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2008年4月12日 (土)

パトリシア・プティボン ソプラノリサイタル

Petibon_2  初めて聴いて以来、私のアイドル的お気に入り歌手となった、「パトリシア・プティボン」の来日公演を聴く。
昨年の来日が流れ、今年、一番気持ちのいい季節にやってきてくれた。

昨年は、これまた念願の姉貴筋にあたる「ナタリー・デセイ」を聴くことができたから、二人の素敵なフランス・ソプラノがいながらにして味わえて、本当に幸せだ。

そのパトリシア、ナタリーの妹分なんてことを言ってらんない。
レパートリーが一部被るだけで、彼女は、ナタリーとは別の次元にあるユニークな存在の歌手だということを、今日は痛感させられた。

 アーン     「クロリスに」、「懐疑の人」、「葡萄摘みの3日間」
          「彼女の館のとりこになったとさ。」
 コープランド   歌曲集「アメリカの古い歌」第2集より
          「シオンの庭」、「小さな馬たち」、「チリガリン・チョウ」「河にて」
 ロザンタール 「フィド、フィド」、「動物園の年寄りラクダ」
 バーバー   「この輝ける夜に、きっと」
 アメリカ民謡 「私の愛する人は黒髪」
 プーランク   「ヴィオロン」、「愛の小径」

 コレ      「ラバ引きたちの人生」
 オブラドルス 「花嫁はおちびさん」
 トゥリーナ   「あなたの青い眼」
 ファリャ    「七つのスペイン民謡」より
           「ムーア人の布地」、「子守唄」
 モーツァルト 「フィガロの結婚」より
           バルバリーナのカヴァティーナ
           スザンナのアリア「早くおいで、美しい歓びよ」
 サティ     「ブロンズの彫像」、「ダフェネオ」
 アブルケル  「愛してる」

        ~アンコール~
 日本古謡   「さくら さくら」
 オッフェンバック 「ホフマン物語」よりオランピアのアリア
 カントルーブ  「オーベルヌの歌」より「羊飼いの娘よ、私を愛してるなら」
 ファリャ    「アストゥリアーナ」
 アブルケル  「愛してる」

      ソプラノ:パトリシア・プティボン
      ピアノ :マチェイ・ピクルスキ
                (4月12日@オペラシティ)


実に渋くも、魅力的なプログラム。
前半は、フランス、アメリカの曲を交互に。後半は、スペイン、フランス、ドイツで。
初聴きの曲ばかりだったけれど、最初のアーンの曲からもう惹かれっぱなし。
大きなホールでのリサイタルにちょっと不安だったが、バッハを思わせる清楚な音楽の第1曲目、パトリシアの第一声からして、その不安は消し飛んでしまった。

Pitibon  ソノリティの豊かさ、一音一音の粒立ちのよさ、歯切れのよさ、明晰な発声と発音、完璧なテクニック、以外や強い声、あふれ出る情感とユーモア、はじけとぶような才気・・・・。
もうどんな言葉を尽くしても語りきれない素晴らしさ。
加えてチャーミングで暖かな歌声があるものだから、誰をも魅了してしまうのは必然。
この来日で、パトリシアは、私のアイドルから日本中の音楽好きのアイドルになってしまったのではないかしら。
寂しくも嬉しいこの気持ち。世界を魅了する彼女。日本人がもっとも好む声質とステージマナーを兼ね備えているからなおのこと。
ホールは、最後は立ち上がっての歓声に包まれ、彼女は「アリガトウ」と投げキッス!
カワユイぞ!

このリサイタル、予想はしていたけれど、いろんな仕掛けやパフォーマンスが満載だった。
これに、ホールが一体となり、笑い、沸きにわいた。
少し詳しく紹介すると~
コープランドの「小さな馬たち」では、ウィンドチャイムやカスタネットなどを奏でながらの歌唱。次の「チンガリン・チョウ」では、陽気に足踏みをしながら舞台狭しと歌い、何故かイケメン風男性(日本人)が登場、彼はこれまたなかなかのイケメンピアニストにおもちゃのピストルで撃たれてしまうし、ピアニストはプティボンにクラッカーのピストルで撃たれる。
あとを、モップで掃除するユーモラスな彼女。
 オブラドルス「花嫁はおちびさん」では、達者な日本語による前置きがあった。
圧巻は「フィガロ」。
ホールの照明が落ち、舞台はピアニストの譜面を除き真っ暗。
緑色に光る野球のボールサイズの球体が転がり出てきて、それを拾い上げ持ちながら歌う。そのボール、青や黄、赤に変化する仕組みで、寂しさを歌うバルバリーナの心象をよく表わしていたのではなかろうか。
次のスザンナの結婚の歓びを待受ける健やかなアリアでは、お洒落な傘を持ちながら、そして傘に先ほどの光る球体を組み込んで思いを込めて歌った。
これには涙が出そうになった。なんて素適なスザンナなんどろう。
舞台は暗いまま、パトリシアのスザンナはそのまま舞台を下がっていった。
サティの2曲では、サイケなメガネをかけ、見世物小屋のしがなさを歌い、また大きな黒くて丸い付け鼻を付けたりはずしたりして、男女の会話を粋に歌ってみせたりもした。
 そして、最後は長い白い筒を持ちながらのアブルケルの「ジュテーム」。
Patricia_2 彼女のコロラトゥーラ炸裂の曲。舞台左右に動きまくり、筒をメガフォンに見立てて口に当てて歌ったり、客席に下りてきて、男性観客にちょっかいを出したり・・・。
ネクタイを引っ張られていた殿方がうらやましいぞ。私のほぼ斜め前。こんなことならネクタイしてくるんだった・・・・・。
それでもって、ジュテームの相手は、白い筒をするすると開くと、なんと「徳永英明」のポスターじゃないの!これには大受け。さらに、ピアニスト・マチェイ君、舞台袖から負けじとポスターを持ってきて広げると「柴咲コウ」だったものだから爆笑。

楽しいばかりでない。
アンコールでは、静謐な感が漂い観客を黙らせてしまった「さくらさくら」。
ビブラフォンを弾きながら歌う彼女。心に染み入る歌。
あらゆる歌に見せる適性の確かさ。おそらく彼女なら、日本の演歌も見事に歌ってしまうのではないかな!

普段馴染みのないアメリカの歌曲、バーバーや民謡での親密かつ心に響く情感豊かな歌には心底感動できた。コープランドの「河にて」も同様だったが、こりゃよく聴くと「たんたんたぬきの○○は・・・・」の歌でありました。
 さらにフランス語の響きの美しさ。
アーンやプーランク(とりわけ「愛の小径」の洒落た味わい)で聴く、パトリシアのフランス語には、我々日本人が逆立ちしても敵わないムードと情感に満ち満ちていた。
 
 
クリクリと動く眼、悪戯っぽい笑顔、元気なパフォーマンス、天性の歌うたいであり役者。
そんな彼女にまたメロメロになっちまったぜ。

Petibon2 終演後のサイン会は、パトリシア小吉ちゃんのすっかり虜と化した我々聴衆の長蛇の列にも終始笑顔で応対してくれた彼女。
「今度は、ツェルビネッタとゾフィーを聴かせて」と言おうと思ってたけれど、いざ彼女の前に立つと言葉が出てこない。だって、サインする前とした後に、にこやかに、こちらの顔を見つめてくれるのだもの。こんなドキドキしたの、おじさん久しぶりだよ~ん。
(ついでに言うと、イケメンピアニストも並んでサインしてたので、ついでに頂戴。このニイチャンにも見つめられてしもうた・・・・。要は二人とも、サービス精神旺盛なプロってこと)
写真も気軽に応じる気さくな彼女。
ずっとそのまま、ニュートラルで聡明であって欲しいな
今年、ベルクの「ルル」に挑戦するとのこと!!ジュネーヴに飛んでいきたい。

今回、ナタリーと同じく、romaniさんと並んで鑑賞。
同じ世代のお父さん同士、始終頷きっぱなし。今回もお世話になりました。

ナタリー&パトリシア、二人の共演を夢見て浮つくような足取りでホールをあとに。

プティボンのCD自己リンク
 「フレンチ・タッチ」
 「フランス・バロック・アリア」

 

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コメント

羨ましいです・・・。出張で2泊3日してました。もっとも、来週にオペラシティに行くので山ノ神に遠慮しなければなりませんでしたが。
さて、別のブログでも小吉ちゃんのリサイタルが取り上げられていて、ビデオ収録されていたそうなので僕はそちらを楽しみに待つことにします。

投稿: IANIS | 2008年4月13日 (日) 08時41分

リサイタルがあったんですね。
プーランク「カルメル会修道女の対話」をテレビで見たとき、名前まで確認して覚えてしまうほど注目してしまいました。主役の修道女役の歌手もよかったけど、名前覚えてません・・お父さんたちのアイドルになるの、よっくわかります^^;;

投稿: edc | 2008年4月13日 (日) 12時58分

IANISさん、ついに生のパトリシア小吉ちゃんにご対面しました!予想を上回る歌唱力と声の強さでした。
小柄なのにパワフルといってもいいくらいに声がよく出る。
これを聴いちゃうと、日本人は分が悪い。
ことに森麻季ちゃんとの声量の違いはいかんともしがたく思いました。
それにしてもめっぽう楽しいリサイタルでしたよ。
テレビは吉報です。是非ご覧下さい。

投稿: yokochan | 2008年4月13日 (日) 17時03分

euridiceさま、こんにちは。
恥ずかしいくらいに興奮してしまいました(笑)
昨晩はCDを購入する方が続出。
お父さん世代ばかりでなく、老若男女問わずファンにしてしまった感がありました。
プーランクは、早速注文します。
主役は、アンネ=ゾフィー・シュミットという方のようです。
昨晩のプーランクの歌曲も蠱惑的なムードが素適すぎました。

投稿: yokochan | 2008年4月13日 (日) 17時20分

yokochanさん、
羨まし過ぎです。プティボンの早期発見者(^^;)としては万難を排してでも行くべきでした。
とりあえずはNHKでの放映(5月末とか?)を楽しみにしますが、やはり生プティボン(「小吉」っていいですねっ)の感慨には敵わないでしょうね。
今年は再び舞台や録音での活躍を期待です。

投稿: YASU47 | 2008年4月13日 (日) 21時26分

YASUさん、こんばんは。プティボン発見の先輩を差し置いて、すっかり楽しみまくりました(笑)
かわいい彼女、サービス精神も二重マルでありました。
映像も必見ですね。

プログラムによれば、DGと専属契約をした由で、ダニエル・ハーディングと組んだCDがこの秋に出るそうです!
名実ともにメジャー入りですね。

投稿: yokochan | 2008年4月13日 (日) 23時47分

yokochanさま お早うございます

全く知らなかった歌手を教えてもらいました
新しい歌手がどんどんと出ているんですね
YouTubeも見せてもらいました。

こういう歌手が出てきているんですね~
楽しみです~ happy01

ミ(`w´)彡 

投稿: rudolf2006 | 2008年4月14日 (月) 05時51分

rudolfさま、こんばんは。
そうです、このプティボンは才色兼備の今を生きる素晴らしい歌手です。なんったってかわいいですし。
今後ますますメジャーになっていくことでしょう。

今の歌手は、歌唱力・容姿・体型・演技力ともに優れていることが、スターの要因ですね。
昔とは大違いでアリマス・・・・・。

投稿: yokochan | 2008年4月14日 (月) 21時30分

こんにちは。romaniさんのお友達ですね!
YASUさんもここに書いておられる!
コンサートの様子がとても詳しく書かれていて、うれしくなりました。これからもどうぞよろしく。

投稿: ご~けん | 2008年4月15日 (火) 00時46分

ご~けんさま、コメントありがとうございます。
いやぁ、素晴らしくも楽しいコンサートでしたね!
興奮して書きすぎてしまいました(笑)

貴ブログは時おり拝見しておりました。こちらこそよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2008年4月15日 (火) 19時52分

贅沢して王子、オペラシティと二晩とも行ってしまいました。楽しかったなあ♪
一曲ごとに後ろを向いて集中力高め、完璧に音楽の世界に同化し入り込んでいましたね。多種多様のプログラムを表現し尽くし目いっぱい楽しませようというサービス精神。まさに天性のパフォーマーですね。
次回はバロックも聴いてみたいものです。

もちろんサインももらってきましたよ。「フレンチ・タッチ」のジャケットに♪

投稿: 白夜 | 2008年4月19日 (土) 00時20分

白夜さん、すごい! 王子も行かれましたか。
私も狙ったのですが、仕事で行けず、名古屋も1日違いで行けず。
「天性のパフォーマー」、まさしくそうですね。
彼女を一度聴いたら、ファンになること間違いなく、次回来日はちょっと大変なことになりそうです。
バロックも素晴らしいですよね。

私は、CDを持って行くのを忘れ、やむなくパンフレットにサインとなりました。ちょっと無念です(笑)

投稿: yokochan | 2008年4月19日 (土) 13時08分

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