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2008年2月 8日 (金)

バルトーク 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 ブーレーズ指揮

ピエール・ブーレーズは、今年83歳。
作曲家としてブーレーズに関しては私は不案内なので、なんともいえません。
指揮者としては、1950年代後半から自作を中心に活躍しはじめ、コンサートホールに録音した、「春の祭典」でその指揮者としての実力を見せつけたはずだ。
同レーベルには、同じストラヴィンスキーの結婚や、水上の音楽なんかもある。
そのブーレーズに目を付けたのが、ヴィーラント・ワーグナーで、1966年、クナッパーツブッシュの後任として「パルシファル」に起用したのだ。
「オペラは死んだ」とか「オペラハウスを燃やせ!」なんぞと、過激な歌劇発言をしていたブーレーズは、幽玄長大だったクナのパルシファルとは反対に、快速・明晰なパルシファルをこともなげに聖地で演奏してしまった。
ヴィーラントの眼力とその目指した音楽に、今もって驚かざるを得ない。

それでもって、話題はブーレーズの頭のこと。
若い頃に較べて、髪が増えているのである。
カツラなのか、リーブ増毛なのか、1:9分けかなんかで、思い切り横から持ってきているのか???
歳を経るごとに、髪が増え、音楽も先鋭一本やりから、丸みを帯びるようになったブーレーズ。笑顔も増えたし。
こんなことしてゴメンなさい、ブーレーズさま・・・・。

Boulez_1_2

Boulez_2_4 Boulez4_3

Boulez_bartok

ブーレーズがCBSに録音し始めた40代の録音のひとつが、バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」(弦チェレ)とストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲。
オーケストラは、BBC交響楽
このジャケットからして、あの頭部の時代。
バルトークが1937年に完成させた斬新かつ民族色の濃い作品は、フルトヴェングラーも初演後すぐに演奏したという。

4つの楽章からなるが、全編厳しく、緊張感たっぷり、ある意味無愛想なくらいのクールな雰囲気に満ちている。
このクールな雰囲気が、青白い炎のようにメラメラと燃えるような押さえた情熱を感じさせるところが、バルトークならでは。
精確無比、怜悧で切れ味鋭い、このブーレーズの演奏は、私が高校生の時に聴いた。
当時レコード芸術で、諸井誠氏が、「ぼくのBBB」という連載を書いていた。
女の子一人と、音楽喫茶の主人(だったと思う)と客のクラヲタ達の物語で、BBBとは、バーンスタイン、ブーレーズ、バレンボイムである。
この3人の演奏をいろいろ比較して聴いてゆく内容だった。
そこで、3人が共通して録音している曲が、この弦チェレで、これを読んでいて、無性に聴きたくなって購入したレコードなんだ。
少しツメは甘いけれど大らかなバーンスタイン、若さみなぎり踏み外さんばかりのバレンボイム、完璧なブーレーズ・・・・、こんな内容だったように思う。

シカゴとの再録音は未聴ながら、40年前の録音とは思えない色褪せない演奏。
ちなみに、「火の鳥」は1910年版組曲を採用しており、通常より長いが、終曲がなく、カスチェイの踊りで終わってしまう。ちょっと消化不良の感を抱くが、当時のブーレーズならではの選択であり、演奏である。

私もあやかりたい、ブーレーズの頭・・・・・、悲し~~。

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コメント

懐かしいCDの一枚と同じ内容だと思います・・ バルトークの曲、いいですね。オペラにはまってからご無沙汰ですけど。オペラでは「青ひげ公の城」やっぱり気にいりました。

投稿: edc | 2008年2月 9日 (土) 07時48分

こんにちは。
リーブですかね…。しかし、この方、だんだん欽ちゃんに似てきています。
「ぼくのBBB」、単行本化されたものを読みました。マニアックで面白かったですね。

投稿: 吉田 | 2008年2月 9日 (土) 10時26分

ブーレーズは1960~1970年代のCBS録音、特に「幻想」や「運命」などが強烈でした。1970年にセルと共にクリーヴランド管と来日した頃は、「指揮もする現代音楽の作曲家」というイメージでしたが、最近ではレパートリーも増えて、いかにも指揮者っぽくなりましたね。

投稿: EINSATZ | 2008年2月 9日 (土) 12時56分

こんにちは。
ブーレーズは「パルシファル」の後、「リング」をやってませんでしたか?演出がパトリス・シェロー(確かこんな名前だったかと・・)で。
記事を読ませていただいて、ふと思い出しました。間違えていたらごめんなさい。

投稿: よんちゃん | 2008年2月 9日 (土) 13時33分

euridiceさん、こんにちは。
バルトークの音楽は妙にひきつけるものがありますね。
マジャール的なことは、東洋的なことにつながってます。
私も、青ひげのオペラは好きですね。
中間部の盛上りは最高です!

投稿: yokochan | 2008年2月 9日 (土) 23時39分

吉田さん、こんばんは。
やはり、リーブですかねぇ~。
ハイティンクやシュタインのように、あれしかしらない方々、エッシェンバッハのように玉手箱のように、ああなってしまった方とはまた違うブーレーズの頭が好きです・・(笑)
BBB、本になってたんですか!
まとめて読んでみたいです。

投稿: yokochan | 2008年2月 9日 (土) 23時46分

EINZATSさん、こんばんは。
さすが、70年のことは完璧ですね!
セルとブーレーズのダブル・クリーヴランドは、いまでは夢のような世界ですね。
ロンドンのオケを振った「運命」も超遅く鮮烈でしたが、例のクレンペラーの方が遅かったのでしたっけ。

投稿: yokochan | 2008年2月 9日 (土) 23時51分

よんちゃんさま、こんばんは。
そうそう、そうです。パルシファルのあとは、76年のバイロイト100年のリングです。
パトリス・シェローの演出で、同じ母国のフランス・リングと言われました。あまりの具象的かつ奇抜で、バイロイト始まっていらいのブーを浴びましたが、このコンビはそれを克服し、5年後には大絶賛の名舞台となりました。
ブーレーズはワーグナーにおいてもすごい指揮者ですね!
ちなみに、66年にバイロイトのプロダクションが初の海外公演を日本で行なったおりのトリスタンの指揮者がブーレーズです。
オケはN響でした。

投稿: yokochan | 2008年2月 9日 (土) 23時58分

ブーレーズの頭は爆笑でした。

若い頃は、東国原知事にソックリですね。
1:9分けは、おそらく池辺方式かと、、。

投稿: dota | 2008年2月12日 (火) 14時10分

dotaさま、こんばんは。

人一倍、頭髪には敏感なものですから、この企画、前からあたためておいたんですよ。
逆のパターンは、エッシェンバッハを最高事例としていくつもありますが・・・・・。

たしかに、そのまんま・・・、じゃなくて東国原知事にも似てますねぇ。池辺方式は、ただいま研究中であります(笑)

投稿: yokochan | 2008年2月12日 (火) 23時31分

 yokochan様今晩は。
 このCD、二十年前に買いました。でも苦手な演奏なんです。ルーズで野放図な私には厳しすぎます。滅多に聴かないのですが、貴ブログで話題になっていたので久しぶりに聴いてみました。やはり厳しすぎます。最近の丸くなったブーレーズのほうが好きですね。ツィマーマンと共演したバルトークの協奏曲第1番の素晴らしいこと!アバド&ポリーニの火を吹くような演奏とは正反対かもしれませんが、どちらも持っていたいと思わせる名演でした。私の愛聴する弦チェレはドラティ&デトロイトです。ドラティ盤は決して生ぬるい演奏ではありません。ショルティ同様年齢を超越した音楽家だったと思いますし。そのドラティよりもはるかに厳しいのですからこのブーレーズ盤の厳しさは尋常なものではありませんね。
最近聴いた弦チェレではマリナー&シュトットガルトの
カプリッチョ盤が名演でした。穏やかで紳士的な演奏ですが深さを感じさせます。 
 話題が変わりますが、貴ブログ常連のShushi様はとても面白そうな方ですね。私と同じく辻邦生先生の小説をバイブルとして信奉し、塩野七生さんの歴史文学を愛し、私同様、ワーグナー、R・シュトラウス、クライバーを好んでおられる。人格も教養も田夫野人の私よりはるかに高そうです。今の私は文学的戦闘力(笑)を失っており,辻先生の小説のあらすじや主要登場人物の名前もど忘れする悲惨な状態ですから遠慮していますが、文学モードが復活してきたらShushi様と辻邦生談義がしたいと思っております。Shushi様、そのときは不束者ですがよろしくお願いいたします。温厚篤実なワルターのリハーサルにしょっちゅう押しかけ、もといお邪魔していたクレンペラーみたいになってしまいそうですが(笑)…

投稿: 越後のオックス | 2009年4月26日 (日) 00時14分

越後のオックスさま、こちらにもありがとうございます。
マリナーの件のバルトークは、マリナー好きの私も聴いたことがないのです。よさそうですね。

そういえば、越後のオックスさんとshushiさんはまったくかぶりますね。
同一人物みたいです(笑)
是非ご訪問ください。イタリア紀行にベルクやシュトラウス、ワーグナーなど素晴らしいエントリーばかりです。
クレンペラーですか!楽しいエピソードですね。

投稿: yokochan | 2009年4月26日 (日) 12時57分

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