ヴェルディ レクイエム バーンスタイン指揮
関東は今日、土曜に限り、暑さもひと段落。
でも、千葉東沖を震源とする地震が頻繁に起こり落ち着かない。
私の今住む千葉では、かなり揺れる。家の中がガタガタする感触は不気味なもので、耳や体に付いて離れなくなる。
大きな被害はなくとも、精神や肉体に地震はあまりいい影響を与えない。
ブリテンの戦争レクイエムの記事にも書いたが、毎夏、ブリテンのそれと「ヴェルディのレクイエム」は聴くことにしている。
ヴェルディの方は、中学生の頃、お盆にバーンスタインの指揮する映像が、NHKで放映された。
髪を振り乱し、飛び跳ね、音楽に没頭して指揮するバーンスタインを初めて見たインパクトも巨大だった。静的なカラヤンとの違いに唖然としたもんだ。
そして、初めて聴く、「怒りの日」~ディエス・イレの凄まじい迫力に忘れ得ぬ感銘を覚えた。ヴェルデイのレクイエムは、その「怒りの日」こそがすべてだと思い込んでしまった。
その後出たバーンスタインの同曲は購入せず、カラヤンとベルリン・フィルの壮麗な演奏のレコードを買い聴き親しんだが、どうしても賑々しい場面ばかりに注目して聴いてしまった。
そして、出会ったのがずっと後年、アバドの演奏だった。
アバドにより、遅ればせながらこの曲の歌に満ちた美しい音楽の真髄に開眼することになった。そうした耳で、聴き直したカラヤンの劇的な美演も素直に素晴らしいと思ったし、アバドのあとに購入したバーンスタインの演奏も独特の壮絶さをもった演奏として共感できた。
S:マーティナ・アローヨ Ms:ジョセフィーヌ・ヴィージー
T:プラシド・ドミンゴ Bs:ルッジェーロ・ライモンディ
レナード・バーンスタイン指揮 ロンドン交響楽団/合唱団
(1970年2月)
この録音のあと、バーンスタインはニューヨークフィルと共に、万博日本に訪れ、マーラーの第9や幻想の名演を残した。
後年のような自己耽溺によるネットリぶりはなく、かなりストレートな演奏に思う。
時おり、立ち止り、思いのたけを込めてしまう場面もあって、全曲は90分もかかるが、音楽に覇気があるために停滞感はなく、遅くは感じない。
ヴェルディがその円熟の極みに達した筆で書いた、神への熱い祈りを、バーンスタインは自己の魂の叫びとして、平和を希求する祈りと同化させたのではなかろうか。
指揮台で祈りを捧げるかのような姿のバーンスタインが目に浮かぶようだ。
歌手達が、素晴らしい。
女声二人は、ベテランの貫禄。
男声二人は、フレッシュで初々しい。
ドミンゴの後年の分別臭い歌がウソみたいな、はちきれんばかりの美声。
難点は合唱の弱さか・・・・。
ファルスタッフのように、ウィーンで録音してくれたらどうだったろうか。
| 固定リンク
コメント
ジャケが懐かC・・・。
一度だけレコード屋で手に取ったことがありましたなぁ。
投稿: リベラ33 | 2007年8月19日 (日) 05時59分
懐かしい人には懐かしいジャケットでしょ。
外盤は違うみたいですが、国内盤のこのインパクトは大きかったです。
ミケランジェロの絵だと思いますが、まさに最後の審判の図。
地獄には行きたくありませんねぇ。
投稿: yokochan | 2007年8月19日 (日) 10時01分
バーンスタインのレクイエム、同じメンバーの映像もありますが、
この録音と全く同じなのかしら。
>女声二人は、ベテランの貫禄。
男声二人は、フレッシュで初々しい。
映像でも同様ですね。ドミンゴは初々しすぎ^^?!ですけど・・
コッレッリの急な代役だったという話です。
投稿: edc | 2007年8月19日 (日) 10時27分
euridiceさん、こんにちは。
おそらく映像と同じ時の録音のはずです。
私が大昔テレビでみた映像が出てるんですね。
しかし、コレルリだったらすごかったのに・・・。
でも、バーンスタインと喧嘩しちゃったでしょうねぇ。
投稿: yokochan | 2007年8月19日 (日) 11時01分
こんばんは。
映像は、1970年2月25日セント・ポール大聖堂のライブで、録音は2月23,24,26日アルバートホールだそうです。
当時ドミンゴ30才、ライモンディ29才、二人ともまだ現役ですね。
投稿: keyaki | 2007年8月23日 (木) 01時09分
keyakiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
映像をはさんでの録音だったんですね。
バーンスタインのライブならではの、熱気も理解できます。
そして、男声二人は若いですね。ライモンディは20台ですか!
息の長い名歌手二人ですね。
今、円熟の二人にこの曲を歌って欲しいものです。
投稿: yokochan | 2007年8月23日 (木) 12時23分