ホルスト 組曲「惑星」 メータ指揮
昭和の街の夕暮れ風景。
こんな情景を現実に見たことがない人々も、何故かどことなく懐かしいはず。
平成の年代は、将来どんな風景と共に思い起されるのだろうか?
それは、はなはだ心もとないものではなかろうか?
少し前のものだが、「横浜ラーメン博物館」、ラー博の夕暮れ。
お正月の「おせち」や「雑煮」に飽きたら、食べたくなるのが、「ラーメン」や「カレー」。
体が日常回帰を望んでる。
ラー博内の「春木屋」の中華そば。
どうすか!
食べたくなるでしょ!!
さて、正月行事も終わり、本年の本格試聴は、ホルストの「惑星」だ。
(テレビでは「のだめ」やってるけど、後で録画を楽しむこととしよう。
それと、プレートルのニューイヤーはこれまた、録画したものの前半を視聴。
いいんでないかい!)
英国作曲家としてのホルストではあるが、その名もギュスターヴで、読み方を変えればグスタフ。
そう、スウェーデン人の父を持つため、北欧風の名前なのだ。純潔英人ではないが、英国民謡を愛した、その音楽は正に英国音楽そのもの。
でもその思いや音楽に、ホルストが凝ったインド・サンスクリットの東洋思想のスパイスが織り込まれ、独特のエキゾシズムやテキストが生まれることとなった。
以前取上げた、「雲の使者」が最たる一例。
占星術へののめり込みも、そうした一環で、この組曲の7つの惑星のサブタイトルとそれを意識した音楽作りも、まさにそこから来ているという。
あまりに有名な作品だから、これ以上は必要ないね。
メータとロスアンゼルス・フィルは、ツァラトゥストラ、ハルサイなどで、次々と大ヒットを飛ばし、ついでこの曲を録音し、日本発売は1972年のこと。
大ベストセラーを記録し、その年のアカデミー賞を難なく獲得。
当時、「惑星」といえば、どちらかといえばマイナー作品で、レコードは、カラヤン/ウィーンフィルか、ボールト/ニュー・フィルハーモニアくらいしかなかった。
その後、怒涛のような「惑星」ブームが訪れることとなったはずだ・・・・。
中学生だったワタクシ、来る日も来る日もこのレコードを聴いた。
特に、ダイナミックな「火星」と、明るい「木星」ばかりを。
でも時にロマンテックな思いにおちいり、夕暮れの一番星を眺めつつ、美しい「金星」も楽しんだものだ。
常にメータのダイナミックで、わかりやすい演奏がそこにあった。
同時期にディーリアスに目覚め、徐々に、私の嗜好も変わり、「惑星」離れを起した。
でもすぐに、英国音楽の視点で「惑星」が再び接近して来た。
今度は英国オーケストラによる演奏にこだわるようになった。
ハイティンク、ボールト、ラトル、ハンドレー、ガーディナーなどなど。
目玉も火星ではなく、「金星」「土星」に移行した。
こんな変遷を経て聴く久方ぶりのメータ盤。
何て旋律の鳴らし方がうまいんだろうか。すべてが自然で、誇張したところは一切なかった。瑞々しい金星に、黄昏のような土星。火星の威勢のいいイメージばかりが、この懐かしいメータ盤を覆っていたのかもしれない。
英国オケに比べると明るい音色が勝るロスフィルだが、弦と木管と金管の溶け合いが非常に美しい。ないものねだりとしては、陰影の濃さだろうか。
レコードジャケットの裏面。
豪華見開きジャケットは、ずしりと重く、インテリアとしても洒落たものだった。
ああ、懐かしき昭和のレコード時代なり。
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コメント
おはようございます。
ホルストが英国の作曲だったことは知りませんでした。
名前から想像してドイツ人かと勝手に思って
いました。
投稿: 風車(かざぐるま)2号 | 2008年1月 6日 (日) 06時43分
おはようございます。
ああ、メータの「惑星」!懐かしいですね。ジャケットも豪華版、とても懐かしく思い出しました。LP、エエですね。
オーディオ・ブームとともにメータの「惑星」が出て、怒濤のような「惑星」ブームが始まったのでした。しかし、メータ盤は、今も演奏・録音ともに最良のものと思います。1970年代、昭和の時代、イイ時代でした。
投稿: mozart1889 | 2008年1月 6日 (日) 09時48分
ああやっと、私の知っている曲のお話に……(笑)
今年もよろしくお願いします。
>特に、ダイナミックな「火星」と、明るい「木星」ばかりを。
私も中学生の頃はもっぱらこの二つでした。
「土星」にのめり込んだのは30歳を過ぎてからです。
>英国オケに比べると明るい音色が勝るロスフィル
やっぱり米と英では違いますか?
ロスフィルの音はなんとなく想像がつくのですが、英国オケの特色って何でしょう。早く聞き分けられる耳をつくりたいものです~。
投稿: しま | 2008年1月 6日 (日) 10時22分
みんな の プロフィールは、アクセスアップをお手伝いするサイトです。
http://blog.livedoor.jp/meannano/
より多くのひとに貴方のブログを見てもらえます。
投稿: みんな の プロフィール | 2008年1月 6日 (日) 12時19分
風車(かざぐるま)2号さま、こんにちは。
そうなんです、生粋ではありませんが、英国人といってもいい作曲家です。惑星以外にもいい曲がありますので、これからもいろいろ聴いていきたいと思います
投稿: yokochan | 2008年1月 6日 (日) 17時58分
mozart1889さん、こんにちは。
懐かしいですよね。この頃のメータもそうですが、70年代のレコード界は活気もあって、カラヤン・ベーム・バーンスタインらがどんどん新譜を出してくる・・・・
懐かしいいい時代でした!
投稿: yokochan | 2008年1月 6日 (日) 18時01分
しまさん、今年もよろしくお願いします。
>やっと知っている曲の話し<
ちょっとひねくれてましたかねぇ~(笑)
今年も硬軟取り混ぜていきますよ!
長いこと聴いてると、音楽の嗜好も徐々に変わってきました。
土星が身に沁みる今日このごろでありますよ。
英国オケを聞き分けられるほどの耳を持ち合わせておりませんが、録音場所、レーベルなどによっては、くすんだノーブルな響きで、英国風・・・、と思い、聴くことができます。
でも難しいですね。最初からそれと知って聴くからにすぎないのかもしれませんし、感覚の問題なのかもしれません。
投稿: yokochan | 2008年1月 6日 (日) 18時10分
Yokochanさん、今年もちょくちょく寄らせて頂きますので、宜しくお願い致します。
さて、惑星というとLP時代に超邪道ながら富田勲のシンセサイザー盤に凝ったことがあります。この刺激が強すぎて(^^;)、その後しばらくはオーケストラ盤を聴くことが出来ませんでした。
CD時代になってからはあまり触手が動かず、手元にはデュトワ/モントリオール盤しかありませんが、今夜はこれから久しぶりに宇宙に旅立つことにします♪
投稿: YASu47 | 2008年1月 6日 (日) 21時53分
YASUさん、こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
ありましたね、富田版惑星。ジャケットもやたら鮮烈でした。
RCAから出てました。
今では、それこそ惑星は猫も杓子も状態ですが、真剣に聴くと、ほんとうにいい音楽です。
これをBGMに、惑星見学も夢ではありませんね!
投稿: yokochan | 2008年1月 6日 (日) 23時53分
こんにちは。今年も楽しみに読ませていただいてます。今年もよろしくお願いします。
ホルストの「惑星」は、オペラ未満のころの愛聴曲のひとつです。聴きすぎたか飽きていたので、P.ホフマンの歌を知っても管弦楽には戻りませんでした。でも、最近、そして昨年末にも平原香織が頻繁に耳に入ってきます。そんなこんなで、今年最初に聴いた曲はオペラではなくてこれ。久しぶりに聴くと、やっぱり魅力的です・・ 人気があるのも当然ですね・・ 元日のご挨拶ブログはP.ホフマンの歌を載せちゃいましたけど。
投稿: edc | 2008年1月 7日 (月) 07時26分
euridiceさん、こんにちは。
P・ホフマンの歌も結構、堂に入ってますね。
それでもって、平原綾香。私は最初、なんだよ・・・という気持ちが勝り聴きませんでしたが、彼女の歌唱力の前に降参しました。彼女のほかの曲もなかなか深くていいものでした。
聡明な彼女は、今年、年女だそうで、声優などにもチャレンジしていくそうです。
投稿: yokochan | 2008年1月 7日 (月) 22時27分
>平原綾香
同様です。昨年末の紅白ではじめてちゃんとききましたが、聴かせますね・・
投稿: edc | 2008年1月 8日 (火) 07時27分
euridiceさん、私は最初はハスに構えてましたが、平原綾香嬢、とても歌がうまいですね。ジャンルを越えていい歌を聴かせる人は心に響きますね。
投稿: yokochan | 2008年1月 8日 (火) 23時35分
はじめてちょっと調べてみました。「木星」の旋律、いろいろと歌詞を付けて歌われているのですね・・相互TBありがとうございます。
投稿: edc | 2008年1月12日 (土) 13時10分
euridicesさんの記事拝見して、いろいろな方が歌っているのに驚きでした。
やはり原曲がいいんですね。
TBありがとうございました。
投稿: yokochan | 2008年1月12日 (土) 20時06分
今晩は。今年のバイロイトのオランダ人の演出には仰天しました。予算不足の学芸会というモナコ命様のコメントに同意です。85年バイロイトのクプファー演出にさえ「?」の私はこの演出にはついていけそうにないです。去年のローエングリンの演出もすごかったですね。ワーグナーのト書き通りの演出で彼のオペラが観れるのがメトだけになっちゃうのは寂しいですね。
メータの惑星とスターウォーズ組曲を聴きました。79分、一枚に入っています。惑星も良かったですが、スターウォーズがそれ以上に良かったです。作曲者ウィリアムズのボストンポップスやスカイウォーカーシンフォニーを指揮した自演盤よりずっと上だと思います。管楽器や打楽器のうまさなどは「貴方がた本当はシカゴなんじゃないの?」と突っ込みたくなるほどでした。
投稿: 越後のオックス | 2012年7月29日 (日) 17時43分
越後のオックスさん、こんばんは。
まだ限られた画像のみの確認ですが、ご覧のとおりです。
ただ、間違っているかもしれず、その評価は全体を舞台なり映像なりで確認してからが本質なんですが・・・・。
でも、嫌な感じですよね。
故シュルゲンジーフのパルシファル、曾孫のマイスタージンガー、ノイエンフェルスのローエングリン、昨年のタンホイザー、そして今回。
次々にやらかしてくれますが、ドイツのほかの劇場でも普通に観れる現状に、バイロイトの本流としてのオリジナリティが問われるところです!
メータのJ・ウィリアムズは、痛快でゴージャスですよね。
自演盤より面白いのはたしかですね。
これらの作品、もっともっといろいんな演奏で聴いてみたいですね。
ウィーンフィルがやるような世の中になりましたから。
投稿: yokochan | 2012年7月30日 (月) 21時51分
このディスク、初出のSLA規格は手が出ませんで(笑)、ユニヴァーサルのUCCD規格の1200円盤で、聴きました。最近タワレコからSACD化されたものは、ブックレットのデザインが国内盤裏ジャケットのそれでした。
この時期のメータは『春の祭典』にしても、シェーンベルクでも、面白く聴かせる事に腐心し過ぎる‥と、故-柴田南雄さんが指摘なさってましたが、私見ではこのホルスト文句なしです。この指揮者の資質にぴったりですし、最後のコーラスの合唱監督が、ロジェ・ワーグナーとクレジットされていたのにも、驚きました。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年5月26日 (日) 06時21分
この豪華な見開きジャケット、レコードを所有する楽しさを感じさせてくれる1枚でした。
ちなみに、「ハルサイ」からすると、レコード自体の重さが軽くなってます。
まだまだ健在のメータですが、いまでも、こうしたレパートリーをうまく聴かせる長老ですね。
投稿: yokochan | 2019年5月28日 (火) 08時36分
その後のKINGのレギュラー盤には、例えばSLA-1111なる番号のショルティ&シカゴの『ツァラトゥストラ‥』は、差し込み式のかつての豪華さの微塵も感じられない、寂しいものでした。1枚2500円も、していたのに‥(笑)。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年5月28日 (火) 12時41分
70年代半ばから、レギュラー盤は2500円になり、ジャケットもシングルに。
そして、70年代後半には、2800円になっちまいましたね。。。。
投稿: yokochan | 2019年5月30日 (木) 08時14分