ヴェルディ 「オテロ」 メータ指揮
珍しいイタリアのビール。
「メナブレア」は、ピエモンテ地方の幻のビールとされ、かの地でなければ手に入らないとされる。検索すると出てきます。
幻のくせに通販で入手可能のようですぜ。
私はこれを、なんと八王子のイタリアンで飲んだ。
「ヴァン・ノブ」という店。
メニューによってムラはあるが、そこそこいける。
前菜のこちらで、先のメナブレア・ビールをいただくと最高であった。
なんだかんだで、イタリアは、おいしい。
そしてなんだかんだで、「ヴェルディのオテロ」である。
もうじき9月。忘れもしない、1981年のスカラ座来日は、まだ残暑厳しい9月初頭だった。
アバドとクライバーに率いられたスカラ座公演は、本場のものすごさと、二人の天才的なオペラ指揮者の実力をいやというほど見せ付けてくれたもんだ。
「シモン」しか観劇出来なかったが、しずれもNHKでFMライブ放送とテレビ放送がなされ、もうたまったもんじゃなかった。
「クライバーのオテロ」は、最盛期のドミンゴの下唇だらりの熱演もあって、どうしようもなく素晴らしい名演だった。カラヤンの巧みに計算された新旧盤の劇性とは、まったく異なった即興的なドラマ。どこまでフォルテやピアノが用意されているかわからない・・・・。
いやはや、思い出に浸るばかりじゃ本題から遠のく。
オテロ :ジェイムス・マックラッケン デスデモーナ:モンセラ・カバリエ
イヤーゴ:ティト・ゴッピ カッシオ :エルマンノ・ロレンツィ
ズビン・メータ 指揮 メトロポリタン・オペラ管弦楽団/合唱団
(1967年3月録音)
面白い組み合わせの「オテロ」を入手した。
メータは、ロスフィルと活躍を始めた頃、EMIに「アイーダ」を録音したり、イタリア各地でオペラをちょろちょろ指揮してたが、おそらくオテロはこれが初挑戦かも。
若さゆえの暴走は、まったくない。貧弱な音ながら、堂々とした大人びた落ち着きに不敵なものを感じる。だが、この上手な指揮ぶりに、にカラヤンやクライバーが描き出したような苦悩と愛情の二律背反するドラマは感じ取れない。
メータよりは、むしろ主役3人のユニークな歌唱が、このCDのおもしろいところ。
まずなんといっても、ゴッピの主役を完全に食ってしまったイヤーゴがすごい。
明瞭な発声で、憎々しく歌われるクレドなどは、もう快感を感じるくらい。
ちょっと、ぼんくらのオテロを組み敷いてしまっている。すさまじい。
その食われてしまったオテロのマックラッケンは、重々しく力強いが、鈍重にすぎるような気がする。気が付かなすぎるのもある意味、一方的なオテロの一面ではあるけれど。
バルビローリ盤でも、フィッシャー・ディースカウの狡猾なイヤーゴにやられっぱなしのマックラッケン、なんだか憎めない人でもアリマス。
巨漢になるまえのカバリエのデスデモーナはいい。
巨漢後も、映像なしなら、まったく問題ない彼女だから、こちらでもある意味、後年とまったく変わりないピアニッシモを聴かせてくれる。
録音は正直悪い。音が揺れたり、モノながら左右に流れる。
メータのオテロは、ウィーンでのライブが正規に出るらしいが、ゴッピと鈍行マックラッケンゆえ、お好きな方にはお薦めしときます。
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コメント
yokochan様
昨日マックラッケンの歌う正規の『オテッロ』全曲中古LP(イギリスEMI・SLS-940)、ディスクユニオン大阪店で、入手叶いました。販売価格¥4050から会員のみ5%引きで買え、ホッとしました。レーベル・デザインは赤ではなく『Angel-Series』と印刷され、金色に大きめのニッパー・マークが、鎮座ましまして居りました。F・ディスカウのヤーゴ、ギネス・ジョーンズのデズデーモナ、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、アンブロジアン・オペラ・コーラスと言った布陣です。東芝の『エンジェル・オペラ・シリーズ』では短期間一度出たきり、その後国内盤としては、一度も再登場しておりませんが、ユニークな味わいを湛えた、このオペラ好きなら付き合って損の無い演奏かと、思います。それでは。
投稿: 覆面吾郎 | 2022年3月14日 (月) 10時42分