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2007年5月24日 (木)

ベルリオーズ 幻想交響曲 アバド指揮

Ginza_6

銀座の街角から。

銀座の新参者、エルメスのある意味無機質な組みガラスのビルと、銀座の街並みの老舗不二家とキャノンの対比が面白い。

Abbado_berlioz_1ベルリオーズの幻想交響曲」が世に登場したのは1830年のこと。
ベートーヴェンの第9が1824年に初演され、シューベルトのグレイトが1928年。
シューマンはまだ交響曲を書いていないし、リストやワーグナーはまだ10代。ブラームスに至ってはまだ生まれていない!

「幻想交響曲」がもつ革新性にあらためて驚き。
リストやワーグナーが好んで取上げた「ライトモティーフ」は、この作品が原点とも言えるかもしれない。
夢想する作曲家ベルリオーズは、破天荒な生き方をしたが、その人生を写すようなこの交響曲。
恋に敗れた若い芸術家が、阿片自殺を図るが、致死量にいたらず、幻想に取り付かれ、恋する女性を裏切りと妄信して殺害してしまう・・・・」というすさまじい内容。
もう呆れて、ものが言えませぬ。
昨今の世の中では、あながちありえない話でもないところが恐ろしいぞ。

まあ、こんな内容を気にせずに、ベルリオーズが残した美しくも、賑々しい音楽に身を任せましょう。よく聴けば、ほんとうによく書けている音楽なんだから。

かつてこの曲にやたらとはまった時があった。棚には16枚の幻想が並んでいる。
どれも楽しんだ1枚だが、「アバドとシカゴ響」のDG盤は、目覚しい録音の素晴らしさも相まって、初出のときから愛着をもっている。
83年の録音で、シカゴ響は、ショルティがギンギンに頑張っている頃だったけれど、豪気なショルティの作り出す鋼のような音に比べ、アバドが振ると、強靭な音を背景にしなやかな歌に満ちた響きを出すようになった。
この幻想も、ブラス陣のとてつもない音塊に、さすがはシカゴと思わせるが、この演奏の真髄は第3楽章の「野辺の情景」ののびやかで、映画のひとコマのような美しいシーンの描写である。
若い頃は、断頭台や魔女のロンドの大音響に酔ったものだが、歳を経てくると前半の方が耳に馴染むようになってきた。

終楽章の鐘の音は、たしか「広島の祈念公園」の鐘を使ったはず。
今宵、「酒気帯び幻想交響曲」をしていると、なんだかんだ言って後半のはちゃむちゃな大音響に興奮を隠せない自分を見つけることになる・・・・。

アバドはロンドン響と日本にやってきたことがあって、バルトークのマンダリンと、この幻想を演奏した。他のマーラーを中心とする全3プログラムをすべて聴いたが、いずれも火の着くような熱く輝かしい演奏だった。
 超円熟のいま、例のドゥメダルのベネズエラのユースオケを指揮して、幻想をライブ録音しているので、近いうちに聴けるであろう。
いつまでも、若いマエストロである。

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コメント

yokochanさん、こんばんは! アバドのシリーズ、愉しく拝読させていただいております。
これがリリースされた時の衝撃は凄まじいものがありました。それまでは、「シカゴなんていうアメリカの機能オケは…」と軽んじていました。若気の至りでした(笑)。
ロンドン響との来日公演の「幻想」(とマーラーの第5)はFMで聞き、その熱演に圧倒されました。しかし、やはり完成度ではシカゴとの録音は別格と思えます。

投稿: Niklaus Vogel | 2007年5月24日 (木) 23時37分

こんばんは。
昨年、1000円になってからこのディスクを聴きました。じつはアッバードとシカゴ響って相性がいいんだなあというのが感想です。このコンビのマーラーもなかなかいい感じだったので。
「幻想交響曲」の演奏については、クレンペラーやノリントンの演奏が好きなので、アッバードはわりと中庸な感じがしました。明日、聴いてみます。

投稿: ピースうさぎ | 2007年5月25日 (金) 00時16分

yokochanさん、おはようございます。
アバドの幻想交響曲、生気に満ちた、爽快にして明晰な演奏でしたね。1980年代前半のDGの素晴らしい録音もあって、大変な名演だったと思います。ジャケットもエエです。ジャケット買いしたようなものですが、演奏もそれに見合う素晴らしさでした。
懐かしい1枚です。

投稿: mozart1889 | 2007年5月25日 (金) 06時20分

yokochan様 こんにちは。

アバドの「幻想」、断頭台の行進を繰り返してるところや、鐘の音が重く響いてるところが好きです。特に後半楽章の盛り上がりは凄まじいですよね。私も最近は、第2楽章のワルツだけ聴いたりと少しおとなしくなりましたが、久しぶりに全曲聴いてみようと思います。

投稿: HIROPON | 2007年5月25日 (金) 12時36分

niklaus vogelさん、こんにちは。
私もシカゴは、ショルティではなく、アバドやジュリーニによって、そのすさまじさに開眼しました。
LSOとの演奏会は、3夜とも、そこに居合わせただけに、忘れられない思い出です。マーラーの時はアンコールなしでしたが、幻想のあとは、ハンガリー舞曲1番が演奏されました。
この時のオケのノリノリ具合といったらなかったです。
アバドがシカゴの指揮者になっていたら・・・・。楽しい空想ですね。


投稿: yokochan | 2007年5月25日 (金) 12時40分

ピースうさぎさん、こんにちは。
アバドは、アメリカのオケとの相性が良かったようで、ボストン響ともいい録音があります。ショルティ後のシカゴや、メータ後のニューヨークの監督候補にも挙げられていました。

アバドの交響曲を次々に聴いて思うのは、ご指摘の「中庸」の美です。
いい意味で、音楽のみを純粋に味わえる良さがあるように思えます。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年5月25日 (金) 12時47分

mozart1889さん、こんにちは。
TBありがとうございます。この1枚は、私も懐かしい思い出がたくさんあるんです。アバド・イヤーの関連グッズは、今も後生大事に保管してあります。
アバドが幻想を録音するなんて、当時の彼の路線からは想像できませんでしたが、その演奏は純音楽的で、明晰なものでした。
ジャケットがまた名作ですよね。
TBさせていただきました。

投稿: yokochan | 2007年5月25日 (金) 12時55分

HIROPONさん、こんにちは。
今回久々に、幻想を聴きましたが、後半の大音響が辛いな、と思いつつも、実際はまんまと完全に引き込まれてしまいました(笑)
名作・名演・名録音であります。

投稿: yokochan | 2007年5月25日 (金) 12時59分

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昔はみんなが絶賛したアバドの「幻想」。今は、誰も褒めない・・・(^^ゞ。 でも、いまだにこの演奏がボクのデフォルトです。 「ああ、幻想を聴きたいなぁ」と思ったときには、このCDを取り出していることが多い。 このころのアバドは絶好調、新譜もどんどん出ていた。DGの国内発売元ポリドールも積極的に広告を打っていた。「アバド・イヤー」なんて勝手に作って、売りまくっていた(1981年頃だったように記憶しているんだが)。 さてこの幻想交響曲、ジャケットがカッコイイ。今もこのジャケットを上回る幻想... [続きを読む]

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