シベリウス 交響曲第5番 セーゲルスタム指揮
琵琶湖の美しい光景。
もうすぐ日が沈む。
湖岸道路を走りながら、寄り道。
草津のあたりだから、巨大な琵琶湖のなかでは、一番南の方で対岸まで近いところ。
そして向いの山は、比叡山。
山の向こうは京都。
シベリウスの交響曲第5番は、全7曲のうちで一番好きな作品。長すぎず、短すぎず、盛上りにも欠けていない。北欧要素満載だし、長調の明るい牧歌的ムードは魅力的。
1915年、シベリウス生誕50周年の祝賀演奏会に向けて作曲された。
この曲を真剣に聴いて好きになったのは、以前にも紹介した1975年のバーンスタインとロンドン響のFMザルツブルクライブ。
その時のプログラムが、自作の「チチェスター詩篇」弾き語り「モーツァルト17番」、ショスタコ追悼「5番3楽章」、「シベ5」といったもので、前半が山盛り、後半は30分という結果的にアンバランスになってしまった演奏会だった。
これ全部録音して、今も宝物状態だけど、このシベリウスの5番をコンサートの最後に持ってくると、どうも座りが悪いような気がしてしまう。
盛り上がることは、盛り上がるが、休止符を伴なった6つの和音で終わるこの曲のエンディングは、華々しいところがひとつもなく、これを大上段に構えてジャンジャンとやってしまうと、シラけてしまうし、無作為に鳴らしても、これまた面白くない。
バーンスタインのライブや、ウィーン盤は、そのあたりが実に巧い。
セーゲルスタムは、ヘルシンキ・フィルを指揮して、そのあたりの難しさを、ばりっとした爽快感でもってきり抜けている。フィンランドの地元オケは、以前は鄙びた音色をどこも鳴らしていたが、このところ、フィルハーモニーも放送響もラハティも国際化しつつあるように感じる。セーゲルスタムは、サンタのような風貌とは裏腹に、かなりスタイリッシュな音楽を作る人に思う。だから、このコンビも、すっきりスマートなシベリウスを聴かせる。
問題のエンディングの場面も、直前まで朗々と金管を鳴らしていたと思ったら、いきなりインテンポとなり、6つの和音をあっという間に鳴らして曲を閉じてしまう。
大仰に振舞わず、全体のバランスの必然から生まれた鳴らし方ではないかと。
もちろん、北欧のオケならではの弦や管の澄んだ響きと朗々とした金管は、すごく魅力的。
1楽章で、とりとめない雰囲気がだんだんと形をなしていくさまは、実に巧いし、3拍子に入ってリズミカルに進められる場面ではもうワクワクしてしまう。
2楽章のドイツ音楽の緩徐楽章のような雰囲気でのピチカートの刻みの美しさと、木管のバランスがとてもいい。
急がずあわてずの3楽章は、先に記したように、ホルンの賛歌風のモティーフが大仰にならないのがいい。
本場のシベリウスでありながら、決してそうではないところが面白い演奏だった。
2003年6月の録音は憂愁で、雰囲気がとてもいい。
あくまで自然対のシベリウスに好感。
こちらは、守山あたりから見た琵琶湖。
琵琶湖大橋が見える。
対岸は大津・堅田あたり。
琵琶湖はでかくて、美しい。
3~5番までの3日間は、予約公開であります。
29日に、北の大地でチェコ・フィル!を聴きましたので、帰還次第ご報告。
素晴らしすぎ。
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コメント
このバーンスタインとロンドン響の演奏は私もCDR盤で聴いた事があります。バーンスタインの足を踏ん張る「ドスン!」という音が聞こえてリアルですよね。この「第5番」にはサロネンとベルリン・フィルの超名演がCDR盤で出ています。ぜひ機会があればご一聴下さい。素晴らしい演奏です。
投稿: EINSATZ | 2007年12月 1日 (土) 01時17分
EINSATZさま、こんにちは。
そうそう、やたら飛んでますね。
そしてそれはそうと、サロネンBPOは興味大ですね。
フィルハーモニアとの4番ライブも素晴らしい出来だったと思います。
投稿: yokochan | 2007年12月 1日 (土) 21時02分