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2008年2月 9日 (土)

R・シュトラウス 楽劇「サロメ」 新国立劇場公演

Salome_2  新国立劇場公演、R・シュトラウスの「サロメ」を観劇。新国4度目のサイクルでレパートリーとして定着した演目のひとつ。
私は今回が初めて。
エブァーディングの常套的かつの温厚な演出は、安心できるものだから、本来過激なオペラながら、土日の昼下がりに、善男善女を集客するには問題ないプロダクションなのだろうな。
私もその一員として楽しんだひとり。
ほぼ満席の会場。若い女子学生さんがたが多く見かけられたのは最近の風潮か。

でも・・・・、不満は、やはり「サロメ」ぐらいになると、普通じゃない何かを求めたくなる聞き手をほんとに満足させえたかということ。
同じシュトラウスでも、先般のアリアドネあたりと異なる次元の作品だし、ポピュラリティのうえでも受容歴が長い。さらにDVDなどで、海外の先端上演も眼にしている。
だからこそ、ぼちぼち冒険も必要ではないかと思う。
第一、エヴァーディンクはもう亡き人なのだから。

そんな思いを別にして、「サロメ」という楽劇を楽しむには、まずは間違いなく完成度の高い普遍的な舞台であり、新国のプロダクションとして完成作品に到達していると思った。

  サロメ :ナターリア・ウシャコワ   ヘロデ :ウォルフガンク・シュミット
  ヘローディアス:小山由美       ヨハナーン:ジョン・ヴェーグナー
  ナラボート:水口 聡          ヘロディアスの小姓:山下 牧子

      トーマス・レスナー指揮 東京交響楽団
                     演出:アウグスト・エヴァーディング
                             (2008.2.9)

Salpme2 タシケント生まれのウシャコワの歌唱と舞台姿に注目であった。
他の主要歌手は、いずれも定評ある人ばかりで、やはりシュミットのエキセントリックな声と風貌は昨年のジークムントなどより、はるかにはまり役。
小山さんも、新国3度目のヘローディアスだし、抜群の安定感。
そして、バイロイトの最近の常連、ヴェーグナーが今宵は一番素晴らしかった。
はりがあるバリトンらしく力強い声は、分厚いオケを圧して響き渡っていて見事。
さて、肝心のウシャコワだけれど、定評と実力からすると不本意の出来ではなかったろうか。彼女の経歴を見ると、ゲルギエフ、ムーティ、アバドなどとの共演が記されているが、いずれも、ヴィオレッタ・リュー・マリア(マゼッパ)・ドンナアンナ、などのロールで、何故彼女がここでサロメを歌わなくてはならなかったのかが読み取れない。
要は、CDならともかく、舞台でのサロメに彼女の声は合わなかったのだと思う。

本来、少女であるサロメ。その魔性ゆえ、ヨハナーンの声と姿で妖艶な血を呼び覚ましてしSalpme3 まう訳であるが、役柄に求められる声はリリカルな少女の声から、取り付かれたような魔性の女としてのドラマテックな声を歌い出さなくてはならない。
最近は、リリカルな声で緻密に歌いこむサロメが主流だが、その場合、取りつかれたような雰囲気や、プロはだしの演技や見事なヴェールの踊りが伴なっているサロメだ。
ウシャコワは、声が第一サロメにまだ達してないのではなかろうか。
かといって、恵まれた容姿がありながら、あの演出における何もその気にさせないダンスはいかん。非難を覚悟にいえば、田舎のストリップ劇場のもっさりダンスだった。
彼女のダンスも演出はともかく、う~む・・・の出来。

私の3階席中央では、オケに中音から下はかき消されていた。
高音はよかったけれど、小山さんの声は通っていたから、ウシャコワの冒険はどうだったのだろうか?

ウィーンの新鋭、34歳のレスナー東響をよく鳴らしていたと思うが、サロメの声をよく聴いていたかどうか。それでも、わずかにキズはあったものの東響は素晴らしかった。

今日も若杉監督は2階の桟敷で観劇していた。
このサロメのプロダクション、もう次回は新演出を打ち出していいのでは。

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コメント

おはようございます。

9日の公演に行かれたのですね。
私は6日の公演でしたが、席の関係でしょうか、ウシャコワの声もやや硬質ながらしっかり通っていました。
思い出すのは、昨年のゼンパーオーパーの森麻季さんのゾフィーです。あのとき私は3階席で聴いていたのですが、今回yokochanさんがお書きになっているウシャコワの感想と非常に近かったです。
3階席まで聞こえる歌い方って、きっとあるんですね。

でも、今回ヨカナーンが抜群に良かったし、演出も極めて納得感のあるものでした。
ところで、6日の公演にはテレビカメラが入っていましたから、またオンエアされると思います。
私も、テレビでもう一度チェックしたいと思います。

投稿: romani | 2008年2月10日 (日) 09時52分

2000年新演出は行来ませんでしたが、2002年、2004年に行きました。そこそこという印象でした。2002年はヘロデ(ウォルフガンク・シュミット)がとてもそれらしくて気にいりました。2004年はサロメ(エヴァ・ヨハンソン)がなかなか迫力でした。三段腹の踊りは相当恥ずかしかったですけど^^;今回はヨカナーンが良かったのですね・・ 行かなかったのがちょっと残念です。

投稿: edc | 2008年2月10日 (日) 10時36分

romaniさん、こんにちは。
そうなんです、他の歌手は通るのに、その人だけ通らないということは、オペラ以外でも経験してます。
その場合も、席によって異なるようでした。
発声や声質によるものらしいですが、やっかいな問題ですね。

オペラグラスを持ってないので、その美人ぶりが確かめられなかったのも残念ですが、あのダンスでオペラグラスを取り出してしまうのもあまりに、オッサンじみて見られちゃうので・・・・・。
でも、テレビは朗報です。気兼ねなく確認できそうであります(笑)

投稿: yokochan | 2008年2月10日 (日) 12時07分

euridiceさん、こんにちは。
シュミットはもうヘロデになりきってます。
過去の配役をみていたら、ツェドニクも歌っているんですね。
ヨハンソンは大柄ですから、大迫力でしょうなぁ・・。
ウィーンでは、いよいよブリュンヒルデに挑戦したようですから、楽しみな歌手ですね。
ヴェールの踊りは、目をつぶって空想して聴くのがいいのかもしれませんです(笑)

投稿: yokochan | 2008年2月10日 (日) 12時15分

こんにちは。
同じ日だったんですね~!! 私は2階席から鑑賞しました。
TBさせてくださいませ。

ヴェーグナーのヨハナーン、よかったですね!! 目と耳がハートですよぅ、もー!!
シュミットのヘロデにも大満足で、11日にもう一度行こうか迷っているところです。

ウシャコワは綺麗ですから。登場のシーンとか、踊りの場面とか、周囲のおじ様がたが一斉に双眼鏡を取り出したのがウケました。
(そして、踊りのシーンでは、微妙にガッカリした雰囲気が周囲に漂い、さらにウケた私です)

井戸が開いてヨハナーンが登場する瞬間は、私も私の周囲も固唾を飲んで見守るという感じ。こういう気分を周囲と共有できたのは初めてです。

投稿: しま | 2008年2月10日 (日) 13時03分

しまさん、こんにちは。同じ日だったのですね。
文句を書いてしまいましたが、なんだかんだで楽しめましたよ。

そうそう、ヴェーグナーのデカ声は存在感アリでした。
バイロイトのパルシファルでは、変な演出だったものですから、真っ黒い顔のアフリカ人クリングゾルになってましたヴェーグナー氏であります。
こちらです。http://www.bayreuther-festspiele.de/Anfangsseite/Deutsch.htm

そしてワタシもがっかりのクチです。
わたしも、井戸の場面は、背筋がゾクゾクしました。
それと、ラストの静寂は、最近では好ましい余韻でしたね。

投稿: yokochan | 2008年2月10日 (日) 14時14分

わたしは4日だったんですが、感想はほぼ同じです。ドレスデンの公演が音楽的には素晴らしかったものの視覚的な楽しみがあまりに少なかったので、行ってよかったかな。

ウシャコワは指揮のゲルギエフに「絶対あってるからサロメをやるように」と言われていたそうなので、この先を楽しみにしたいと思います。

投稿: 白夜 | 2008年2月11日 (月) 12時37分

百夜さん、こんにちは。ドレスデンは、私は行かなかったんですが、音楽がよかったようですね。
今回は、次回おそらく更新される演出とウシャコワに期待というところですね。
いまさらですが、彼女もゲルギエフ門下なのですね。

投稿: yokochan | 2008年2月11日 (月) 15時16分

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