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2008年3月 5日 (水)

シューベルト 「冬の旅」 プライ&サヴァリッシュ

7 夢の続き・・・・、昨晩は思い出せるほどの夢は見ておりませぬ。
よかったよかった。

新幹線の駅のある地方都市は、駅周辺はチェーン店や若者を中心とした店でどこも同じような顔になってしまったように感じる。
必然的に、旧市街地は、少し寂しくなってしまったが、地元に愛される心休まる路地や小路がしっかり根付いている。

そうした場所で一杯やるのが、なによりの楽しみ。
地のものがしっかり食べれるし、地元の方との出会いも楽しい。

こちらは、山形の花小路。かつて栄えた花街。ここがまたすばらしく雰囲気がよかった。
ネオンに染まる雪を踏みしめ、好みの店をさまよう・・・。
冬の居酒屋、さすらい旅、ここに極まれリ。
よそ者のさまよい人である私を、暖かく向かえてくれた。

Prey_winterreise 春は近いけれど、まだまだ冬の名残は厳しい。
まだまだシューベルトの「冬の旅」がいける。

1827年、シューベルト死の前年に書かれたこの歌曲集は、「美しき水車屋の娘」と同じくウィルヘルム・ミュラーの詩によっている。

恋に破れ同じように、さすらう若者の歌ではあるけれど、「冬の旅」の主人公の顔は見えず、ただひたすらに世捨て人のように街から街へと、人目を避けるようにして死へ向かって歩き進む。
 そこに救いは見出せそうで、見出すことが出来ず、最後に至って年老いたライアー回しを見出し、行動を供にすることになる。
その老人に自分の姿を見出し、永遠の歩みを踏みだすことになる・・・・・。

なんという暗い内容なのだろうか。
でもこの行脚に、われわれは共感してしまう。いつも何かに追いかけられているし、先が見えない毎日だから・・・・。
詩だけでは、どうしようもなく暗いだけ。そこにシューベルトの霊感に満ちた素晴らしい音楽が付いて完璧な符合を見せている。
ミューラーとシューベルトは、同時期に生まれ、そして亡くなった薄幸の人である。
こんな偶然以上に、詩と音楽の同質性を深く感じる。
菩提樹は有名だけれど、この辛い旅にあっては唯一の憩いの音楽。
全24曲、暑い日も寒い日も、私の心をとらえて離さない。

Prey_sawallish ヘルマン・プライが69歳で世を去って、今年でもう10年になる。
プライも、ホッターやF=ディースカウと同じように、冬の旅を何回も録音している。
今日は、ピアノの名手でもあったウォルフガンク・サヴァリッシュと組んだ1971年の録音で聴いた。
プライは、その屈託のない声から水車屋向きのバリトンのイメージがあるけれど、ここでの歌は決して無理をせず、いつものままのプライがいる。
冬の旅も、プライのような伴侶がいれば、暖かく過ごせそうである。
「春の夢」の安らぎにホッとさせてくれるけど、不安のうちにその思いを閉じる歌が素晴らしい。「最後の希望」の最後の一節「僕の希望の墓に泣き伏す・・・」の場面には、心底感動した。

プライとルチア・ポップは、永遠のパパゲーノとパパゲーナに思えるくらいに、私の心に生き続ける素適な声の持主だ。
サヴァリッシュのニュアンス豊かなピアノも素晴らしく、きっと歌いやすいのだろうな。
去り逝く冬に今日の「冬の旅」。

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コメント

初めて耳にしたイタリア民謡のLPで歌っていたのがディ・ステファノだったらしいのですが、歌手の名前を認識していませんでした。「冬の旅」も同様だったのですが、これは大人になるまで聞いていたので、ずっと後になって歌手の名を確認、ヘルマン・プライと覚えました。ピアノはカール・エンゲル。ジャケットにブリューゲルの絵を使ったエンジェルマークのLPでした。

投稿: edc | 2008年3月 6日 (木) 09時07分

euridiceさん、こんばんは。
クラシック事始め、拝見しました。
プライ&エンゲルのオリジナルジャケットは初見です。
ほかにも懐かしいジャケットがたくさん。
ブラザース・フォアなんてもう、懐かしすぎです。
ステファノもプライも、懐かしの域に入りつつありますね。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2008年3月 6日 (木) 21時41分

一番上の写真、味がありますねぇ。東北未踏の僕にはまったく未知の世界です。関東にいるあいだにいっておくんでした。

投稿: リベラ33 | 2008年3月 6日 (木) 22時59分

リベラさん、どーも。
いいでしょ。東北は北海道でも北陸・信越でもありません。
独特の味のある、寂しい文化がありますぞ。
この界隈を抜けて、あやうく遭難しそうになりました。
最近は、西はご無沙汰で、みちのくシリーズです・・・

投稿: yokochan | 2008年3月 7日 (金) 00時17分

yokochanさん
TB先、ご覧くださり、ありがとうございます。
ほんとに懐かしいものがどんどん増えていく年になってしまいました・・

投稿: edc | 2008年3月 7日 (金) 07時56分

euridiceさん、私もそうです。
懐かしいものに囲まれて、捨てられない毎日です。

投稿: yokochan | 2008年3月 7日 (金) 12時56分

突然のコメント、失礼いたします。
NHKに100名の賛同があると再放送を検討してもらえる番組リクエストのサイトがございます。私はプライが水車小屋の娘全曲を歌った1997年8月の芸術劇場をリクエストしています。もしできましたら、賛同をお願いできませんでしょうか。
賛同の方法はNHKの「お願い編集長」というページで、「お願い!検索」で「プライ」と入力して検索していただき、リクエストのページに入りますと、Eねボタンがありますのでクリックしていただくようになります。
(あるいはhttp://www.nhk.or.jp/e-tele/onegai/detail/4715.html#main_section)

伴奏者の名前など不明ですが、大変感銘を受けた放送で、YouTubeなどで探しても見つけられず、CD・DVD等はでていないかと思われます。
もしよろしければ、お力添えをお願いいたします。

投稿: maru | 2012年9月 7日 (金) 22時04分

maruさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
NHKの番組リクエストのことは、初めて知りました。

プライのファンとしても、早速ポチッとやらせていただきます。

この演奏会は、FM放送されまして、カセットテープに残した記憶がございます。
こちらも確認します。
ピアノは、ヘルか、もしかしたシフじゃなかったか思います。

投稿: yokochan | 2012年9月 7日 (金) 23時24分

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何度も聴いたものは、ラヴェル「ボレロ」ドヴォルザーク「新世界より」、ベートーベン「田園」、リムスキーコルサコフ「シェーラザード」、メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」、シューベルト「冬の旅」、ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」、ほかに、チャイコフスキーのバレエ音楽の抜粋、... [続きを読む]

受信: 2008年3月 6日 (木) 09時13分

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