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2008年4月27日 (日)

ジョルダーノ 「アンドレア・シェニエ」 シャイー指揮

Andrea_chenier_2 休日の今日、朝からお気に入りのオペラに浸ろう。

日頃、このブログをご覧いただいていると、ワーグナーやシュトラウス、イギリス音楽ばかりに思われるかもしれないが、わたくし、イタリアオペラも相当に聴いてきました。

ワーグナーから 入り込んだオペラの道。
途中から、プッチーニ、ヴェルディ、ベルカント、ヴェリスモと行き来しつつかなり聴き込んだ。
やはり、ヴェルディには心奪われ、主だった作品は聴き尽くしたぐらい。
今は、ドイツものを中心に、なるべくイタリアものも聴き、フランス、ロシアのオペラも聴くように心掛け、大切なジャンルのイギリスのオペラがこよなく愛しく思えるようになってきている。

言葉こそ違え、オペラは私の日々の生活の糧となるような大切な音楽のジャンルなのである!

プッチーニより一回りあと、R・シュトラウスと同世代のウンベルト・ジョルダーノ(1867~1948)の代表作、「アンドレア・シェニエ」を視聴。
以前より所有のビデオで、DVDと比べると、その解像度・音質に雲泥の差があるが、映像として観だしてしまうと、もう止められない。

プッチーニのような天才肌ではないかもしれないが、激情的な音楽が心を揺さぶるジョルダーノ。素晴らしい心を揺さぶる名旋律が満載のオペラをいくつか書いた。
フランスの革命時に実在の悲劇の詩人「アンドレア・シュエニエ」を題材としたイルリカの台本に基づいた、4幕の劇的なオペラ。
主役3人にあたえられた素晴らしいアリアの数々、死がからんだ唐突な筋立てと、革命と祖国愛というドラマテックな題材が2時間あまりの作品に素晴らしい緊張感を与えている。

この作品に初めて接したのは、NHKイタリアオペラのデル・モナコ、テバルディ、プロッティ(グエルフィ)の音源。そしてレコードでの、デル・モナコ盤。テバルディと、あまりにも素適すぎるバスティアニーニが聴けるガヴァッチェーニ盤のふたつ。
そして、カレーラスの来日オペラリサイタルで聴いたアリアと、カプッチルリのガラコンサートでのアリア。これらが忘れ得ぬ思い出。
新国や外来の公演もことごとく逃してしまい後悔の現在、久方ぶりの映像をとても楽しんだ。

第1幕 
1  革命前夜のコアニー公爵夫人の豪奢な館。著名人を招いての宴席、従僕のジェラールは年老いた父とともに、貴族たちを忌み嫌っている。
宴に招かれた、アンドレア・シェニエは、最初は拒むが著名詩人として即興詩を乞われ歌う。愛をもとに歌い始め、やがて暴政と貧しいものへの憤りの激情的な歌となり、居合わせた人々は顔をそむける。ただひとり、公爵夫人の娘マドレーヌは、心惹かれる。
ジェラールも物陰から心動かされる。

第2幕
 パリのカフェ。革命の立役者ロベスピエールを攻撃するかのような詩作をつづった過で、お尋ねもののシェニエ。
2 友人ルーシェは逃亡を進めるが、シェニエは、見知らぬ女性からの励ましと愛の告白に心惹かれ立ち去り難い。密偵が、狙い付回す。
同様に密偵は、今や革命政権の幹部となったジェラールの指示でマドレーヌも狙う。
マドレーヌの小間使いベルシの手引きで、出会うシェニエとマドレーヌだが、密偵に傍受され、それを受けたジェラールとシェニエは決闘となる。
傷を受けたジェラールは、かつて感銘を受けた詩人とわかり、マドレーヌのことを頼み、追手には不明の犯人ということで庇うことに・・・・。

第3幕
 3 逮捕されたシェニエの告発文を書くはめとなったジェラール。
実際は、民衆を裏切ることとなることと、恋敵への嫉妬で悩む。
そこへ、マドレーヌがあらわれ、シェニエの助命を乞い、ジェラールの自分への思いを知った彼女は、シェニエのために死んだつもりで、横恋慕の犠牲になろうとする。
この時、彼女は「母が死に、生まれた館も革命で燃え、天涯孤独となり、シェニエへの愛のみが生きがい」と涙ながらに歌う。
これに心動かされたジェラールは、二人を救おうと改心する。
裁判に引き出されたシェニエ。シェニエは反逆者としての告発を否定し、死を恐れず名誉を傷つけられることを恐れると高潔の歌を歌う。
必死に弁明するジェラールだが、空しく処刑の命が出て、抱き合う男二人。泣き崩れるマドエーヌ。

第4幕
 牢獄内。シェニエは友人相手に、辞世の句を歌い、死を覚悟する。
ジェラールに伴なわれ、マドレーヌが最後面会にやってくる。ジェラールは、ロベスピエールに最後の嘆願をと向かう。マドレーヌは、牢番を買収し、死刑女囚になる。
二人高らかに、愛を歌いつつ、処刑台に向かい幕。

アンドレア・シェニエ:ホセ・カレーラス マドレーヌ :エヴァ・マルトン
ジェラール :ピエロ・カプッチルリ   ベルシ   :シルヴァーナ・マツェッリ
コワニー公爵夫人:ネッラ・ヴェッリ   ルーシェ  :フランコ・フレデリチ

  リッカルド・シャイー 指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団/合唱団
                演出:ランベルト・プジェッリ
                            (1985年ミラノ)

4 このオペラ、やはり主役のシェニエに人を得ないとはじまらない。
カレーラスは、姿かたち、その声もシェニエそのもの。
真面目で高潔、憂愁と激情がおりなす一本木な男にまさにピッタリのカレーラス。
1幕のアリアから、最後の二重唱まで、観ていて完璧な悲劇の詩人ぶり。
カヴァラドッシやマウリッツィオとともに、カレーラスのはまり役に思う。
 そして、かつてのバスティアニーニもかくやと思わせるカプッチルリのジェラールは、声の威力と、途中からロドリーゴのようにいい人に転じる男ぶりが実に素晴らしい。
70年代から80年代にかけて、何度も日本に来てくれたカプッチルリは、そのほとんどを聴いたくらいに、大好きなバリトンだった。
シモンを2回も観劇し、ガラ・コンサートでもジェラールを聴いた。
早世が惜しまれ、その声を思い出すにつけ涙が出そうになってしまう。
 マルトンのマドレーヌだけが、声と風貌がちょっと異質かもしれないが、ドラマティコとしての威力は替えがたいのかもしれない。

若きシャイーの精力的な指揮と、オケのかもし出す豊かな雰囲気はロンドンのオケとは次元を異にする素晴らしさ。

演出は普通すぎるし、舞台装置も具象的に過ぎるようにも思えたが、劇の進行が急すぎる題材が題材だけにわかりやすくもあって、これでよいのかもしれない。
調べたら、映像がかなり出ていて、ドミンゴやクーラなども観てみたいものだ。

最後に、シェニエの1幕のアリアと3幕のジェラールのアリアは、私の好きなオペラアリアでも最上位に来るもので、カラオケでもあれば歌いたいくらいであることを、ここに申し沿えておきます。ははは~。

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コメント

yokochanさん、ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです!
「アンドレア・シェニエ」、イタオペの中ではとても好きな曲ですが、CDとなると1組しか所有していません。シャイー盤です。yokochanさんご紹介の映像があるとは知りませんでした!
CDはオーケストラも配役も異なりますが、これを購入した切っ掛けは容易にご想像いただけると思います…伯爵夫人がヴァルナイだからです(爆)。

投稿: Niklaus Vogel | 2008年4月28日 (月) 00時40分

こんにちは。
これが私の「アンドレア・シェニエ」の初映像です。
記事があるのでTBしました。よろしくお願いします。

>マルトンのマドレーヌだけが、声と風貌がちょっと異質かもしれない
マルトンは男性諸氏には、可愛くないということで、概して人気がないようです・・けど、私には苦労知らずだけど純粋な深窓の令嬢に見えます^^+

投稿: edc | 2008年4月28日 (月) 20時44分

おお、Niklaus Vogelさん、お久しぶりにございます。
お元気でらっしゃいますか。
私の方は相変わらず、ご覧のとおりのありさまです(笑)

シャイーの音源は、パヴァロッティですね。
そうそう確かに、ヴァルナイが出てますね。
残念ながら、私は未聴なのですが、ヴァルナイの部分だけ無性に聴いてみたいですね~。
ジョルダーノはフェドーラも好きなオペラであります。

追伸・・・いつの日か復帰をお待ちしております。

投稿: yokochan | 2008年4月28日 (月) 21時45分

euridiceさま、TBありがとうございます。
ドミンゴのウィーンのDVD記事は拝見しておりましたが、シャイーのスカラ座もしっかり記事にされているんですね!

マルトンさまは、ほんと、申し訳ないのですが、そんな風に見えてしまいました。身勝手な男性の視線ゆえでしょうか。
サロメやブリュンヒルデのイメージがあるからかもしれませんです・・・・。

投稿: yokochan | 2008年4月28日 (月) 21時51分

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オペラの映像を手当たり次第のころ、初めて見たのがこれ。全然おもしろいと思わず、途中で放置・・ ところが、偶然、ソプラノのアリア「母は死んで・・」のすばらしさを知ってからは、オペラそのものも楽しめるようになりました。... [続きを読む]

受信: 2008年4月28日 (月) 20時39分

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