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2007年12月29日 (土)

マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」 バーンスタイン指揮

1 数日前、打ち合わせで訪れた横浜。
山下町のあたりから、みなとみらいを眺望。

このあと、汽車道をとぼとぼと歩くおじさん一人。
周りは楽しそうなカップルや家族連れ。

Mahler8_bernstein 年末になると、大曲が聴きたくなる。
バイロイト放送を録音しながら、時おりツマミ聴き。
一方で、大作を聴いてしまうのがここ数年のパターン。

ひさしぶりにマ-ラー千人の交響曲を聴く。
このオラトリオといおうか、カンタータのような音楽を交響曲と呼んでしまった破天荒のマーラー。
実際に千人もの人を擁し演奏される場面に遭遇してみたいものだ。
私の実演は、たった一度だけ。
亡きコシュラー指揮の都響の演奏で、もうかなり昔。まわりに家族風の団体がかなりいた。
そう、少年合唱の親御さん達が双眼鏡片手にいるのであった。
でも以外に大人しくて助かった。今思えば、昔の方が鑑賞マナーはよかったんだ。

マーラーは大胆にも、「これまでの交響曲は、この曲に対する序曲に過ぎなかった」などと言ったが、主観的な悲劇から普遍的な偉大な歓喜や栄光を称えたものになったからだという。7番までの曲が悲劇的な内容ばかりではないとは思うし、マーラーの心情や自然賛美のごった煮のような音楽だと思うが、8番は確かにそうした部分が後退している。
1部はラテン語の賛歌だし、2部は「ゲーテのファウスト」から題材が取られているから。

1部は合唱主体で、響きが拡散ぎみになり、ややまとまりなく感じるが、1時間に及ぶ2部は聴き所満載。
役柄を与えられた独唱に素晴らしい歌がたくさんある。
感極まったバリトンが歌いだすところと、そのあとを次いだバスの深々とした歌。
常に情熱的なテノール(マリアを称える学者)は大車輪の活躍。
ソプラノによる清らかなグレートヒェンの歌、マリアの高貴な歌などなど、次々に繰り出されるし、山や森を歌う合唱とオーケストラの素晴らしさ、そして何と言っても最後の「神秘の合唱」。静かに歌いだされ、徐々に輝きと力を増してゆき、最後は燦然たるクライマックスを築きあげて大交響曲は終わる。

こんなすごい大曲は、かつては特別な時でないと演奏されなかった。
記憶にあるものでは、朝比奈隆と大フィル、小沢とベルリン・フィルやフランス国立管のもの、そしてバーンスタインとウィーンフィルのザルツブルク公演など。
いずれも70年代のものしか覚えていない。

 マーガレット・プライス、ジュディス・ブレゲン、ゲルッティ・ツォイマー
 トゥルーデリーゼ・シュミット、ケネス・リーゲル
 ヘルマン・プライ、ホセ・ファン・ダム

 レナード・マーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                  ウィーン国立歌劇場合唱団ほか
                       (75年8月ザルツブルク)

DGに残した2度目のマーラー全集は、8番と10番を残してバーンスタインは亡くなってしまった。やむなく登場したのがORFに残されたザルツブルクライブの音源。
バーンスタインの覇気と情熱に、オケも独唱も合唱もみんな引きずりこまれた大熱演をそのまま録音してしまった。
ドタンバタンというバースタインの飛び跳ね、足を踏み鳴らす音や唸り声もそんまんま入っている。最初はうるさく感じるが、これも音楽と一体になっていることで、気にならなくなる。
勢いのよりあるロンドン響との旧盤より、音楽への没頭感があり説得力も強い。
歌手では、リーゲルの力演とプライの声の素晴らしさが抜きん出てるように思う。

世紀末アールデコの美術家「エルテ(Erte)」の作品をあしらったシリーズのジャケットもよかった。
そのエルテの残したアルファベット文字を使って、マーラーのお名前を作成してみた。
ちょっと気持ちわりぃな・・・・・・。

M_3 A_2

H_2L_2 E_2

R_4

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コメント

最近、バーンスタインの「千人」を聴いていないです。
バーンスタインの新録音ものは全集で持っているのですが、コリン・デイヴィスやラトルのが結構気に入っているので、なかなかたどり着かないです。

一度聴き出すとバーンスタインです。来年はカラヤンイヤーみたいですが、私は断然レニーです。

投稿: ピースうさぎ | 2007年12月30日 (日) 15時15分

ピースうさぎさん、こんばんは。
私にとって千人交響曲は、やはりバーンスタインです。
でもデイヴィスやラトルは聴いたことがないんです。
いろいろ聴くべきでしょうが、この曲ばかりはそうそう聴けませんものね。

私もカラヤンよりは、バーンスタインやベームですね!

投稿: yokochan | 2007年12月30日 (日) 21時00分

yokochanさま こんにちは
風の強い大晦日ですね

今年は、色々な演奏、曲を教えていただき、私の狭いレパートリが少しは広くなった感じがします。

バーンスタイン盤は、ロンドン響とのものは持っています。マーラーの8番は、くーべりっく盤、ショルティ盤が好きですが~。
来年も宜しくお願いいたします。
良いお年をお迎えくださいね~。

ミ(`w´)彡 

投稿: rudolf2006 | 2007年12月31日 (月) 13時39分

おそらく書き込みをご覧になるのは年明けでしょうが、今年1年yokochanさんにはお世話になりました。ありがとうございます。
巷では暮れの音楽はベト9と相場が決まっているようですが、私は過去10年、マラ8なんですよ。今日はMP3プレイヤーで車を運転しながらショルティを聴いていました。26種マラ8を持っていますが、未だベストなし。強いて挙げればショルティとシャイー?でも、ギーレンも捨てがたいし・・・。今一番期待しているのはティルソン・サーマスの新録音(でもあと1年以上待たねばならない!)。CD-Rでの6年前とは比較にならない情熱的かつ思索に満ちた演奏が期待されます。

投稿: IANIS | 2007年12月31日 (月) 17時38分

rudolfさん、関東でも風が強くて、おかげで何本か飛ばされました(笑)
こちらこそ、楽しいやリとりができてとても嬉しかったです。
rudolfさんの連日更新、見習わなくてはと思います。
千人は、私はあとショルティとアバド、テンシュテットです。
いい曲であります。

rudolfさんも、よいお年をお迎えください。

投稿: yokochan | 2007年12月31日 (月) 21時46分

IANISさん、まいどどうも。
いやいや、今年最終記事を執筆中ですよ。
またシュトラウスです。
マラ8は、私も以前は年末アイテムでしたが、ネタ切れです。
しかし、26種とはまたスゴイ!! さすがIANISさんです。
私も強いていえばショルティです。
アバドもいいですが、ちょっとやっつけ仕事の感ありです。
MMTはなかなか完成しませんね。

IANISさん、今年は(も)充実してましたね。
来年もまたよろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2007年12月31日 (月) 21時51分

yokochanさん、ご無沙汰です。
クリスマス目前だからでしょうか、最近、マーラー交響曲第8番が、聴きたくなって。一日中、ピコ・アダージョのフルート→クラリネット→オーボエ→トランペットでメロディーを橋渡すところ、クリスマスにピッタリな、グロッケンシュピール、チェレスタの見せ場。贖罪の女、男性ソロが歌う愛のアリア。ただただ圧倒されるエンドの神秘の合唱。

私はショルティ、クーべリックの解釈が好きで、バーンスタインのテンポの緩急のつけ方は好みではありませんが、ヴィーン コンツェルトハウスのライヴはただただ凄くて、涙腺が緩んでしまいました。

CDでは、ベターですが、ショルティ盤を愛聴しています。
MMTも完結とのことで、今日Amazonで取り寄せて、ジルベスターには間に合う予定です。

いつか、この作品で、最もお気に入り演奏について書かれたら、語り合えたらなと思います。

こうして聴いていて、ファウストをまた、読みたくなってきました。

MMTのレコーディング風景は、こんな感じだったようですね。
http://www.youtube.com/watch?v=MAjmM7lcb1c
音のチェックで使ったヘッドホンは、SENNHEiSER HD650とAKG K701みたいですね。

投稿: Kasshini | 2013年12月23日 (月) 15時38分

Kasshiniさん、こんばんは。
こちらこそ、ご無沙汰をしております。
たしかに、この時期、年末にかけて千人はいいですね。
わたしくは、例年年末に聴いておりましたが、今年は他で大忙しなので、聴くことはできないと思います。

わたしのこの曲の刷り込みは、ショルティのレコードです。
音が凄過ぎて、針が飛んだり、スピーカーがハウリングしたりしましたが、いまは、CDでその心配もなくなり、そして静かな部分にこそ魅力を感じるようになりました。

MTTの音盤も、録音がやたらとよさそうですね。
年内に手にされること、お祈りしてます。

投稿: yokochan | 2013年12月23日 (月) 23時26分

先ほど、無事記事を書き終えましたので、アドレスにはリンクしていますが、さっとMTT&サンフランシスコ響の感想を。

この作品を改めて調べていて、交響曲第8番は、死の直前まで、マーラーが最も気に入っていたようで、第10番フィナーレのメロディ、ハーモニーはマーラーの中で最も美しいのですが、この先は、批判的継承者ことシェーンベルクの室内交響曲、コルンゴルト、ショスタコーヴィチ、佐村河内守に目が行ってしまうので。マーラーで一番好きなのは、この8番という思いを新たにしました。

さて、演奏の方は、ショルティでも聴こえにくい一部の木管パートが良く聴こえます。私自身SACDでは聴けないので、この状態だとどう聴こえるかは非常に興味があります。合唱、ソロ歌唱の比重があがっていて、必然的に、ショルティ盤では最高のあおり役と言えたパイプオルガンのウェイトは下がっています。解像度が高くなったクーベリック盤といったような趣のある録音でした。
ソリストも、ショルティ、クーベリック、バーンスタイン ザルツブルクライブには劣りますが、マリア崇拝の騎士の渋さは、これはこれでいいといえるものでした。
私は来年の初紅富士をマーラー交響曲第8番神秘の合唱で迎えようと思います。
私自身、今年は、佐村河内守作品の室内楽がまだまだ未消化でした。来年は、より理解していきたいと思っています。それでは、良い年をお過ごしください。

投稿: Kasshini | 2013年12月31日 (火) 13時07分

Kasshini さん、年内も押し迫ってまいりましたね。
わたくしも、マーラーで何番が押しですか?と聞かれると、8番と答えるようにしてます。
オペラを書かなかった、マーラーのオペラ的作品に思え、かつファウストという、女性賛美のテーマが根底にあると思うからです。

なるほど、やはりMTTは録音の良さも決めてなのですね。
いい装置が欲しいですが、思いきり鳴らせる環境というのは、どこにもありそうもありません。
いつかは、そんなふうに思いきり聴いてみたいものです。

赤富士をご覧になるのですか?
きっと、神秘の合唱は、極めて素晴らしく、神々しく響くことでしょう。
そして、来年は、わたくしのほうは、佐村河内さんのピアノ作品をしっかりと聴き込みたいと思っております。

良いお年をどうぞ。
そして来年もよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2013年12月31日 (火) 22時59分

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