« 知られざるプッチーニ  P・ドミンゴ | トップページ | ワーグナー 「タンホイザー」 ドレスデン国立歌劇場公演 »

2007年11月 9日 (金)

大友直人指揮 京都市交響楽団演奏会

Kyoto_so 再び、大友直人指揮京都市交響楽団を聴いた。ぎりぎりまで悩んだけど、うまく出張がセットできた。
前回の最愛のエルガーの第1交響曲に続き、第2交響がメイン。おまけに、これまた好きなラフマニノフが前半飾るとあっては、こりゃもう我慢しろという方がムリよ。

という訳で新幹線に飛び乗ったのは昼過ぎ。

平日ながら、最上階を除きほぼ満席。京都コンサートホールはまだ2回目だけど、地下鉄の駅からも近く、周辺は閑静で、館内でのアプローチもよくて雰囲気がとてもいい。
「キタラ」と「みなとみらい」と並んで立地環境のよろしいホールに思う。

さて、長大なラフマニノフの3番の協奏曲
今宵のピアニスト小山実雅恵さんは、ライブでは初めて。
テレビやラジオのDJなどを通じてのイメージ通り、にこやかで優しい雰囲気のお方。
ところが、思ったより小柄な体のどこにそんなバワーが秘められているのか、というくらいの技巧と音量にびっくり。
難しく激しいパッセージの連続は聴きごたえ満載だが、それらを呆れるくらい正確に弾きわけ、そこにラフマニノフの情念が見事に浮き彫りにされていくのを心踊る思いで聴いた。
むせ返るようなロマンチックな場面では、オケともども少しクールに、程よい冷静さがよかった。
終楽章のコーダの場面、揺れ動くテンポが難しい場面だか、見事に合って、そのあとの怒涛のエンディングは、バッチリ決まった大友氏とオケの面々も改心の笑顔だった。
今回は、オケの斜め後ろから見下ろす席で、打楽器の方々が、そろりそろりと出番に備える姿がよく見えて楽しかった。

休憩後のエルガー7月に東響とのコンビで聴いたが、その時よりも大友氏の指揮には力がこもり、より自在な印象を受けた。
これはホールや座席の違いもあるかと思う。東京芸術劇場では2階席で遠くからその素晴らしい音楽に立ち会うといった印象で、今回の京都はオケの後ろで音楽が目前で展開していく様を身近に見守った感がある。
それにしても何て素晴らしい音楽なんだろうか
どちらかといえば、よりわかりやすい1番で感涙にむせぶことが多いが、今回の大友/京響の演奏で、2番がいかに旋律と歌に満ちた美しくも深遠な作品であるかが実によくわかった。
いかにもエルガーらしい、高貴で伸びやかな音楽に、何度も背筋を伸ばして聴き惚れる思いだった。
第2楽章の短調のラルゲットは大友氏の全霊を込めた指揮に京響が最高の集中力をもって応え、その涙に濡れた音楽にワタクシもはからずも、目頭が熱くなってしまった。
一番難しい終楽章では、まさにエルガーが意図したという精霊が立ちのぼっていくかのような精妙なラストに感動。
大きな感動と満足感に満たされた!
ちょいと拍手が早かったけど。

東響では、前半がイケメンヴァイオリニストのチャイコフスキーがあって、それ目当ての聴衆が多いように感じ、メインのエルガーでは聴衆の集中力といったものが希薄に感じたが、京都では、大友氏のやりたいことを進んで受け止めていこうという京都の方々の前向きで積極的な音楽の受止め方がひしひしと感じ、暖かい気持ちになったことも事実だ。

演奏終了後、楽員たちをパートごとに祝福し、聴衆の喝采をオケのメンバーすべてに行き渡らせていた大友氏。(ハープの美人姉妹には、やたらにこやかに・・・・)
最後に大友氏、マイクをもって、京響友の会会長の岡田さんの叙勲を報告し、花束でお祝いする場面もあり。

東京の競争厳しいオーケストラ界にはなかなかまねのできない市民オーケストラの麗しい姿。

翌日朝一での彦根入りを控え、四条のホテル近辺の料理店で軽く飲んだ。
プログラムを見ていたら、大将が「何を見てはるんですか?」と。
「いやぁ、京都コンサートホール行ってきたんですよ」と私。
「ほな京響ですか?」としっかり応えていただいた。

地方オケの旅を重ねたくなるような実にいい出会いだった。

愛すべき神奈フィルを見習うかのように、東京も地ローカルに染まろうとする動きが各オケにあってこれからが楽しみ。私の今住む千葉はお寒い状況だけに、地元も応援しなくちゃね。

Nanzenji_3京都に到着後、大慌てで南禅寺・永観堂を観光。
色づきはまだまだだけれど、京都らしい風情を堪能。もっと時間にゆとりを持って行かなくてはいけませぬ。

そして、蹴上の駅からとって返し、カフェエルガーにお邪魔したら、もう閉店。
そうか店主も今宵のコンサートに備えて・・・・。


071107_180156 それから、徒歩で猛然と祇園方面へ。
かねてから食べたかったゼリーを購入すべく。

切通し進々堂」の「あかいーの」&「みどりーの」でございます。
@300円。いちごとメロンのあまりに美しいゼリー。ホテルにお持ち帰りして鑑賞後、一機に戴き、まったりとした気分で京都コンサートホールへ。

 

|

« 知られざるプッチーニ  P・ドミンゴ | トップページ | ワーグナー 「タンホイザー」 ドレスデン国立歌劇場公演 »

コメント

ようこそいらして下さいました。
お昼過ぎの新幹線で良かったです...この日の夕刻、新幹線京都駅やら在来線でも事故があり、駅は人でごった返しておりました。
今回も京響を堪能して頂けようで何よりでした。会員失格者が言うのも何ですが、大友氏やエルガー以外でもお越し頂ければ幸いです!

投稿: 佐都 | 2007年11月 9日 (金) 23時46分

佐都さん、こんにちは。
はい京へ伺いましたヨ。
鉄道の事故があったんですね。早めに行ってよかったです。
そうですね、他の京響も是非楽しませていただきますね。

投稿: yokochan | 2007年11月10日 (土) 00時26分

新幹線を昼過ぎに、と言う割には充実の午後でしたね。
紅葉が京都でも随分遅れていて、名所関係者はいらいら
しているらしいです。カフェ・エルガーさんは確か西院
の近くでしたね。東へ西へ、また北へとと大忙しのスケ
ジュールで。
コンサートも良し、後の一杯のお店も良しで、本当に
良かったです。(^。^)
なお、拙ブログにコメントの他、TBまで有り難う
ございました。

投稿: | 2007年11月10日 (土) 13時17分

こんにちは。はじめまして。
首都圏からわざわざご苦労様でした。
エルガーを聴きこんでいらっしゃって7月の東響も聴かれて
いる方に、高く評価していただいて嬉しく思います。
関西の人は大植&大フィルにはホイホイ出かけても、
大友&京響のエルガーを聴きに北山まで足を運んでは
くれませんので・・・。
神奈フィルは私もシュナイトさんの時にぜひ伺いたいと
願っています(なかなか思い通りにいきませんが)。

>祇園方面
鍵善良房の“くずきり”はもう味見されてますか?

投稿: J.D. | 2007年11月10日 (土) 16時44分

丘さん、こんにちは。今回も京響エルガーにお邪魔しました。
かなり欲張りに動きまくりまして、正直ヘトヘトでした。
でも充実のコンサートに疲れも吹っ飛び、食事も大満足でした。
おかげさまで、京都の地図がかなり頭に入りました。
次回はゆっくりとお伺いしたいものです。
ともかくいいコンサートでした!

投稿: yokochan | 2007年11月10日 (土) 22時55分

J.D.さん、こんにちは、はじめまして。
英国音楽が大好きなものですから、万難を拝して訪問しました。
京都にエルガー、という雰囲気がとても素適です。

実は、大フィルはまだデビューしてないんです。
タイミングが合わないのと、大阪へ行くと飲みが先行してしまうのです。いけませんね。
大友さんは、退任後も京響でエルガーを演奏するそうですから、今後も是非是非かよわせていただきます。
鍵善良房の“くずきり”は、未食なんです。
甘いも辛いも好きなものですから、次回はチャレンジしてご報告します。
どうもありがとうございました。


投稿: yokochan | 2007年11月10日 (土) 23時02分

こんばんは
京都コンサートホールに行かれたんですね。
元々、京都に住んでいたので、懐かしく読ませていただきました。
実家に帰った時にタイミングが合えば、聴きに行こうと思うんですが、難しいんですよね。
もっと、京都にいる時に京響をたくさん聴いておけばよかったですよ。

投稿: ナンナン | 2007年11月12日 (月) 02時25分

ナンナンさん、こんにちは。京都がご実家なんですね。京都はいいホールといいオケがあってうらやましいです。今回はうまく仕事がはまりました。出張の際は、コンサートカレンダーをにらみながら、予定を考えますが、夜の会食などが入ってしまいやきもきすることもしばしばあります(笑)今回は正解でした。

投稿: yokochan | 2007年11月12日 (月) 17時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大友直人指揮 京都市交響楽団演奏会:

» 京響によるエルガーの2番を聴く [音に巡る想い]
9月の京響エルガー・プログラムの定期に続いて、 昨日はエルガーの交響曲第2番 変ホ長調 作品63 を聴きに行ってきました。 第1番よりも2番の方がいい、と言う人もおられるのだが、 私は2番がさっぱり駄目。生で聴けば何か得るところがある かも知れないという気持ち... [続きを読む]

受信: 2007年11月10日 (土) 13時20分

« 知られざるプッチーニ  P・ドミンゴ | トップページ | ワーグナー 「タンホイザー」 ドレスデン国立歌劇場公演 »