シベリウス 交響曲第2番 シュタイン指揮
青森の八甲田山麓にある酸ヶ湯温泉近くの地獄沼。
温泉の沼そのもので、手を浸すと暖かいが、奥はかなりの高温らしく、もくもくと湯気が。
先に見える山には11月始めながら、青森の初観雪が。
人を拒む厳しい自然が厳然とそこにある。
シベリウスの交響曲第2番は、ホルスト・シュタインとスイス・ロマンド管弦楽団の演奏で聴こう。
世紀の変わり目に作曲が進められ、1902年に初演された。幻想的で、夢見心地だった1番がロマン派的な交響曲の流れを引きずっていたのに対し、数年後の2番は、自国を強く意識した、いわゆる民族的な雰囲気をかもし出し初めている。
とくに第2楽章の厳しく頑固な頑迷さに、その要素を見る。
この2番は、終楽章がなかなかに華やかなところもあって演奏効果もあがり、一番人気の曲で、私も1970年万博の伝説的な「セル/クリーヴランド」の演奏をテレビでみて、いっぺんで気に入ってしまった。
若いうちはどうしても、終楽章にばかり目がいっていたが、シベリウスを聴きすすむうちに、第2楽章の憂いに満ちたほの暗さが好きになっていった。
そのあたりのシベ2の魅力を、克明な演奏で際立たせているのが、シュタインのものだ。
ワーグナーの専門家のように思われているが、シュタインは実にフレキシブルなレパートリーの持主で、ことにチャイコフスキーとシベリウスは非常に得意にしていて、N響でもかなりシベリウスを指揮していた。
その内容は手堅いだけでなく、金管をときに思い切り強奏させながら簡潔で、かなり凝縮された響きを聴かせる。無駄が少なく、情緒的なものは乏しいが、シベリウスの演奏に必要な熱き歌心は、その簡潔な響きの中に聴いてとれる。
ドイツ系でもカラヤンのような壮麗さとは無縁だが、意外なほどの明晰さと軽さもあって聴くほどに味わいを感じる。
スイス・ロマンドがアンサンブル的にもっとしっかりしていればと思わなくもないが、明るい音色はシュタインのシベリウスにプラスに働いている。
シュタインはバンベルク響とチャイコフスキーの5番やバレエ音楽を録音しているので、そちらも是非CD化していただきたい。
八甲田の山々を望む。
飛行機までの時間を惜しんで、車で一気に上り詰めた。寒いのなんの。
紅葉は終わり、山々は色あせていく途中。
冬は閉ざされる。いったいどんなになってしまうんだろ?
明治35年に、雪中行軍を敢行し、200名近くが遭難し命を落としたという悲劇の場所に、像が立っていた。周囲は山また山で、風は強いし、恐ろしい場所で寒気がした。
学生の頃、「八甲田山」の映画を見た。
「天はわれわれを見放した」の名セリフ。
心が寒くなるような悲しい映画だった・・・。
冬になると、雪中行軍ツアーなるものがあって、豪雪の中、ここまで来るらしい。
どーにもこーにも??
あと、以前テレビで、この像の周辺を夜間赤外線カメラで写すと、当時の隊が行軍している様子が映っていているのが放映された。ホントかねぇ~??と思いつつみていたけれど、この日訪れた記念碑には、私一人。
空は曇り、雪が落ちてくるような寒風。正直怖かった・・・・。
どうです、私が撮ったこの写真。何か見えますか?
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