フィンジ クラリネット協奏曲ほか マリナー指揮
以前、札幌の百合が原公園(マイフォト参照)で写したお気に入りの画像。
「サントリナ ロスマリニフォリア」
フランス原産、キク科の愛らしい花々。
これを葉書にして、病床の叔父に送ったりした。
夏に撮ったものだけれど、秋の気配をも感じさせる。
だから、病人に送るにはちょっとどうかと、後で思ったけれど叔父はとても歓んでくれた。
亡父にそっくりの叔父、そしてもう一人の伯父もまだまだ元気だ。
ジェラルド・フィンジ(1901~1956)の全作品は40数曲あまり。白血病で50台半ばで亡くなってしまい、自己批判の厳しいフィンジは自作にも慎重だったらしい。
早くに父を亡くし、相次いで兄達と最愛の音楽の師までも亡くして、失意のフィンジ。
内面的な性格に拍車をかけるような出来事に、同情を禁じえない。
その音楽に、私はモーツァルトと合い通じるものを感じる。
快活であると同時に、人間の心の深遠にも届かんとする響きにあふれているから・・・。
フィンジ クラリネット協奏曲
Cl:アンドルー・マリナー
弦楽オーケストラのためのロマンス
ノクターン(新年の音楽)
カンタータ 「生誕の日」
T:イアン・ポストリッジ
サー・ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー・セント・マーテイン・イン・ザ・フィールズ
(1996年6月録音)
マリナーの親子共演による、クラリネット協奏曲。
9年前に購入したこのCD。折から父を亡くして間もなかった。
そして、この曲を聴いて落涙した。
特に第2楽章の死を見つめたかのような静寂と抒情のみなぎる世界に心揺り動かされた。
息子を包み込み、いたわるような名伴奏のサー・ネヴィル。
アンドルーのクラリネットは真摯で気品に満ちたソロを聴かせつつ、デリカシーのかぎりを尽くす。終楽章の飛翔感もとても素適な演奏なのだ。
ロマンスもフィンジらしい、いじらしいほど美しい音楽だ。
マリナーの味のある演奏は、ヒコックス盤と双璧。
演奏会に是非取り上げて欲しい曲だ。誰しも聞き惚れてしまうのではないか・・・・。
あと、ポストリッジをソロに迎えた「生誕の日」も声高にでなく、小声で言いたい。
素晴らしい名曲だと!
ポストリッジのナイーブな歌声あっての演奏かもしれないが、17世紀の聖職者トラハーンの神との霊的交歓を歌った詩に付けたフィンジの5曲からなるカンタータにも、フィンジの心をうつしだすかのような内面的・静的な世界が描かれている。
サー・ネヴィルの思い入れを込めた素晴らしいフィンジに、思い切りひたってしまった秋の一日。こういう音楽や演奏を聴いていると、音楽とともに生きて行く喜びがふつふつと沸いてくる。
明日は、マリナーのコンサートを楽しんでこよう。
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コメント
こんにちは。
私もこのCD大好きで、blogではかなり前に取り上げました。とくにボストリッジは本当に素晴らしいですね。まだ廃盤なのかしら・・・本当にもったいないです。yokochanさんのように感動的なエピソードではないけれど、私もこのCDを聴くと買った頃のことを思い出し、聞くとちょっと胸に迫るものがあります。いいCDですね。
投稿: naoping | 2007年10月29日 (月) 12時12分
naopingさん、こんにちは。
そうですね、クリスマス大嫌いのあの記事でしたね!(笑)
ほんま、このCDはジャケットも含めて名作であります。
心に響く音楽に演奏、いつまでも大事に聴いていきたい1枚です。ありがとうございます。
投稿: yokochan | 2007年10月30日 (火) 00時00分
こんにちは。おじゃましますです。
僕はこのCDでフィンジの世界にはまりました。
yokochanさんの小声で素晴らしい、といいたい気持ちですが、よぉ~く分かるような気がします。
フィンジの世界全体が、大声や大げさな物言いは似合わない感じがしますよね。
しみじみと味わっていたい、そんな作曲家です。
投稿: ナンナン | 2007年10月30日 (火) 00時54分
ナンナンさま、こんにちは。
フィンジの世界がわかっていただけるナンナンさん、とっても嬉しいです。フィンジは寡作の人でしたが、そのどれもが内向的でひっそりと佇むような音楽です。
日本人にはピッタリと思うのですが、逆にもてはやされて欲しくないような気分のフィンジでもありますね。
これからも静かに聴き続けて行きたいと思います。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2007年10月30日 (火) 01時33分