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2007年9月16日 (日)

J・シュトラウス 「こうもり」 プレヴィン指揮

3 先週、北海道出張のおり、最終日が伊達での仕事だったので、洞爺湖畔の温泉ホテルに一泊した。ところが、台風の影響でもう一泊。難民になりかけたが、洞爺湖に舞い戻り、救われた。
せっかくの洞爺湖、はるか山上を見上げると、「洞爺ウィンザーホテル」がそびえる。
朝、お茶ぐらいのんでやれと、雨の中、山上に向かった。
すると、予想通り、途中検問が!
恐る恐る「お茶・・・」の一言で開放。
こうして見ると、山の下は湖だから、まさに城。サミット開催の栄冠も頷ける。

4 5ロビーでの出迎えから、ティールームでの給仕・・・、最上級の物腰で、ともかくさすがと思わせる。
ハープ演奏が始まり、プッチーニやヴェルディのアリアの数々が流れ出した。

お茶は1000円だったから、もしろリーズナブル。でも宿泊は、楽天サイトでも一泊68000円也。時間と金のある人が、すべてを忘れて寛ぐ場所なんだろな・・・。
お茶一杯で、充分にモトを取っちゃった気分。でも安部さんは、ここで主役を務められない。

Previn_fledermaus_3 なにげにプレヴィン特集
でも、やはり声が聴きたい。
プレヴィンは、劇場にはあまり縁のない指揮者だから、自作以外は劇場経験がないのでは?
オペラを振らない指揮者は、何かが足りない・・・なんて、かつては言われたものだが、今ではそんなことは気にする必要がない。むしろ、劇場経験のない人のほうが、劇場のややこしい運営や、しがらみを知らないだけ、大胆・新鮮な演奏を披露することもある。
でも、最低限、そこに歌手がいて、舞台があって、観客を背にして、という劇場の間を読める感覚がないと皆からソッポを向かれてしまうことになる。
バイロイトでうまくいかなかった大植氏の作り出す音楽は面白かったが、一人いい気持ちで突っ走りすぎた。

ここに聴くプレヴィンのオペラはいかに。

 アイゼンシュタイン:ヴォルフガンク・ブレンデル ロザリンデ:キリ・テ・カナワ
 フランク  :トム・クラウセ       オルロフスキー:ブリギッテ・ファスベンダー
 アルフレート:リチャード・リーチ        ファルケ:アラフ・ベーア
 アデーレ  :エディタ・グルベローヴァ    フロッシュ:オットー・シェンク

   アンドレ・プレヴィン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                   ウィーン国立歌劇場合唱団
                  (台本演出:アウグスト・エヴァーディンク

まずは、このなかなかのキャスト。しかし、真面目な歌手が勢ぞろいの感もあり。
その予想は半ば的中し、半ばは外れ。
その的中部分は、主役の夫婦二人。いい声だけど、律儀な歌いぶりから、もう少しはみ出すものが欲しいところかな。キリは美声だけど、声にやや疲れがあるのと、言葉が不明瞭でピシリと決まらない。でも、ブレンデルもキリも善良で、どこか気になる歌声。

そうでない、お笑い(?)のベテランたちは、クラウセにファスベンダー、グルベローヴァたち。なかでも、ファスベンダーの中性的な魅力のオルロフスキーは、当たり役だけに言うことなし。クラーバーのDVDでも、その異国的な怪しいまでのオルロフスキーは魅力的だが、こうして音だけで聴いても、そのお姿が彷彿とされ、実に楽しい。
クラウセと、これまた痛快で、こうもりを知り尽くしたO・シェンクのとぼけたやり取りも最高。
グルベローヴァのメカニカルな歌いぶりも、逆に愉快だし、快感を呼ぶ。
ついでに、R・リーチはばかでかい美声でもって、カヴァラドッシやアルフレート(椿姫)、マントヴァ候らの歌をちょこちょこかましていて、うるさいくらいで面白い。

こんな素適な歌手陣を迎え、プレヴィンはどう「こうもり」を指揮しているか。
どちらかといえば、至極真面目にこのオペレッタに取り組んでいる。
その真面目さは、真摯な音楽への取り組みという意味からいえば、まったくもって正しい。
シュトラウスの書いた音楽は、実によく書けていて、ここに後期ロマン派の息吹きを聴くこともできる。普段は愉快なドラマや歌の陰にかくれている、そんな音楽のよさを実によくわからせてくれるのが、プレヴィンだ。
クライバーが聴かせる、生まれたばかりのイキイキとした弾むような音は、ここに聴くことは当然できないけれど、すべてを熟知した、ウィーンフィルにも助けられて、しなやかで優美なシュトラウスがここにあると思う。

このコンビは、その後、リヒャルトの「カプリッチョ」と「ダフネ」を録音すると伝えられたが、中止になってしまったようだ。残念だなぁ。

 

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コメント

yokochanさま こんばんは
北海道では大変だったみたいですね、でも、そのおかげで色々と周遊をされたようですね。

プレヴィンの『こうもり』好きですね、プレヴィンが良いというよりも、キリ・テ・カナワのロザリンデが好きです。私の昔からの贔屓の歌手なので、爆~。
2幕で歌う、Klange der Heimat は、色々な歌手で聴いてきましたが、最高のものの一つではないかなって思うんですが~。

久しぶりで聴いていますが、やはり良いですよ~。ルチア・ポップさんも良いですが~。

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2007年9月19日 (水) 18時08分

rudolfさん、こんにちは。台風の余禄といいますか、なんといいますか・・・、雨でしたが、素晴らしい自然も楽しめました。

プレヴィンのこうもり、人気がいまひとつですが、もっと聴かれてもいい演奏だと思います。
キリのご指摘の歌は確かにいいですね。
エキゾテックな雰囲気が期せずして見事にでてますし、なんといっても美声です。もう一度聴き直してます。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年9月19日 (水) 23時56分

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