ベートーヴェン 交響曲第4番 アバド指揮
藤の花、これはやはり棚にたわわに咲き誇る姿が美しいが、山の斜面などに、人の手を経ないで 咲いているのも、その淡い紫が素適である。
甘い香りは陶然と人を酔わせるかも。
「ふたつの北欧神話の巨人にはさまれた、ギリシアの乙女」
シューマンがベートーヴェンの4番の交響曲を評した言葉。
個性的な大交響曲の狭間に咲いた愛すべき作品が好きである。
同時期の同番のピアノ協奏曲もいい。
エロイカであれだけ強烈な冒頭を作りだしているのに、以外や神妙な序奏による開始をともなう第1楽章。
そのあとの勢いある第1主題は明るく気分が開放的になるし、木管による第2主題も素適だ。
でも何と言っても、ロマンあふれる第2楽章のアダージョが好きだな。
ヴァイオリンで奏でられる美しい歌に満ちた第1主題。クラリネットのはにかむような第2主題。これらの背景には低音楽器の伴奏が常にやさしく伴なっている。
おっとりとしたのどかな雰囲気のトリオを持つスケルツォの第3楽章。
性急な開始が抜群の躍動感とともに発展し続ける、これも明るい終楽章。
アバドが80年代後半から90年代初めにかけて完成させた、ウィーンフィルとの全集。
クリムトのベートーヴェン・フリーズをジャケットに使ったシリーズは、1枚づつ発売され、全集完結に向けてCDを収集する無常の喜びを味わせてくれたもの。
アバドの音楽性にあった曲だけに、どこまでも伸びやかな歌に満ち、スッキリと実に気持ちがいい演奏になっている。
本音をいうと後のベーレンライター版よりは、ウィーンとの演奏の方が好き。
ウィーンフィルの美質をあますことなく引き出した、これはこれで個性的といえる全集の中でも偶数番号がいいのはワルターみたいだ。
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コメント
yokochan様 こんにちは。
私も、アバドのベートーヴェンはウィーン盤が好きです。と言いながらCDは2枚しか持ってないのですが、87年の日本での全曲演奏のテープを未だ持ってます。「4番」や「6番」の伸びやかな感じは、アバドがイタリア人だったことを思い起こさせますね。
投稿: HIROPON | 2007年5月18日 (金) 10時59分
HIROPONさん、こんばんは。
私もサントリーホールのライブは全曲持ってます。よくぞNHKさんは放送してくれたもんです。
ウィーンやベルリンでおりにふれベートーヴェンを演奏しましたので、かなりのライブを自家CDRにしてます。
やはり、4番、6番そして、7番がいいですね。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2007年5月18日 (金) 23時25分
今日は。たびたび失礼いたします。
ブログ主様が最愛のアバドについて書いた文章を次々に拝読しているところです。アバドのベートーベンは、2番と英雄と運命のウィーンフィル盤しか聴いたことが無いのですが、どれも素晴らしいベートーヴェンですね。明るい響きと歌心に溢れていて。高校時代のことですが、図書館のAVコーナーでレニーの英雄を聴いていたら、図書館の職員の方が「最近出たばかりのアバドの英雄は素晴らしいぜ」と教えてくれたので、聴いてみたのです。レニーに匹敵もしくはそれ以上の演奏内容に「アバド恐るべし!」と仰天したものです。その直後に自腹を切って購入した2番と運命のCDにもその純音楽的で真摯な演奏に深い感銘を受けたことは言うまでもありません。
投稿: 越後のオックス | 2009年10月28日 (水) 13時13分
越後のオックスさん、こんにちは。
赤穂で遅い昼食中です(笑)
アバドのベートーヴェン、偶数番号が最初気に入りましたが、やはりリズムあふれるアバドですから、奇数め素晴らしいことにあらためて感心してます。
ウィーンに、2種のベルリン盤を堪能してます!
投稿: yokochan | 2009年10月29日 (木) 13時26分