ハイドン オラトリオ「天地創造」 マリナー指揮
飛行機から撮った北海道から東北にかけての上空。
今日の関東地方は、いきなり台風が急襲してきて、午後は雨と風が吹き荒れた。
台風ってのは、どのくらいの高さにいるのだろか?
わからん?
今日のマリナーとアカデミー、ハイドンの「天地創造」を聴いてしまおう。1980年の録音。
天地創造の真偽は考えず、ハイドン(1732~1809)の残したこの純粋で屈託ないナイスな音楽に耳を傾けることとしよう。
ドイツ・オーストリーでは、功を成したハイドンがエステルハージ候の死とともに、フリーとなり、折からロンドンの音楽家ザロモンの招きで、2度に渡りロンドンに長期滞在することになる。
ここで生まれたのが、ザロモン・セットなる後期の交響曲群だが、ハイドンはロンドンの聴衆が英語で歌われるヘンデルの声楽作品に熱狂するのをつぶさに見て、自身も聴衆にわかる言語=ドイツ語で、聴衆に受け入れられる素材による作品を書こうと決心した。
それが、この「天地創造」で、旧約聖書の最初の数日分の出来事をベースした作者不詳の
テクストを有名なスヴィーデン男爵が独語訳した台本に基づいている。
神が万物を6日間に渡り創造するさまを、3人の天使が実況する。そして人間が創造され、アダムとイヴが神と万物、人間の愛、主の愛を称えアーメンで結ぶ桂曲。
こうした音楽は、マリナーの清廉でクリーンな音楽性にピッタリなので、安心して聴ける。
余計な演出や、思い入れがない方が、ハイドンの音楽にはいい。
でも、冒頭のカオスの場面から、「光あれ」とラファエルが歌い盛り上がっていく場面。
マリナーはインテンポで、あっさりと進める。
くどさ、あざとさがないのがマリナーのいいところで、そこが好きなのだが、ちょっとこうした劇的作品では、不甲斐ない場合もある。
それを、うまく補うようにフィッシャー=ディースカウの歌唱が実に巧みだ。
マリナーと歌い上手のF=ディースカウ、一見合わないようで、こうして絶妙のコラボレーションとなっている。
マティスの清潔でクセのない暖かな歌唱は、極めて素晴らしく理想的なガブリエルとエヴァだ。きっと、ポップやボニーもさぞかし・・・。
対するウリエルのバルディンは、破綻なく歌ってはいるがそれ以上のこともなく、はっきりいえば役不足だけれど、これもまたマリナーのハイドンには何故かしっくりきているから不思議なものだ。
3者三様の歌手たちが、それぞれマリナーの作り出す「天地創造」の一員として収まっていて、ハイドンを聴いた満足感に浸ることができる。
マリナーは2度目の「天地創造」を、シュトットガルトとEMIに録音しているが、そちらは未聴。
夜10時、特急台風も通り過ぎ、外は静かになり、遠くで救急車の音が聞こえる静かな晩が戻ってきた。
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