R・シュトラウス 交響的幻想「イタリアから」 ケンペ指揮
今日のNHKのニュースで見たけれど、イタリアのナポリが大変なことになっているらしい。
この画像のように、街中ゴミがあふれていて、環境被害も出ているようだ。当局の政策ミスや、マフィアの関与などが取りざたされているらしい。この問題は、ナポリから発祥して周辺に広がっているらしく、暴動も起きているらしい。詳しくはこちら。
いやはや、南イタリアの血の気の多さに驚くけれど、官とその筋との間柄にも映画のような恐ろしさを感じますな。
ただし、決して他人事でない、ゴミ問題。昨晩もテレビで、都会に増殖するゴミとともに活きるネズミの特集があった。繁華街の飲食店の閉店後は恐ろしい・・・・・。
「ナポリを見て死ね!」じゃなくて「ナポリを見たら死ぬ!」になっちゃった。
強引なこじつけながら、R・シュトラウス作品(1864~1949)の制覇を目指して、本日は初期の作品交響的幻想「イタリアから」を聴く。
1886年にイタリアを訪れたシュトラウスが、その時の印象をそのままに、同年4楽章からなる交響的作品に仕上げた。
シュトラウス、まだ21歳から22歳にかけてのこと。
作曲家としてのシュトラウス、これまでに交響曲を2曲、吹奏楽曲、ヴァイオリンやホルンの協奏曲、室内楽などを書いている。
出世作ともいべき、「ドン・ファン」は翌年の作品。
1楽章「カンパーニャ地方にて」・・・ナポリを中心として、その南方一帯のエリアがカンパーニャ地方。切り立つ山が、そのまま海に落ち込んでいる。魚介類のおいしそうな、きっとオリーブオイルと香辛料の匂いが街にあふれていそうだな。シュトラウスの音楽もも瑞々しく、陽光が溢れている。
2楽章「ローマの遺跡にて」・・・この楽章はあんまりインプレッションがない。やや常套的な音楽で、描写音楽の才人としては若書きの部類かしら。屈託ない音楽はシュトラウスらしい。
3楽章「ソレントの浜辺にて」・・・交響曲でいうと緩徐楽章。「帰れソレント」であまりにも有名な地名だけれど、実際はどんなところなんだろう?
ナポリ湾を挟んで、ナポリの対岸の街で、風光明媚なリゾート地らしい。
シュトラウスの音楽は、たぶん夜の雰囲気を描いているらしくかなり幻想的。
これを聴いて、シュトラウスと当てられない。緩やかで生暖かい夜の音楽は印象派風。
4楽章「ナポリの人々の生活」・・・泣く子もだまる、「フニクリ フニクラ」が朗々と鳴り渡る。
初演の際は、ここで大盛り上がりだったらしい。
陽気に明るく、フニクリッ、フニクラッ、・・・・。楽しい楽しい!
40分あまりの明るい作品。後年の作品群との格差があまりに激しい。
ルドルフ・ケンペがドレスデン・シュターツカペレと残した珠玉のシュトラウス全集。
私にとってのお宝全集だ。協奏作品も含むどれもこれもが、確実な演奏で、ドレスデンの美音がEMIとしては名録音で楽しめる。
イタリアの陽光の眩しさはないけれど、しなやかで心地よい響きが堪能できる。
「フニクリ・フニクラ」といえば、ジョゼッペ・ディ・ステファノ。
粋な伊達男、多少いい加減でも、その歌いぶりは誰しもの心の提琴にふれるはず。
こんなイタリア男のテナーはもう現れないだろうな!
南イタリアの惨状が早く解決することを祈ります!!
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コメント
yokochanさま お早うございます。
ナポリのゴミ騒動、テレビのニュースで見ましたが、イタリアならではのものなのかなって思ったりも。対岸の火事ではないかもしれませんね。日本の大都会、ネコくらいの大きさのネズミに占拠されているとのことですよね。
ケンペ・ドレースデンのシュトラウス集、安く、本当に良い演奏、ケンペってシュトラウスのオペラも良いですよね、「アリアドネ」は、ケンペ盤を一番良く聴きます~。
なんか、派手さはなくても、こういうプロに徹した指揮者、あまり見あたりませんね、ちょっと寂しいですね~。
ディ・ステファノさんの「脳天気な」歌声(良い意味で使っています)、懐かしいですね。私はカラスは苦手なんですが、来日公演でピアノ伴奏で行った、ステファノさんとの「カルメン」の終幕、テレビで見ただけですが、あんなすごいカルメンは聴いたことがありません。
イタリアのテナーでは、コレルリさんが大好きですが~
ミ(`w´)彡
投稿: rudolf2006 | 2008年1月16日 (水) 07時53分
おはようございます。
この曲はC・クラウス/ウィーン・フィルのCDを持っています。曲よりもウィーンフィルの美しさに耳がいってしまいます。
一緒に収録されている「サロメ」からの「七つのヴェールの踊り」、妖艶、退廃の美の極致でもっぱらこちらだけを聴いてしまいます。
ディ・ステファノのジャケット、懐かしいです。
中学2年の時に買って毎日のように聴いていました。
エンジェルの赤いLPでした。
投稿: 天ぬき | 2008年1月16日 (水) 10時39分
今日は
ナポリは観光スポットとしては人気がある
都市ですが、スリが多いことでも有名です。
さらにゴミ問題が浮上すると観光ルートから
ナポリが外されてしまうのでは?
投稿: 風車(かざぐるま)2号 | 2008年1月16日 (水) 14時08分
こんにちは。
初めて書き込みさせていただきます。(たぶん・・・)
ケンぺの全集、同じものを持っています。
この全集で交響的幻想「イタリアから」を知ることができました。
僕は3楽章が好きです。曲の雰囲気がたまらなくいいんです。
4楽章は、「フニクリ フニクラ」をうまく使って作曲していますね。
投稿: よんちゃん | 2008年1月16日 (水) 14時23分
rudolfさん、こんんちは。遅くなりまして申し訳ありません。
ナポリの惨状はあまりにもむごたらしいです。ゴミを出さない生活はどこでも不可能なんですかね・・・・。
ケンペは、最高のシュトラウス指揮者の一人ですよね。
もう少し長生きしてくれたら。という人の筆頭でもあります。
そして、ステファノは、そうですね、カラスなしには語れません。私もカラスの復活コンサートをテレビで見ました。
トスカも舞台上演する予定でしたが、降りてしまい、カバリエが代わりをつとめました。そのときも、ステファノがカヴァラドッシでありました。
コレルリもかっこいいですね!
投稿: yokochan | 2008年1月17日 (木) 09時43分
天ぬきさま、こんにちは。
クラウスはまさに直伝のシュトラウスですね。
実はまだ聴いたことがないのです。ウィーンフィルだし、コメント拝見して無性に聞きたいです!
赤いレコード。半透明のものですね。私もいくつか持ってました。ステファノのナポリ民謡は、デッカからでているレコードも聴いてました。高校の頃ですが、レコードに合わせて歌ったりしてました(笑)
投稿: yokocahan | 2008年1月17日 (木) 09時48分
風車(かざぐるま)2号さま、こんにちは。
南イタリアは、おっかない場所ですね。
でも、風光明媚なナポリで救われていたのに、このありさまじゃ悲しいことですね。
投稿: yokocahan | 2008年1月17日 (木) 09時51分
よんちゃんさま、こんにちは。そしてようこそ。
ケンペのこの全集は、昔が信じられないくらい安くて、しかもいい録音ですね。
どの曲も標準的な名演で文句なしです。
4楽章につい耳がいってしまますが、おっしゃるように3楽章の美しさは素晴らしいです。
貴ブログ、拝見しました。
吹奏楽の指揮をなさってらっしゃるんですね。
娘が吹奏楽部に所属してますので、意外と知られていない吹奏楽の音楽を最近は聴くことも多いです。
またいろいろと、お教えください。
ありがとうございました。
投稿: yokocahan | 2008年1月17日 (木) 10時01分
はじめまして。
こちらは、「UK-Japan2008」公式WEBサイトの運営を行うUK-JAPAN2008WEBサイト運営事務局です。
英国大使館およびブリティッシュ・カウンシルでは2008年に「芸術・科学・クリエイティブ。新しいUKを体感できる一年、UK-Japan2008」を開催いたします。
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このたび、yokocahanさんのブログを拝見させていただき、
特に音楽関係のコンテンツがとても充実していると感じました。
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UK-JAPAN2008WEBサイト運営事務局
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※UK-Japan 2008WEBサイト運営事務局は、株式会社読売広告社および株式会社ライトアップで構成されています。英国大使館とブリティッシュカウンシルで構成される「UK-Japan 2008」実行委員会より委託され、 BLOGサイトの運営を行っております。
#突然コメントに書込みを致しました失礼をお許しください。
こちらのブログにふさわしくないようでしたら、お手数ですが
削除をお願い致します。
投稿: UK-JAPAN2008WEBサイト運営事務局 | 2008年1月17日 (木) 15時25分
今日は。リヒャルト・シュトラウスについて語りだすと止まらなくなっていつも顰蹙を買ってしまう越後のオックスです。私が持っているケンペのシュトラウス全集はブリリアントのものですが、内容も音質もほぼ同じだと思います。私はケンペとアシュケナージ&クリーヴランドの2種の演奏を持っています。アシュケナージ盤はクリーヴランドの超絶技巧とデッカの光彩豊かな録音が聴きものです。ムーティがベルリンフィルを指揮してこの曲をフィリップスに録音していますが、未聴です。きっと聴いていて元気が出てくるような溌剌とした演奏なのでしょうね。
皆さんが仰っているように本当にお宝全種ですよね、ケンペのシュトラウス全集は。人気曲や超有名曲からマイナーな曲まで網羅されていますし。たった今、「イタリアから」と「マクベス」を聴き終えて陶然となっているところです。バブル期にはこの全集、とても手が出せないほど高価だったのですが、2005年の秋にブリリアントから出たのを入手できました。ホルン協奏曲第2番なんかダムさんのホルンの音色も、晩年のモーツァルトみたいな穏やかな曲想も大好きです。第1番の気負いっぷりも微笑ましいですね(笑)。確かにケンペは「最強シュトラウス指揮者トーナメント」をやったら優勝しそうな指揮者の一人ですね。ベーム、ショルティ、サヴァリッシュ、それにイマイチ評判のよくないアシュケナージも私はすきですが。
余談ですが、アルテノヴァから出ているハイコ・ジーメンス指揮ミュンヘン響のシュトラウス合唱曲集、物凄くいいです。ベルリン・オリンピック祝典曲が最高の音質で聴けます。私は右翼でも反ユダヤ主義者でもありませんが、ワーグナーのマイスタージンガーの一節のような華麗で壮大な曲想に魅了されてしまいました。
皇紀二千六百年祝典曲をアシュケナージがチェコフィルを指揮して録音してくれたのは嬉しいのですが、エクストンのCDって高いですね・・・
投稿: 越後のオックス | 2009年8月 8日 (土) 14時50分
越後のオックスさま、こんにちは。
R・シュトラウス、大いに語ってください(笑)
私も語りすぎて、もう言葉もありませんが、音楽は常に聴いてます。
ケンペのシュトラウス全集は、同時にドレスデンの全集でもありますね。コインの裏表のようなコンビでシュトラウス全集が残されたことはとても幸いでした。
願わくは、もう少し長生きしてオペラをもっと録音して欲しかったことです。
あとを継いだシノーポリが、徐々にいいシュトラウス指揮者になりつつある時に亡くなってしまい、誠に残念。
そしてそのあとのルイージもシュトラウス指揮者まっしぐらですが、これまた残念なことにドレスデンの指揮者を降りることを表明してます・・・・。
ドレスデンと関わりある指揮者たちは、ハイティンクもそうですが、なかなか長続きしないようです・・・・。
という訳で、シュトラウス指揮者トーナメントには、この3人とプレヴィン、ダークホースとしてビシュコフをあげておきます(笑)
ちなみに、アシュケナージは食わず嫌いか、いまだに聴く機会を持っておりません。。。
投稿: yokochan | 2009年8月 9日 (日) 12時34分
天ぬき様御指摘のC-クラウス&VPOの『イタリアから』、『The-Complete-Decca-Recordings』‥478-6493,5CD‥で、聴きました。若書き作品の超魅力的な演奏ですね。yokochanお取り上げのケンペ盤、最近やっとこさ買い入れまだ未開封状態ですが、楽しみです
投稿: 覆面吾郎 | 2019年12月 3日 (火) 09時10分