり早熟型の人で田園情緒に溢れた名作を書いたが、40代半ばにして、最愛の息子マイケルが9歳にして早世してしまう。
天使のよう顔を持ち、音楽とスポーツが大好きだったというマイケル。
家族でハウェルズの愛する故郷グロースターシャーで夏の休日を楽しんだ。
しかし、息子がポリオに冒されていたことが発覚しロンドンに帰らざるをえなくなった。しかしマイケルは空しく亡くなってしまう。
愛する息子の死により、ハウェルズの音楽は宗教的な深みを増し、息子を偲ぶかのような音楽を書き続けるようになる。
子を持つ、同じ世代の人間として、心が張り裂けそうになるくらいに同情できる!
そんな気持ちを持ちながら、ハウェルズが息子の死後1938年に書いた「楽園賛歌~Hymnus Paradisi」を聴くと思わず涙が出てくる。
これは、45分あまりの、独唱と合唱による6章からなる、神への感謝と死を悼むレクイエムなのだ。
切実なオーケストラによる序奏からして胸に響くものがある。
英語による歌唱は、ときおりラテン語による聖歌もまじえながら、希望・慰め・怒り・法悦といった要素を絡めながら、やさしくも劇的に進められる。
終章では、ハレルヤと独唱が極めて印象的に美しく繰り返し、静かな感動的な集結を迎える。なんて素晴らしい音楽なのだろう。
癒しの音楽なんて薬にしたくもない、人間の心情に溢れた、切実なる真実の音楽がここにあると思う。
S:ジョアン・ロジャース T:アンソニー・ロルフ・ジョンソン
Br:アラン・オウピ
リチャード・ヒコックス指揮 BBC交響楽団/合唱団
ヒコックスの指揮に、素晴らしい独唱陣・合唱、何もいうことありません。
このヒコックス盤のほか、ハント盤を聴いている。
ハンドレーやウィルコックスも聴いてみたい。
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投稿: Vanessa | 2007年7月29日 (日) 23時50分