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2007年7月21日 (土)

ウォルトン 交響曲第1番 B・トムソン指揮

Walton_thomson世界も日本も、身の回りのすべてが不安を来たしている。いつの時代もそうした不安はつきもの。
でもその圧迫感は日に日に増しているような気がしてならない。

そんな気分に押されるようにして作曲された音楽は、近世のものになるほど多い。

ウィリアム・ウォルトン(1902~1983)の作品は大半が戦前に書かれた名作が多い。
交響曲第1番は1932年から作曲され、1934年と35年に初演された力作。
ナチスが第1党になった頃にに作曲開始、ヒトラーが総統になった年に初演された。時はまさにきな臭さが漂い始めた頃。

そんな不安が1楽章からみなぎっていて、聴いてる方もかなりの緊張感に覆われる。
そんなシリアスななかにも、ウォルトンらしいブラスの大活躍するリズムのカッコよさが横溢していて、最初は落ち着かない雰囲気に戸惑いながらも、すっかりウォルトン・ワールドに乗せられて興奮してしまう自分を見出すことになる。
 2楽章のダイナミックなスケルツォ。続く3楽章のこれでもかと思われるくらいに重なりゆく悲劇的な様相の積上げには息詰まりそう。
でも4楽章に至って、状況は一変し、勝利への道を見つけだしたかのようだ。
フーガにより繰り広げられる壮大な音楽は、これまたカッコイイ。久しぶりに聴いていて、ヒンデミットを思い起こしてしまった。
打楽器が打ち乱れるエンディングは、爽快ではあるが、どこか不安をぬぐいきれないもどかしさも感じる。

ブライデン・トムソン」はロンドン・フィルとともに、ウォルトンの大半をレコーディングしてくれた。
一点一角を揺るがせにしない丹念な指揮ぶりと、元来熱い人なだけに、熱気に満ちた豪演が出来上がった。

ウォルトンは映画音楽もかなり残した。この交響曲も映画のワンシーンのような場面も感じることがある。そこには、コルンゴルドにも通じる魅力があると思う。

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コメント

 今晩は。過去記事に書き込み失礼足します。
 私は時々書き込みをかなり長い間遠慮してしまうことがあって、ブログ主様に「越後のオックス、久しぶりだな、どうしてたか心配してたぞ」などと声をかけられてしまうことがたまにあるのはご承知だと思います。
 それって実はブログ主様が命と同じぐらいかけがえのないものだと思っておられる英国音楽に物凄く暗いからなのです。「こんなオレがこんな立派で常連様も立派な方ばかりのブログにお邪魔していいのかしら」と思ってしまうのです。ホルストの惑星以外の曲さえほとんど聴いたことのない不届き者ですから…
 ウォルトンも全くの初心者です。高校時代にスラトキン指揮ロンドンフィルが長岡にきたことがありまして、序曲「ポーツマス・ポイント」をやったことがあるのですが、私のウォルトン経験はその程度でした。
 それが尊敬する大指揮者ジョージ・セルの、例の韓国ソニーの巨大ボックスを購入しまして、ウォルトンの交響曲第2番と管弦楽のためのパルティータを初めてききました。
どちらもいい曲ですね!ヒンデミットやバルトーク、それにオネゲル、コルンゴルトを思わせるものも確かにあります。特に第2交響曲はどの箇所もカッコいいです。このボックスにはウォルトンのヒンデミット変奏曲も入っていてこれから聴いてみたいと思います。第1交響曲も件のトムソン盤かプレヴィン指揮ロイヤルフィルの名盤で聴いてみたいと思います。

投稿: 越後のオックス | 2013年3月13日 (水) 18時48分

越後のオックスさん、こんばんは。
そうですよ、少し間が空きましたね。
季節の変わり目だし、ご自愛くださいよ。

そして、なにも臆するこなく、お好きなタイミングでコメントください。
こちらの方が、新設記事に追われ対応できませんで、申し訳なく思っておりますくらいです。

いつもコメントいただける皆さんは、とても紳士的だし、なによりも、いろんなことをお教えいただいておりますので、ほんとうに有効な交流の場だと確信しているんです。

ところで、ウォルトンの2番は、わたしはプレヴィンです。1番もそのプレヴィンのRPO盤とハイティンク盤。
あとスラトキンですが、なんと、スラトキンをお聴きなったのですか!好きな指揮者ですが、いまだに実演の機会をもちません。

投稿: yokochan | 2013年3月14日 (木) 01時32分

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