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2007年8月30日 (木)

マーラー 交響曲第3番 アバド指揮

Abbado_mahler3 このところの涼しさに、かえって猛暑の時の体の疲れが出てしまうようだ。
朝起きれない、眠い。
朝、ぼ~っとしながら、歯ブラシに歯磨き粉をつけて口に入れた。
げげっ~つ!!なんじゃこの薬品は。
娘の洗顔フォーム「クレアラシル」じゃねえか!青と白のチューブでいかにも歯磨き粉のようだ。
悲しいよう。。。。

そんなオバカなわたしだけど、音楽のこととなると、身が引き締まりキリリとします。
去る夏を惜しんで、マーラーの3番の交響曲を聴くことにする。
この曲はマーラーの自然観、肯定的な人生観、愛への思いなどが幸せな形で表現されていると思う。年中イケルが、夏の朝や晩に涼しい風に吹かれながら聴くと、また爽やかな幸福感もひとしおである。
かつては、6楽章まであり、100分もかかる長大さに、聴いたこともないのに敬遠していたものだ。バーンスタインとショルテイ、ホーレンシュタインぐらいしかレコードもなかったし。
時代がマーラーの予言どおり、その作曲家を受け入れてからは、人気曲のひとつとなった。オーケストラの演奏能力の向上もあって始終演奏会に登っている。

Abbado そんな3番の私のフェイバリットは、アバドとウィーンフィルの旧盤である。
1980年のこの録音は、ウィーンとの蜜月の幸せな結実のひとつでもある。

隅々まで目が行き届き、ゆったりと、どこまでも自然な感情に裏うちされた素直な演奏。
その伸びやかな歌心に、ウィーンフィルが全面的に協力している。
指揮者とオーケストラの個性が、完全に一体化してしまった稀な演奏ではなかろうか。
健在だったG・ヘッツェルのもとのウィーンフィルは、現在ほどインターナショナル化しておらず、ウィーン訛りもそここに聴かれる。
ムジークフェラインの響き、そのもののような名録音も花を添えている。

アバドは99年に、ロンドンでベルリン・フィルとのライブを再録音している。
ウィーンとベルリンの両方で、さらに他曲はシカゴでマーラーを録音した指揮者は、アバドをおいてほかにない。
ベルリン盤は、表現がもっと自在で、流れがよく大河のような大らかさがある。
加えて、ウィーンの柔に、ベルリンの剛にして明晰。でも共通しているのは、全編に流れる歌とマーラーへの熱い共感だ。

そして今年、アバドはルツェルンでこの3番を再び取上げた。
この8月、ロンドンのプロムスでも出張公演を行なった。
この模様はBBCのネットライブですぐさまに聴いた。
このところのアバド/ルツェルンのトレンドで、快速感があって、かつ音のひとつひとつの充実度が、オケの高性能もあって並外れて漲っている。
いずれNHK放送もあろうし、DVD化もあろうが、マーラーへの愛情が満ちた、これまた幸福感一杯の3番になっていることだろう。

余談ながら、今年のプロムスは例年にもましてスゴイ。
ハイティンクとコンセルトヘボウが、「ブル8と、トリスタンとパルシファル」、ドゥダメルが「ショスタコ10」、S・オラモが「エルガーのアポステルズ」、ヤンソンスが「第9」、そしてリングシリーズ最終回は、ラニクルズの「神々の黄昏」
この黄昏は、実によかった。ブルーワー、アナセン(どうしちゃったの?くらいの立派さ)、トムリンソン。BBCのオケ。みんな素晴らしい。
ラインはラトル、ワルキューレはパッパーノ、ジークフリートはエッシェンバッハ(パリ菅だぜ!!)。こうした4部作。
まさにプロムスの厚みを思い知らされる思い。NHK音楽祭だかも、もっと激しくやってよ。

再度、終楽章「愛が私に語ること」を聴いている。
少年合唱の「ビムバム・・・・」が静かに消えると、そおっとした雰囲気であの素晴らしい旋律が流れ始める。
アバドのウィーン盤がこのあたりは最高だ。
Img_ceremony01_01_2 今を去ること、愛情(??)も去ること数十年前、舞浜の某ホテルにて行なった、拙者の結婚式の背景音楽は自分が選んだ(無理やり)好きな曲ばかり。
「ローエングリン」「喋々夫人」「ショパンの協奏曲2番」「ラヴェルのP協奏曲」「ラフマニノフの交響曲2番」「ディーリアスの楽園への道」「ビージーズの愛はきらめきのなかに」「ナット・キング・コール」・・・・
そしてトリは、このマーラーの終楽章。しかもアバドのこの演奏。
式の終了の挨拶に、両家を代表して・・・・、亡き父が訥々と感謝の言葉を述べた。
その背景に流れるマーラーの音楽。
散々飲まされていた私も、ことここに至って神妙になり、涙がはらはらとこぼれてしまった・・・・・。

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コメント

私もこのアバド盤で中高生時代に愛聴しました。当時弟と分担して少ない小遣いからCDを買っていて、このマラ3は弟の所有物だったので現在我が家のライブラリにはありませんが、なんとも流麗で安定感のある演奏ですよね。6楽章をホルンアンサンブル用に一部カットするなど編曲して高校の吹奏楽部内の演奏会で披露したのですが、あまりの長すぎに聴き手がうんざりしていたのを思い出しました。

投稿: yskw | 2007年8月31日 (金) 06時57分

この「第3番」はマーラーの交響曲の中でも一番長大で、必ずCD2枚にまたがりますが、むかし伊HUNTから出てたミトロプーロス/ニューヨークPO盤はなんと1枚に収まってました。ちなみにこの曲はフルトヴェングラーも演奏したそうですね。んー、聴いてみたい。

投稿: EINSATZ | 2007年8月31日 (金) 11時13分

yskwさん、こんにちは。
そうですか、兄弟でクラシックファンというのもいいものですね。
でも、嗜好が異なると困ってしまうでしょうし・・・・。
それにしても、6楽章のホルンアンサンブル版とはまた珍しいですね。
好きな人なら退屈せずに楽しめるでしょうが、一般の方となると、ちょっと起伏が少なく冗長に感じられたのでしょうか。
楽しいエピソードありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年8月31日 (金) 23時26分

こんばんは。
(書き込みは、たぶん)初めまして。親父りゅうと申します。
ゆりかもめさんのところから辿ってきたら、私も以前に採り上げたことのあるアバドのマーラーのエントリでしたので、思わず書き込みさせていただきました。
これは、本当に美しい演奏ですね。

また、寄らせていただきます。
当方の拙い感想文ですがTBさせてください。

投稿: 親父りゅう | 2007年8月31日 (金) 23時29分

einsatzさん、こんにちは。
ミトプー盤は1枚ですか!!信じ難いですね。
そういえば、アバドは子供の頃にスカラ座で、ミトプーがこの曲を振るのを聴いてマーラーと指揮に取り付かれたらしいです。
そんでもって、フルトヴェングラーですかぁぁ・・・・・!
いったいどんなだったんでしょうか?
どこかに残ってないですかね?

投稿: yokochan | 2007年8月31日 (金) 23時30分

親父りゅうさん、こんにちは。
私も時おり貴ブログを拝見しております。よろしくお願いいたします。
おっしゃるように、ほんとうに美しい演奏ですね。
指揮者・オーケストラ・録音の3つすべてが美しいです。
久しぶりに聴き込んで、ノスタルジーに浸ってしまいました。
コメントとTBもありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年9月 1日 (土) 00時46分

こんばんは。
マーラーの3番という曲は私にとって、人生の節目というか、特別な意味を持った曲なんです。

私が聴きに行ったアバド先生のコンサートは、98年10月のみなとみらいでのマーラーの3番で途絶えています。
私を取り巻く生活環境が180度変わって、コンサートに行く余裕がなくなったというのが理由です。

素晴らしい演奏でしたよ。
みなとみらいホール全体がひとつの楽器と化してしまったかのような錯覚に陥りました。
よい音楽を聴き終えた後のなんともいえない充足感と、これで先生ともしばらくお別れなんだという寂しい気持ちを抱えたまま、一人帰路につきました。

それから長いこと、クラシックとは疎遠になりました。

この曲に再会したのは、昨年です。
私はこのギョーカイに不可欠な国家資格をとるため、アラフィフの身でありながら、毎夜徹夜勉強に励んでいました。
落ちるんじゃないかという不安な気持ちを払拭するために、毎晩毎晩飽くことなく聴いたのが、ここでご紹介されているVPOとの旧盤でした。
(やっぱり私もこの旧盤が一番好きだったので)
深く深く愛に満ちた先生の最終楽章を聴くたび、私は勝利を確信しました。

それからまた私はクラシックのもとへ、アバド先生のもとへ還ってきました。

いつも私事ばかり書きまして申し訳ありません。
これではコメントではなく、ヒトリゴトに yokochanさんをつきあわせている感じですね。
自重いたします(__)

夜中にお腹すいちゃいました。
小さなシェーブルチーズひとつをツマミに、一杯だけワイン飲んで寝ます。

lilla

投稿: lilla | 2010年5月17日 (月) 02時03分

lillaさん、こんにちは。
印象深いお話、ありがとうございます。
いえいえ、ひとり言だなんて、アバド愛の同胞ですからして、ワタクシにも人生の節目節目にアバドの音楽が常にありまして、それの思いをいつも書き連ねちゃってるんですよ。
どしどしコメント+独白お願いしますね!

3番に力を得て、見事資格取得。
そして音楽へ「復活」ですね!

マエストロ・アバドもいろんな節目や勝負どころで、必ずマーラーやヴェルディを指揮します。
そして、いつも若々しさを失わないマエストロに勇気付けられる、わたしたちファンです。

私の方は、遅い昼食を終え、ぼ~っとしてます(笑)

投稿: yokochan | 2010年5月18日 (火) 14時13分

マラ3。 私が初めて演奏したマ―ラ―ですがお陰さまでその後三十年近くマ―ラ―は自分の音楽活動の中心でした。


その時はアバドのを選んで冒頭のウィンナホルンの雄叫びを聴いて吹っ飛んで以来のマ―ラ―でしたが3番のフィナ―レはバ―ンスタィン・ニュ―ヨ―クも息の長い作りも良いのですがアバドのほうが全盛期のウィーンがオケの魅力で魅力があります。

ロンドン響との仕事ぶりを収録したヴィディオではウィーンと3番の1楽章の楽しげな録音の様子も入ってました。


投稿: マイスターフォーク | 2011年5月 5日 (木) 13時36分

マイスターフォークさん、こんばんは。
初マーラー演奏が3番とはまたすごいですね。
30年前に、1番でないところが素晴らしいです。

そして、アバドの旧盤は、わたしのもっとも好きな3番の演奏です。
おっしゃるとおり、ウィーンフィルの魅力も満載ですから!

しかし、ご案内の映像は是非見てみたいものです。
アバドとLSOの映像はまったくないようですからして。

投稿: yokochan | 2011年5月 6日 (金) 00時20分

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昨日の土曜日から今日未明にかけて、久しぶりにまとまった音盤鑑賞の時間が取れた。 途中、プチ家事、親戚の見舞いで外出などをはさみながら・・・。 ハーディングのブラ3に始まって、アバドやストコフスキーのLP、昨日書いたモニク・アースのドビュッシー、小澤パリ管のチャイ4、トスカニーニのベートーヴェン(naxos盤、これだけは一部を車で続きを聴いた) そして、とどめはマーラーの3番(アバド指揮VPO)。 これ、とてもよかった。 なんと言っていいか言葉が見つからないが、とにかく全編、聴き応え十分のマラ... [続きを読む]

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