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2007年6月28日 (木)

ワーグナー  アバド指揮

Abbado2a 昨日6月26日は、「クラウディオ・アバド」の誕生日。1933年の生まれ、今年で74歳。

毎年アバドの誕生日には、とりわけ好きなCDを取り出して聴いているが、今年は1日遅れで取上げることとなった。

アバドとの付き合いは長く、1972年頃からかれこれ34年近く聴いてきたことになる。
ボストン響との「スクリャービンとチャイコフスキー」のレコードで完璧に好きになり、ウィーン・フィルとの来日公演のテレビ放送でダメを押すようにファンになった。

当時は、「メータ」「小沢」と並んで、「若手3羽がらす」と呼ばれた。今時3羽がらす、なんて言葉は死語かもしれないけれど、かつての昔は、中三トリオとかいうように3人を揃えて呼ぶことが非常に多かった・・・・。
3羽がらすのその後の活躍はここに言うまでもないが、当時は「メータ→小沢→アバド」のような人気・実力の評価だったように思う。
今振り返れば、アバドがポストのうえでも一頭抜きん出てしまったように感じる。
スカラ座、ロンドン響、ウィーンフィル、ウィーン国立歌劇場、シカゴ響(主席客演)、ベルリンフィル、というような錚々たるポストを歴任したのだから。
そして今も、腕っこきスーパーオケ「ルツェルン祝祭」を率いるほか、マーラー管、マーラー・チェンバー、モーツァルト室内管、かつてのECユースオケ、ヨーロッパ室内管等々、若手オケを数々設立・指導することも行なってきた。
音楽へ奉仕する真摯なアバドならではの経歴。名ポストもおのずと付いてまわるわけだ。

Abbado_wagner ベルリンフィルのジルヴェスターコンサートでは、毎年テーマを決めていた。
1993年の大晦日は「ワーグナー」特集であった。
ウィーンでの「ローエングリン」はあったが、ベルリンフィルとの本格的なワーグナーに、テレビの前でもうわくわくしっぱなしだった。

すべて暗譜で指揮をするアバドは、ワーグナーでもことさら構えることなく、いつもと同じように、見ようによっては楽しそうに見えたものだ。
明るい色調で、隅ずみまで見通しがよく、混濁しない響きは時にキラキラと輝いて聴こえるかのようだ。
カラヤンのねっとりかつ重厚なワーグナーとは雲泥の違いがある。どちらも、ワーグナーの本質をついていると思う。

  1.「タンホイザー」序曲
  2.「タンホイザー」~「おごそかな広間よ」  S:ステューダー
  3.「タンホイザー」~「夕星のうた」      Br:ターフェル
  4.「ローエングリン」~第2幕二重唱     S:ステューダー Ms:マイヤー
  5.「マイスタージンガー」前奏曲
  6.「マイスタージンガー」~「迷いだ・・・」   Br:ターフェル
  7.「ワルキューレ」~第1幕3場        S:マイヤー  T:イェルサレム
  8.「ワルキューレ」~「ワルキューレの騎行」

じつにいい選曲でしょう。
どれもこれも本当に鮮度は高く、かつオペラの感興にあふれていて、少ししか聴けないのが口惜しくてならないほど。
なかでも「マイスタージンガー」の前奏曲のハ長の響きは、アバド向きの音楽なだけにまったくもって素晴らしく、そのまま教会での合唱に突入してもおかしくない。
ザックスのモノローグの伴奏も、雰囲気豊かで極めて敏感な名演に思う。
ここでのターフェルのザックスは、立派だがちょっとマッチョすぎる。
 あと素晴らしさでは「ワルキューレ」!
月の明かりが差し込んできて、春が訪れる場面のみずみずしくもロマンテックな音楽作りに感銘の受けっぱなし。むせ返るようなロマンテックではなく、若く、今生まれたばかりのような新鮮な響きなのだ。
マイヤーや素適だが、イェルサレムは前半不安定。

このある意味ユニークなアバドのワーグナーは、その後さらに進化し、癌という大病を経て、「トリスタン」の超越的な名演奏をやってのけるまでの高いステージに上り詰めた。
その「トリスタン」の全曲録音が残されていないことが極めて残念、かつ音楽文化の大きな損失のひとつとなるであろう。

音楽への誠実な奉仕者「クラウディオ・アバド」、来年は「フィデリオ」を手掛けるらしい。
いまなお新しいレパートリーに取り組むアバド、健康とさらなる活躍をいつも願ってやまない。

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