ショスタコーヴィチ 交響曲第4番 ハイティンク指揮
朝晩、寒くなりましたな。
寒くなれば、また美味い魚がぞくぞくと登場する。熱燗でツィーっと一献。
こちらは、10月半ばのものだが、盛岡で食べた「しめ鯖」。宮古産の地場もの。
脂の乗りもいいが、コリコリ感もたまらなく、日本酒に最高!
盛岡は、冷麺→焼き肉、蕎麦、といったイメージが強いけれど、内陸部ながら三陸産のおいしい魚が入ってくるからウニや牡蠣もむちゃくちゃおいしい。以前一人でこわごわ入った寿司屋が、異常においしかった。そこで地元の方とカウンターですっかり飲んでしまった。
冬は日本有数のシバレる街。雪より気温の低さが厳しい。
でも北上川が市内をゆったり流れる街の風情は素晴らしく、人々も緩やかだ。
15あるショスタコーヴィチの交響曲の中で、一番不可思議なのが第4交響曲。
意気込みに満ちた青春の1番から、転じてアヴァンギャルドな2・3番。
そして、体制をも納得させてしまった普遍的な5番の間にあって、この4番である。
1935年頃の作品、スターリン治下、その関連性もある「ムツェリンスクのマクベス夫人」が批判され、この交響曲も演奏されることなくオクラ入りしてしまった。1961年にコンドラシンの指揮で初演されるという、ついていない交響曲。
3楽章形式で1時間超。膨大なオーケストラ編成を擁し、大音響と室内楽的な雰囲気が交錯しつつ、いろいろなメロディーやフレーズが脈連ももなく次々の現れては消えていく。いままで、明るく楽しかったのに、急に暗く救いようもなくなるし、いきなり大ファンファーレが鳴り響いてもくる。
あらゆるものが混在し、そう、何でもありなのだ。
こうして書くとまるで、マーラーのようでもある。
ハイティンクの演奏で聴くと、なおのことマーラーへの接近が強く感じられる。
ハイティンクが残した交響曲全集は、譜面を正攻法にとらえ、真っ正直までの真面目さでもって取り組んだショスタコーヴィチだった。
ロンドン・フィルの渋い中にもニュートラルな響きは、コンセルトヘボウにも似て聴き応え十分。
少し硬すぎる演奏かもしれないが、この奇怪な音楽が、極めて立派な大交響曲に聴こえる。
77年頃の録音で、当時はまだ珍しい曲だったが、最近は個性的な名盤が増えた。
一番すごいと思ったのが、ラトル/バーミンガムの鋭利な演奏。ヤンソンス/バイエルンは、このハイティンクに近いかもしれない。ゲルギエフ/キーロフはタフで強靭な演奏。
ミュンフン/フィラデルフィアは、オケとのマッチングがいまひとつながら、楽しい。
ロジェストヴェンスキー/ウィーンフィルの非正規ライブは、VPOとは思えない、というか、かわいそういなくらいに乗り回せれている面白い演奏。
こんなに集めてしまった。
プレヴィン/シカゴ、インバル/ウィーン響、コンドラシン、シモノフなども是非聴いてみたいものだ。
ビデオ映像では、ハイティンク/ベルリンフィル!、ヤノフスキ/N響、デュトワ/N響などもあります。
なんだかんだで、このヘンテコ交響曲が大好きなのである。ふっふっふ・・・・。
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コメント
yokochanさん
こんばんは。
ハイティンクの全集は、「コンセルトヘボウにも似て聴き応え十分」と書いておられるように、この指揮者の音感の為せるわざでしょうが、ハイティンク独特のものがありますね。私はハイティンクの演奏録音が気に入っていて、いろいろ集めています。
投稿: HABABI | 2007年11月 3日 (土) 22時06分
HABABIさん、こんにちは。
私も弊ブログをご覧いただいておわかりのとおり、ハイティンクが好きです。
現役指揮者では、アバド、ハイティンク、プレヴィン、マリナー、ヤンソンスといったあたりがフェイヴァリットです。
充実のいま、シカゴあたりでショスタコをやったらさぞかしスゴイでしょうね!
投稿: yokochan | 2007年11月 4日 (日) 11時25分