シベリウス 交響曲第4番 バルビローリ指揮
以前も貼った、秋田県男鹿半島の夕景。
11月初旬で、4時過ぎにはもうこんな光景に。
日が海に沈み、壮大な景色になるはずだが、ちょっと薄雲が出ていて残念。翌日は冷たい雨となってしまった。
シベリウスの交響曲を全曲聴くシリーズ。
第4番は、バルビローリとハルレ管弦楽団の全集からチョイスしよう。
1911年初演の4番は、作曲者の病気などを経て、内省的で、晦渋。とっつきの悪い大渋の交響曲だ。
ロマン派的な世界からは完全に離脱していて、さらに民族的な世界への接近も、ここでは感じられず、シベリウスの感じたままの内面的・幻想的な音楽になっている。
この曲に関しては以前の記事が我ながらよく書けているのでご参照のほど。
この4番が、シベリウスの交響曲の中で一番好き、と言えれば通ぽくてカッコいいけれど、
そうはいかない。なかなかに手ごわく掴みどころがない。わかりかけると、すぅっと終わってしまうし、妙にそっけなく、あっけない。
でも聴けばきくほど、汲めどもつきない味わいがある。
何度振られても、一夜明けると会いたくなる。そんな憎らしい北欧の恋人なんだ。
特に3楽章の憧れに満ちた旋律が徐々に盛り上がっていき、ついに全奏で奏されるとき、心の底から熱い思いに浸される。
北国の我慢強い気質がついに情熱を吐露する瞬間、と思いきや、でもあっさりと終わってしまったり・・・。
何度聴いても満たされない音楽である。
サー・ジョン・バルビローリの指揮は、唸り声を伴ないながら、シベリウスに特化してしまったかのような没頭ぶり。
オケの精度は、さらに上を求めたいが、サー・ジョンとともに熱いうねりを伴なったシベリウスサウンドを聴かせる。
バルビローリのシベリウスは、全霊を傾けた情熱と、歌いどころをはずさないオケの人心を掴んでしまう統率力に満ちている。
そんなサー・ジョンのシベリウスでは、1・4・5・7番が好きだ。
秋田の海の空。
本当にきれいで、刻々と姿と色を変えてゆき、時間があれば何時間でもながめていたかった。
でも、冬の空は突然に終わりがやってきた。一気に夕闇が迫ってくるんだ。
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コメント
こんばんは。今日もどちらかへ「さすらい人」でしょうか?
シベリウスの交響曲中よく聴くのが4、5、7番。日本海の冬の海、5番は別にしても、4番と7番て、似つかわしいと思いません?中でも、4番のどんよりとした響きの第1楽章など、ぴったりなんだなぁ。ところが残念なことに、この曲、未だ実演に接する機会なし。といおうか、3番(これ、最近セーゲルスタムのCDを聴いてつくづくいい曲だと思うようになりました)以降の交響曲が演奏されないのが残念です。
マーラーは無論大好きですが、シベリウスの名作群、もっと大事にして欲しいですね。
投稿: IANIS | 2007年11月29日 (木) 22時00分
IANISさん、こんにちは。
今日は、北の街でさすらってますよ。
こちらも、シベリウスが似つかわしいところです。
でも、まさにご指摘の通り、冬の日本海=しべ4&7ですね。
セーゲルスタムとヘルシンキで、5番7番を聴いたことがあります。指揮姿は、まさにサンタそのものでした。
2番ばかりじゃおけませんねぇ。
投稿: yokochan | 2007年11月30日 (金) 10時43分
こんにちは。これLP盤で持っています。
シベリウスの交響曲は各々異なる独創性が強いですが、
特に4番は独特ですね。当時聴覚の障害や首の腫瘍で
悩んでいたそうですが、そんな苦悩が反映されたので
しょう。本当に内政的で深遠です。
最初に買ったC.デイヴィスの演奏でもよく聴きました。
投稿: 丘 | 2007年11月30日 (金) 11時36分
丘さん、こんにちは。
そうですね、7曲全部違いますね。
この内向きの音楽に魅力を感じますが、なかなか全貌を把握できないのも事実であります。
デイヴィスのボストン盤、後の再録音よりいいですね。
投稿: yokochan | 2007年11月30日 (金) 12時41分