« プロコフィエフ 古典交響曲 アバド指揮 | トップページ | ヴェルディ 「オテロ」 ヴィントガッセン&F・ディースカウ »

2007年6月13日 (水)

ヒンデミット 交響曲「画家マティス」 アバド指揮

Grunewald_isenheim00 アバドの交響曲シリーズ、最終はヒンデミット(1895~1963)の「画家マティス」。

ヒンデミットは作風はさほど現代風でなく、比較的聴かれる作品は新古典的なものが多い。でも若い頃は過激作品もあるようで、聴いてみたいもの。
年代的にはそんなに昔の人ではない。
何と言っても、ウィーン・フィルの初来日時の指揮者として日本に来ているくらい。

Grunewald_isenheim03_full_1 その時何を演奏したか・・・、「ジュピター」にベト4に、ハイドン変奏曲に、なんと自作の「気高き幻想」などを指揮していて面白い。
1956年のこと。

交響曲「画家マティス」は、同名の歌劇から作り出された交響曲で、その歌劇はドイツ・バロックの画家、マティアス・グリューネバルトの生涯の一部を題材したもの。


Grunewald_isenheim04_full グリューネバルトの代表作は、現フランスのコルマールにある「イーゼンハイム祭壇画」で、真中の聖アントニウス像を取り囲むような3面の絵で出来た大作。
左上が、1面で「イエスの受胎告知と降誕と復活」。
真中が、2面で「イエスの磔刑とピエタ」。
一番下が、3面で聖アントニウスの誘惑」。

ヒンデミットは、この交響曲の3つの楽章に、「天使の合奏」「埋葬」「聖アントニウスの試練」と名付け、この絵を見たときの心の状態を音楽にしたかったらしい。

音楽はやや難解ながら、聞くほどに味わいが増す、スルメ系の音楽。
晦渋な雰囲気で始まるが、旋律はしっかりあるし、オケもよく鳴るように書かれている。
終楽章の終わりに築かれるクライマックスで、コラールが徐所にその姿をあらわし、金管で高らかに「ハレルヤ」が奏されると、かなりの感銘が味わえる。
聴き様によっては、かっこいい音楽であるともいえるかも。

Abbado_hindemith アバドは96年に、ヒンデミットの代表作を集めたこのCDを録音した。
得意とするレパートリーであり、緻密にスコアを見つめ、効果を狙わず渋すぎなくらいにじっくりと内省的な演奏に徹した感じだ。
ベルリンフィルのべらぼうなうまさは感じるが、意識的に押えられている様子で、もしかしたらオケの猛者たちはもっと爆発したがっていたのかもしれない。私はこれでいいのだろうと思う。
 もっと面白い演奏でいえば、バーンスタインやカラヤンを聴けばよい。

「気高き幻想」、「ウェーバー変奏曲」どちらもいい。
後者は、ロンドン響との旧盤のハツラツとした演奏も忘れがたい。

Abbado_2_3 これで、時代順に追って聴いてきたアバドの交響曲シリーズは終了。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、ベルリオーズ、ブラームス、ブルックナー、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、マーラー、シェーンベルク、スクリャービン、プロコフィエフ、ヒンデミット、以上15人がアバドが手掛けた作曲家。

逆にアバドが振らない交響曲作曲家は、シューマン、ニールセン、グラズノフ、シベリウス、ショスタコーヴィチ、英国作曲家など。

こうして見ると、アバドの好みがよくわかるような気がする。シューマンは声楽作品などはよく取上げているのに、交響曲はさっぱり。鳴らないスコアがもどかしいのだろうか?
 ムソルグスキー好きだから、ショスタコの14番あたりをやりそうだったけれど。
私としては、エルガーあたりを振ってくれたら、すごくいいんじゃないかと夢想している。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151893/15411661

この記事へのトラックバック一覧です: ヒンデミット 交響曲「画家マティス」 アバド指揮:

» クラシックCD紹介その33(ヒンデミット 「ウェーバーの主題による交響的変容」) [クラシックCD好きのホルン吹きニョッキ]
関東地方が梅雨入りして3日経ちましたが雨が降る気配がありません。雨でジメジメ鬱陶しいのは嫌ですが水不足はもっと困ります。しかし近年は温暖化で気候が不安定ですね。 今日紹介するCDは ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容 アバド指揮 ベルリンフ...... [続きを読む]

受信: 2007年7月 2日 (月) 00時18分

コメント

お晩です・・・。
交響曲「画家マティス」、僕はブロムシュテットで持ってますが、アバドは買いそびれてしまいました。ヒンデミートの前衛的(?)音楽といえば、一連の室内交響曲(アバドの録音あり。でも僕はシャイーで所有)のシリーズや短い初期オペラがそうなるんでしょう。でも、オペラの「画家マティス」(EMI、クーベリック)や「世界の調和」(オペラのまだ持ってませんが)は結構いい音楽だなぁ。

投稿 IANIS | 2007年6月13日 (水) 23時47分

IANISさん、こんにちは。
ヒンデミットは風貌も含め、渋いですが、確かにいい音楽です。
アバドがEMIに録音した室内音楽作品は揃えましたが、まだじっくり聴くまでには至ってません。
むしろ、オペラや声楽作品に興味大です。

投稿 yokochan | 2007年6月14日 (木) 09時30分

初めまして。

内容の濃いブログ楽しませていただきました。
ありがとうございます。

私も最近このアルバムを購入しました。

アバドのヒンデミット素晴らしい演奏ですね。
気品のある演奏で、むやみに鳴らしすぎないところが好印象です。

これからの愛聴盤になりそうです。


投稿 ニョッキ | 2007年7月 2日 (月) 00時16分

ニョッキさん、こんにちは。ようこそおいでくださいました。
TBもありがとうございました。
内容が濃いなどと、とんでもないです。
偏りの激しい思い込みブログなので恥ずかしいかぎりです。

アバドのヒンデミットは、晦渋な音楽を明快に聞かせてくれますね。
貴ブログで取上げてらっしゃる「ウェーバー変奏曲」も実にいい曲です。
よろしければ、アバド旧盤もお聴きください。
ロンドン響のブラスが輝かしいものです。

今後もよろしくお願いいたします。

投稿 yokochan | 2007年7月 2日 (月) 23時58分

 初めてコメントさせていただきます。
 イーゼンハイム祭壇画、これはコルマールのウンターデンリンデン修道院で実物を見ました、15年も前の話ですが。目に付き刺さってくるような「強烈な」色彩に感動しました。
 画家マチスというタイトルだと、グリューネバルトより(赤い色使いの)マチスの方を連想してしまいそうですw
 CDは、サヴァリッシュ/フィラデルフィアを一時期所有しておりました。いかにも「安全運転」といった感じで、
この曲に、粗野というかゴツゴツした雰囲気を期待していた私には、何か物足りませんでした。私の要求するものが、この曲のあるべき解釈なのか分かりませんが。

投稿 XY‘V‘YX | 2008年8月14日 (木) 23時23分

XY‘V‘YX さま、コメントありがとうございます。
実物をご覧になった由、とてもうらやましいです。
私も、マティアスでなく、原色のマチスの方だとばかり当初は思ってました・・・。
サヴァリッシュは未聴ですが、N響のFM放送を録音して聴いておりますが、こちらはなかなかです。

>粗野というかゴツゴツした雰囲気<
確かに、そんなイメージを持ちたくもありますね。
でもそうした雰囲気の演奏は誰のものが良いでしょうか・・。
亡くなったシュタインがベルリンフィルを指揮した、これもFM放送ですが、がっしり系の演奏でした。

投稿 yokochan | 2008年8月17日 (日) 23時55分

さて、誰の演奏が良いものか?難しいですね。
Hindemith自身が振ったBPOあたり可能性ありそうですが、高価なBOX SETでしか手に入らない(と思う)ので、未聴です。単売を願いたいところです。
 そういえば、BPOが初来日した際、指揮はHindemithだったと、何かで読んだ記憶があります。
 シュタインは、期待できそうですね。

投稿 XY‘V‘YX | 2008年8月19日 (火) 20時00分

XY‘V‘YX さま、こんばんは。
ヒンデミット自身の演奏があるのですか!しかも、ベルリンフィルとは。以外と淡白かもしれませんし、逆かもしれませんので、作曲者の指揮というのは侮れないです。
同じベルリンのシュタインの演奏のCD化を期待したいものです。
 それと、BPO初来日は、当初よりカラヤンでしたね。
ヒンデミットはウィーンフィルの小型編成による初来日であったかと存じます。

投稿 yokochan | 2008年8月19日 (火) 22時34分

56年のWPOですね。失礼しました。

投稿 XY‘V‘YX | 2008年8月20日 (水) 22時55分

コメントを書く