R・シュトラウス 楽劇「エレクトラ」 シノーポリ指揮
このところ、名古屋に仕事でよく行く。名古屋は、亡父に次ぎ、親子二代に渡って、単身赴任した地だけに愛着がある。
義弟までもが、千葉から転勤して、当地で嫁をめとってしまったがや。
名古屋東海地区のグルメを連続冒頭に紹介するで、見とってね。
まずは、超メジャーな「コメダ珈琲店」だがや。
昼食時に、軽食というより、ボリュームたっぷりの食事が出来るがね。
この日は、コーヒーにハンバーガーを注文。登場したバーガーは、どえりゃぁデカくて、びっくりだったわ。
直径約15センチ超はあろうかと。バンズは、柔らかくてキメ荒いし、パティも普通で大味。
でもこの大きさと、普通にうまいコーヒーに満足ぜにゃぁね。
いや、関東を車で走っとって、喫茶店は絶滅状態。コメダのような、キレイで寛げて心配りの豊かな店は知りゃぁ~せん。
関東にも進出し、横浜あたりの店は超混雑しとるがね。
名古屋発の喫茶店文化、コメダの業態を借りて、全国制覇も可能かも知れんて。
喫茶店のモーニングは、赴任時代結構味わったけど、かなりスカレートしとるみたいやな。
(名古屋地区のみなさま、こんな物言いをして申し訳ありませ~ん)
R・シュトラウスの4作目のオペラ「エレクトラ」は、前作「サロメ」と同様、楽劇と名付けられた。
44歳の壮年期の作。
前作と同様ワーグナー以上に、刺激的な大音響や不協和音が溢れていて、後年の新古典的なシンプルサウンドを好む者からすると、この2作は、ちょっと聴くのが辛い。
作品の大まかな内容は、かつて取り上げたバレンボイム盤の方をご覧下され。
ギリシア神話に題材を求めたこの作品、エキセントリックで強烈な娘が主人公であり、超ドラマテックなソプラノを要することで、サロメと同じような存在。
人が死ぬ場面も満載。おまけに、エキセントリックつながりで、テノールの役の義父、不貞の実の母、というところまで一緒。
異なるところは、親も親なら・・・・がサロメなのに、エレクトラは、見た目イってしまっていても、亡父の復讐を心に秘めた列女で、ごくありきたりの女である妹との対比も鮮やか。
でも、弟との再会に近親相姦とも思えるくらいに異常なまでのエクスタシー状態になるところなんざ、サロメと違った意味でコワイ。
弟エギストは、反逆者であり、かつ解放者である。これはイコール、サロメのヨカナーン。
よって、「サロメ」との相違点で明確なのは、妹クリソテミスの存在のみ。
良識と家庭と子供に憧れる女性。シュトラウスが書いた、もっとも大人しい女性かも。
エレクトラ:アレッサンドラ・マーク クリソテミス:デヴォラ・ヴォイト
クリテムストラ:ハンナ・シュヴァルツ エギスト :ジークフリート・イェルサレム
エギスト :サミュエル・ラミー
ジュゼッペ・シノーポリ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1995年9月録音)
シノーポリが残した貴重なシュトラウスのオペラ録音。
「サロメ」「エレクトラ」「アリアドネ」「影のない女」「平和の日」の5作で終わってしまった。
残る10作を順じ取り上げる予定だっただけに、その早すぎる死が惜しまれる。
シュトラウス、ワーグナー、プッチーニ、ヴェルディはおそらくすべて録音してくれたかもしれないシノーポリ。
精力的なばかりでなく、味わいあるドラマをオーケストラから引き出しつつあった頃。
ウィーンフィルの絶叫しない音色を自在に操りながら、見事なまでのクライマックスと熱狂を導き出す。エギストが現れてからの後半の盛上げ方なんぞ素晴らしいの一言につきる。
実際、義父・母が逝ってしまってからの熱狂の音楽はものスゴイっす。
最後の強烈なエンディング!! ウィーンフィル最高。
スターを揃えたキャストに文句なし。
低音域に難はあるものの、圧倒的なパワーとキレのよさを聴かせるマークのエレクトラ。
同様にドラマテックだが、優しい声の持主ヴォイト。このアメリカン巨大コンビは、ちょいと聴きもの。さらに、マッチョなレミーのエギストも、シリアスすぎて怖いくらい。
シュヴァルツとイェルサレムの唯一ドイツ・コンビは、妙に歌い崩さず、生真面目に歌っていて、不可思議ないやらしさが出ているように思う。
この楽劇、最近舞台じゃご無沙汰かも。
新国で2006年に上演された時は、見逃した。
大昔、小沢/新日フィルのセミステージ上演を観劇したのみ。
この時は、中丸さんのほぼデビューだった。
新国の再上演、レパートリー化を望む。
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コメント
いやぁ、シノーポリときましたか!「影なし女」、「ナクソス」、「エレクトラ」、あっしも持ってますぜ。ドレスデンやウィーン・フィルから極上の美音を引き出していて、もう舌なめずり状態です。晩年のSKDを振ったマーラーも最高です。
投稿: IANIS | 2008年5月 4日 (日) 02時02分
IANISさん、まいどです。
ウィーンとドレスデンでシュトラウスを自在に演奏できたのは、あとはベームくらいでしょうか。
惜しい人物を亡くしてしまったものです。
あとは、ルイージに期待です。
SKDとのマーラーは未聴ですが、タイムを見るとみんな伸びてますね。壮絶そうです。
投稿: yokochan | 2008年5月 4日 (日) 15時03分
たびたび失礼いたします。
今は本当に苦しいです。
お酒や睡眠薬に頼っても眠れないほどの重症です。
来週の火曜あたりに通院してもっと強めの睡眠薬を出してもらおうかと思っています。
副作用が心配ではありますが・・・
シノーポリのエレクトラはブリリアント化されましたね。凄いことですね。経済に暗い私はデフレのせいなのか何なのか
分かりかねますが・・・
エレクトラはアバドのDVDしか持っておりませんので
シノーポリのユニークなシュトラウスも楽しんでみたいものです。しかしこれほどの名盤が1000円を切る安価で入手できるとは本当に驚きです!!
投稿: 越後のオックス | 2010年2月 4日 (木) 14時23分
越後オックスさん、こんばんは。
苦しそうですね。
お気を楽に、どうかお大事お過ごしください。
まとめてコメントいたします。
レニーの両刀は驚きですが、その音楽への情熱と洞察力は素晴らしい人でしたね。
ショスタコの2番の協奏曲、たしかに15番風ではらいますね。チェロもピアノもいずれも2曲残したところが、謎めいたショスタコさんです。
そして、版権の売り渡しが、大手でも普通になった今日この頃。デフレ効果も加わり、ある意味いい時代です。
でもどんなに安くされても、買う気がおきないほど市場にCDがあふれ買えてっていて、価値観がまったくなくなってしまいました。
初期盤を買うことの虚しさと、いとおしむように扱ったレコードが懐かしいです。
どうぞ、お大事に。
そしてコメントは、ゆるりゆるりとお願いしますね。
投稿: yokochan | 2010年2月 4日 (木) 23時46分