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2008年5月25日 (日)

ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ハイティンク指揮

Bhaitink CDレコーダーのHDDの整理をしていたら、以前録音した「ハイティンクとベルリン・フィル」のライブ録音が出てきた。2006年頃の演奏のはず。
「魔弾の射手」とヒンデミットの「ウェーバー変奏曲」、ブラームスの2番というプログラム。
聴きだしたら、やめられなくなった。
ハイティンクは、いつからこんな巨匠風の腰の据わった演奏をするようになったのだろうか!
コンセルトヘボウ後、ドレスデンの指揮者になったあたりから、さらに飛躍したように思う。
ヒンデミットが一昨日の名残もあり、耳に馴染む。さすがベルリンフィルだけあって、凄まじいまでのウマさと威力に感服。
 ちなみに、ベルリンフィルの本拠地が火災に会い修復中とのこと!!
年一回のアバドの客演が、ヴァルトビューネに変更になっちまった・・・・。
(お世話になっているこちらで動画も見れます。)

さて、私は若い頃から、頭部がリーブしてたハイティンクが昔から好きである。
妙に近親感があるものだからねぇ。
聴きだしたのは、高校の頃、コンセルトヘボウとの来日記念に廉価盤やら新譜が大量に発売され、それを期に聞き始めた。小品ばかりを収めたサンプラー盤のようなレコードがとても気に入って、世間のハイティンクに対する風当たりの強さに憤慨したもんだ。
そして、FMで放送されたブルックナーの5番のすごい名演で、この指揮者は完全に、私のお気に入りの一人となった。
数々聴いた演奏は、過去記事をご照覧。
シカゴとの最近のCDは未聴(高い・・・・)ながら、おそらくこのコンビ最後の来日となる来年の公演はチケット取れるだろうか? シカゴは2010年からムーティが指揮者に。

Meistersinger_haitink そんなハイティンクの待望の1組。
コヴェントガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウスのアーカイブの中から、ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が登場したのだ。
ケンペのリング」とともに、同時期に、「ブリテッシュ・ワーグナー」がやってきた。
新録音はないけれど、過去の名演が次々に蘇えるある意味、いい時代になった。

このマイスタージンガー、1997年の上演で、アナログながら立派なステレオ録音で、それどころか最新の硬い録音よりハウスの響きを自然に捉えていて、歌手とオケのバランスもよく素晴らしい音なのだ。

ハイティンクのワーグナーは、EMIへの「タンホイザー(85年)」、「リング(88~91年)」の2種があるが、オペラの経験を格段に積みつつあったため、後年のものほど良い出来栄え。それでも、ミュンヘンのオケの実力と指揮者の構成の豊かさから生まれるシンフォニックなワーグナー・サウンドは、私の好きな演奏のひとつ。
 ところが今回の、舞台上演では、以前のCD用の録音がかすんでしまうくらいに、ハウスの興奮と感興に満ち満ちていて、舞台と結びついた音楽が実にイキイキとしている。
正直、こんなハイティンクは聴いたことがない。
アゴーギグを巧みに活用し、メリハリも充分。そして出てくる音楽は、このハ長の音楽の理想ともいうべき明るくも柔らかな響き。
どの幕にも、興奮した聴衆の盛大な拍手が入っているし、3幕の始まりにハイティンクを迎え称える大きな拍手も収録されている。
前奏曲からして、堂々たる威容だが、終幕最後の「親方たちを蔑んではならぬ」以降の部分は、胸が熱くなるような名演だ!

ザックス:ジョン・トムリンソン     ポーグナー:グゥイン・ハウエル
ベックメッサー:トーマス・アレン    ヴァルター:イェスタ・ウィンベルイ
エヴァ :ナンシー・グスタフソン   マグダレーネ:カスリーン・ウィン・ロジャース
ダーヴィッド:ヘルベルト・リッパード コートナー:アンソニー・マイケルズ・ムーア

   ベルナルト・ハイティンク指揮ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
                                               ロイヤル・オペラハウス合唱団
         演出:グラハム・ヴィック  (97年7月ライブ)

Meistersinger_haitink2_3   キャストは味があるし、英国風でもあって実によろしい。
傑出した出来栄えの歌手は見当たらないし、ドイツ人は一人くらい。
中では、トムリンソンの安定感と存在感が目立つ。私は、この人の声がちょっと強すぎて苦手なのだけれど、彼が演じる若々しいウォータンのようなこのザックスは面白く聴いた。
年輪とともに、いまひとつ味わいが欲しいところ。
そのあたりを食ってしまったのが、アレン卿のベックメッサー。
芸達者ぶりに聴衆の笑い声が起きているし、実際、2幕のザックスとのやりとりはすごい。
普通じゃ聴かれないくらいに、ハンマーをトンカン叩くザックスのリズムに全然負けずに、へんてこなセレナーデを歌いまくる。3幕の歌合戦では、自信なさげにオドオドしてるし・・・。
ベックメッサーとしては、プライと並んで最上のものだと思う。

若くして亡くなったウィンベルイは、今健在なら、主要なワーグナー役でひっぱりだこになっていたろう。そんな思いをいだかせるヴァルターの歌唱。ちょっと一本調子だけれど、存在感ある魅力的な声だ。
リッパードのリリカルなダーヴィッドや、硬質ながらいかにもエヴァちゃんらしい一途な歌(3幕のトリスタンの箇所)が魅力のグスタフソン。ほかの歌手もみないい。
ブックレットの舞台写真を見ると、普通っぽい演出ながら、シェークスピアを思わせるような舞台背景で、正規映像も見たいもんだ。

通算11種類目のうれしいハイティンクの「マイスタージンガー」。
こちらで、ちょっと映像が見れます。
ロイヤルオペラのシリーズ、ハイティンクの「パルシファル」も出てくる可能性もありですぞ!

 マイスタージンガー 自己ブログリンク

  クリュイタンス指揮  バイロイト57年盤
  ヴァルヴィーソ指揮 バイロイト74年盤
 ベルント・ヴァイクル

                     

 

  

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コメント

買おうどうか迷っていたんです。サヴァリッシュ=バイエルンの廉価盤を入手したもので。クーベリックも持ってないし。でも、yokochanさんの書き込みみて決心しました。買いますっ!
ところで、来日3公演、2つはサントリーで1/31がみなとみらいですよね?アジア・ツアーでは3つのプログラムを用意しているとのことです。①マラ6、②「ジュピター」+「英雄の生涯」で、あとひとつがブル7。サントリーが①、②。果たして横浜(みなとみらい)では何をやるんでしょう?まさか、マラ6をふた晩続けてやるなんてありえないし・・・。
ともかく、全部チャレンジです。仕事そっちのけで休暇とりまっせ(とれれば、ですが)!

投稿: IANIS | 2008年5月25日 (日) 22時27分

IANISさん、まいどこんばんは。
ちょいと誉めすぎてしまいましたが、マジ良かったですよ。
熱いマイスタージンガーです。

来年のシカゴは悩ましいですね。でも「みなとみらい」は吉報。
あのホールで、シカゴが聴けるなんて堪りませんね。
なんとか行きまょう(券が手に入れば)

それと、ウィーンフィルのプロも魅力です。
ブル2やヴェルディ、ロータをやるんですから。
こちらも、チケットは望み薄ですが・・・・

投稿: yokochan | 2008年5月26日 (月) 00時04分

おはようございます。もう出勤の時間なのですが、この記事が目に入ってしまったからにはコメントせずにはいられません。

私としたことが、このマイスタージンガー、完全にノーチェックでした。
アレンのベックメッサーっ!!ヽ(`Д´)ノ
ヴァルターがウィンベルイというのも嬉しいですっ!!
さっそくチェックするざますっ!! ありがとうございますっ!!

今日はメイク八分目で会社へ行きます!!

投稿: しま | 2008年5月26日 (月) 07時52分

こんばんは。
あ~、コレお買いになったのですね~。うーこれはヤバイですね。ちょっとこのところ買った46枚のワーグナーがずっしりと重いんですが・・・そのうち購入して聴いてみようと思います。ハイティンクの生ワーグナーはとにかくスゴイですし。ロンドンの聴衆はハイティンクをホントに尊敬しているんですよ。

投稿: naoping | 2008年5月26日 (月) 22時01分

しまさん、こんばんは。日帰り静岡から今帰還しました。
しっかりと、魚を食って飲んできましたよ。

いやはや、ご出勤前の貴重なお時間、お手間をとらせてしまって、恐悦至極にございますっ!
なんやら煽りすぎてしまったような・・・・(笑)

そんなワタクシも、このCDをいち早く手にいれようと、各所のショップをチェックしつつ、新幹線に乗り遅れたりで、散々でした。何だかんだで、発売遅れのニクイ一組だけに、愛着も一塩であります。
今晩は、取り乱さなような大人しい曲でまいりますのでご安心下され。

投稿: yokochan | 2008年5月26日 (月) 22時59分

naopingさん、まいどです。
これっ! 即購入でしたよ!
大好きなハイティンクに、ブリテッシュワーグナーですもんね。
それでもって、すげぇ熱演に興奮状態です。

ずしりと重い46枚!!わかりますよ、このところワーグナー責めが凄まじいですねえ!!
もう少し、分散して欲しいもんです。

>ロンドンの聴衆はハイティンクをホントに尊敬しているんですよ。<
それにしても、ハイティンクのロンドン人気は、筋金入りです。
ロンドンフィル時代のハイティンクの演奏は、素晴らしいものばかり。日本じゃ誰にも評価されないところがかえって嬉しいっす。
生ハイティンク・リングを経験されたnaopinngさんがうらやましい!

投稿: yokochan | 2008年5月26日 (月) 23時08分

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