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2007年9月28日 (金)

ユリア・ヴァラディ ワーグナー集

Cosmos3 初秋の定番コスモスも、最近はいろんな品種が出て、色も豊富に。
黄色や、チョコレート色や、ピンクも二色だったり、極めつけはブルーなんてのも・・・、何だかね~。

群生するコスモスを写すのもいいし、こうしてアップを激写するのも美しいもんだ。

Varady_2

今日もオルフェオレーベルのディーヴァを聴きましょう。しかもワーグナーでござるよ。ふふふっ。

ユリア・ヴァラディは、ルーマニアのトランシルヴァニア出身。ルーマニアは東欧の美しい国で、ラテンとトルコのエッセンスの交流する国。
だから彼女の美しさは、どことなくエキゾテック。
旦那のD・フッシャー・ディースカウもそんな彼女にぞっこんになった。ドイツにない、ミステリアスな魅力をその容姿と歌声に感じることができるからか?

1962年に自国でデビューして、1970年にドホナーニに認められて、フランクフルト、そう当時は西側で活躍をはじめた。
当初は、メゾのロールまでをカヴァーしながら、モーツァルト、オッフェンバック、ヴェルディ、プッチーニなどで活躍、70年代後半からワーグナー、シュトラウスに取り組んだ。
実際にわれわれが、彼女の活躍を耳にするようになったのは、その70年代後半からで、正確にはいつかは判らねど、F・ディースカウとの夫婦関係の始まりと共にだろうか?
ドラマテックなキツイ役柄から、リリックな役柄まで、深い洞察を背景にした考え抜かれた歌いぶりで、言葉に対する敏感さは、まさにFD譲り。
それが、機械的にならずに、あくまで女性的なぬくもりと優しさを維持しているところが彼女の素晴らしさといえようか。
どこかクールいながら、そのあたたかな歌唱は舞台で体験すると、小柄で華奢な彼女がとてもけなげに思えてしまい、男としては、ものすごく魅力的な女性に見えて・聴こえてしまうんだ。何いってるかわからなくなってきたが、ともかく女性的だということ。
彼女のジークリンデとゼンタを観たが、心をこめて歌うとき、両腕を前に組んで左右に振りながら演じ、歌うものだから、すごく情がこもって聴こえ、ずばりと聴き手の心を掴んだものだ。

ワーグナー  「ヴェーゼンドンクの詩による5つの歌」          
         「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
         「神々の黄昏」ジークフリートのラインの旅&ブリュンヒルデの自己犠牲

  ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団
                                       (1997年録音)

本業以外の人が大オーケストラを前にすると、表現意欲が空転してしまい、やたら柄の大きさだけが目立ってしまうものだが、ご亭主FDの指揮は、かなり慎重で、オケの音を噛みしめるように内面的な表現をすごく意識したもののように感じる。
要は上手なのである。恋女房の伴奏に徹しながらも、ワーグナーを新鮮に響かせようとする姿勢が嬉しい。高機能のオケの実力も手伝って、旧来のワーグナー演奏から脱した演奏に思う。EMIへ同時期、ザイフェルトとヴァラディの二重唱を録音しているが、そこでも、伴奏以上の演奏を聴かせている。

イゾルデとブリュンヒルデは、ヴァラディにとって背伸びした演目だが、彼女らしい考えぬかれた歌は、重苦しさとは無縁で、さらっとした優しい女性像を描きだしているようだ。

夫婦唱和の微笑ましい1枚に、乾杯(今日は、吟醸米焼酎中につき・・・・・)。

 

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コメント

アリア集、たくさんお持ちなんですね。むかし、ちょうどチャウセスク夫妻が公開処刑されたころ、ルーマニア大使館員の子どもたち数人と付き合いがありました。独特の雰囲気の魅力的な子たちでした。またTBしますので、よろしくお願いします。

季節の花の写真、素敵ですね!

投稿: edc | 2007年9月28日 (金) 20時12分

euridiceさん、こんにちは。
いろんな歌手を聞きたいものですから、ついついアリア集が増えます。
トンネルリングのヴァラディのジークリンデ、素晴らしかったです。以来好きな歌手なんです。

ルーマニアはかの独裁者以外は、明るくて、食べ物もおいしいし、素敵な国のようですね。
貴重なご経験をお持ちのようで、頭がさがります。
わたしなんぞ、食べ物と酒ばかりで・・・。
TBありがとうございました。

写真もバカちょんの素人作品です(笑)

投稿: yokochan | 2007年9月29日 (土) 01時18分

こんにちは。
ヴァラディは私も好きな歌手の一人です(ダンナF=Dも最近ふつふつと好きになってきました)。リリックなものからドラマティックな役までなんでもこなし、しかも外見もとっても美しいですね。ジークリンデ役なんて見とれてしまいました。そんな中で彼女の好きな役はクライバー盤の「こうもり」のロザリンデ役です。ハンガリーのご婦人のふりをして歌う「チャルダッシュ」が彼女のちょっとエキゾティックな感じとマッチしてて素敵です。

投稿: naoping | 2007年9月30日 (日) 12時47分

naopingさん、こちらもありがとうございます。
ヴァラディは美しいですね。クライバーのこうもりは彼女でよかったですね! ばらの騎士もヴァラディだったら、とか思ってます。FDはあらためて思うと、歌手でなかったら、大指揮者になったんじゃないでしょうか。

投稿: yokochan | 2007年9月30日 (日) 18時13分

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ユリア・ヴァラディ(1941.09.01- ルーマニア→ドイツ)も、ワルキューレの双子の妹役、ホフマンの共演者の一人です。1984年、ベルリン・ドイツ・オペラ、ゲッツ・フリードリヒ新演出「ニーベルングの指環」です。このプロダクション、いわゆる「トンネル・リング」は1987年に来日公演があったので大勢の方がご覧になっています。残念ながら、私は観てません。 1984年の公演については、いわゆるメイキングのテレビ放送があったようで、レーザーディスクで観ることができました。後に、クラシカ・ジャパンで放送... [続きを読む]

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