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2007年12月 1日 (土)

マーツァル指揮 チェコ・フィルハーモニー演奏会

Img 幸運以外の賜物でしかない。
札幌訪問中に、チェコフィル「我が祖国」のコンサートが行われる。
こんな千載一隅のチャンスを逃してなるものか!

出張の楽しみは、こんなところにもあるけれど、お誘いを振り切って、夜一人になることはなかなか出来るものではない。「いやぁ~、音楽会があるもんで・・・」なんて、言えないものね。
今回は、出張の日程が定まった時点で、このコンサートを見つけ、綿密に行動計画を立て、チケットも手配した。

われながら、こうしたことにかける情熱は大したものだ。へへへっ・・・。

   スメタナ 連作交響詩「我が祖国」

   ズデネク・マーツァル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
                  (11.29 @札幌コンサートホールKitara)

Kitara1a 地下鉄中島公園駅を下車し、すでに凍ってしまった池や豊平館、白樺の木などがほのかに闇に浮かぶ中をゆっくりと逍遥しながら歩くこと7~8分。
美しいイルミネーションに飾られた「キタラ」が見えてくる。
以前も書いたが、このホールへのアプローチは、「みなとみらい」と並んでまったく素晴らしいもので、これから音楽を聴くというワクワク感が自然と湧き上がってくるというものだ。
ホール内のロビーや通路、ホワイエもすべてゆったりとしていてゆとりがある。
都内のホールとの物理的な違いが歴然に・・・・・。
今回ホールの入りは、6割ぐらい。残念なことに空席がかなり目立つ。
やっぱり「新世界」やらないと駄目なのかしら?

Kitara1高い城」が、印象的なハープの独奏で始まると、私は北の地にいることを忘れ、緑豊かなボヘミアの地にいざなわれていく思いで一杯になった。
こんな味のあるハープは聴いたことがない。おまけに美人だし・・・・・。
ミニチュアスコアを時おりめくりながら指揮するマーツァル(でもなんでミニチュアなんだろ?)、「モルダウ」では譜面を閉じ、流れるような身のこなし。
滔々としたヴルタヴァ川の流れが、本当に目に浮かぶような演奏にジーンときてしまう。
こんな耳タコの曲に。こんなに惹きつけられるなんて
高名な旋律にこちらの体も揺れる。村人たち踊りの弾むリズム。月の光を映しこむ川面。
このオーケストラの弦は、なんてきれいなんだろう
ホルンの強奏もうるさくないし、突出しない。管も名技性を誇るような奏者はひとりもいないが、美しい弦と見事に溶け合って、ほのかなぬくもりを感じる。

Kitara2_5  バイエルンの明るさ、ドレスデンのまろやかさ、 最近聴いたこれらのドイツオケと、あきらかに違う。
ビロードやベルベット生地のような、肌触りの優しい感触と言おうか、色でいうと、紺や紫の落ち付きある風情を思わせる。「シャールカ」「ボヘミアの森と草原から」「ターボル」「ブラニーク」、全曲に渡って、チェコ・フィルが自分たちの体に染み付いた国家のような音楽を、そんな音色で心の底から演奏してくれた。
オーソドックスなマーツァルの指揮も、オケの特徴と一体化してしまっていて見分けがつかないようだ。
おらが国の音楽を、おらが国の指揮者とやってみました。
そんな普段着の顔つきの控えめな楽員たちだったように思う。ブラニークのエンディングの盛り上がりも、あくまで自然体で、ほんとうに気持ちいい演奏だった。

アンコールはなし。そう、この曲に、アンコールはふさわしくないから。

Macal 終演後、マーツァル氏のサイン会があり、長蛇の列に参戦せず、横でしばし観察。ジャケットにあったと思うが、帽子と白いマフラーで登場のマエストロ。缶ビール片手に気さくな雰囲気。
ホールを出て、いい気分のまま、「すすきの」に黙っていても足が向かう。
すると、後ろから聞き慣れない言語がたくさん近づいてくる。おやまぁ、チェコ・フィルの方々じゃないかい
公園入口のパークホテルに入っていく。演奏会終了後の解放感からか、なごやかムードで。
さらに見てると、ホテルへ入らない人は、
交差点を渡り「ローソン」へ続々と入っていく。
おお、コンビニの中がチェコ・フィルだらけだ。これはまたスゴイ光景だった。
皆さん、外で食事せずに、コンビニなのかしら。
おや、先ほど関心した美人ハーピストが出てきて、ぶつかりそうになってしまった。

1 私はというと、「すすきの」の魔界にちょっと足を踏み入れ、お寿司をつまんだ。
これまた至福の時。外へ出ると白い雪が舞っていた
寒いけれど、ほのぼのとした気持ちで雪の中、ホテルへ向かったものだ。

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コメント

いいですねー!異国の地でまたさらに異国のオケ。
お仕事とはいえものすごく贅沢な旅、憧れます。

ところで、今日のN響、絶対必見ですね!

http://blogs.yahoo.co.jp/one_finger_too_many

投稿: dota | 2007年12月 2日 (日) 01時02分

dotaさま、こんにちは。
どこへ行っても音楽が聴きたくなる。もうこれは病気です・・・。どうしようもないです。
でも、その地域のオケを聴き、その地域の食べ物を食す。
ある意味大事なことだと思ったりしてます。

そうそう、マリナー必見です。録画します。
次週はBS2で全プロやりますし。

投稿: yokochan | 2007年12月 2日 (日) 12時39分

こんばんは。

>おお、コンビニの中がチェコ・フィルだらけだ。これはまたスゴイ光景だった。

腹を抱えて笑ってしまいました。(涙)

以前、ベルント・ヴァイクルが名古屋栄のコンビニで玉子サンドを買っているのを見た事がありますが、サンドイッチが小さく見えました。

投稿: ピースうさぎ | 2007年12月 2日 (日) 20時11分

ピースうさぎさん、こんにちは。
笑っていただけて、恐縮です(笑)
外国の方はみんな大きいから、ほんとに、目立つんです。
そして、手に手に、ドリンクやパンらしきものを下げてコンビにから出てきました。

ヴァイクルもデカイですよね。
ヨーロッパ人から見たら、日本のコンビには、便利このうえないんでしょうね。

投稿: yokochan | 2007年12月 2日 (日) 22時38分

 KITARAってホールトーンが大好きです。チェコ・フィルの弦は昔から素晴らしいって言われてますね。ナマでは聴いたことがないので貴兄がうらやましいような。ただ、「我が祖国」って最初の2曲しか聴いたことがありません。お恥ずかしい限り。

 下記ブログ、見つけました。よかったらご参照ださいませ。

ttp://loverybagel.blog90.fc2.com/blog-entry-288.html#comment_top

投稿: Cafe ELGAR 店主 | 2007年12月 3日 (月) 14時38分

cafe ELGAR店主さま、こんにちは。
キタラの音はホントきれいに響いて素晴らしいです。
我が祖国は、全曲聴くとハマりますよ。
ついついCDもたくさん揃えてしまいました。

それと!!面白いblog拝見しましたぁ。
読んでて、店主様のお顔が浮かんできてしまいました(笑)
すごいコメントも数ですね、主婦仲間の情報網はスゴイものです。

投稿: yokochan | 2007年12月 4日 (火) 15時36分

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