シューマン 「クライスレリアーナ」 ベロフ
以前に撮った写真。
ばかちょんでも、光の加減や自分でも意識しない按配で、こんなうまい具合に撮れるものだ。
今日の関東は、3月の初め頃の寒さ。でも暦は、もうバラの季節なのだな。
土曜に聴いた「シュナイト/神奈フィルのシューマン」がいまだに尾を引いている。
それというのも、あれだけ歌謡性と輝きに溢れたシューマンの交響曲は初めてだったものだから。
ピアノ曲ならば、ソナタ以外は詩情に溢れているし、旋律にもことかかない。
ほとんどのピアノ作品は、交響曲前だし、若やぎもあるし。
そこで、若きミシェル・ベロフのピアノで「クライスレリアーナ」(1938年)を取り出してみた。
本来、クライスラーのこと、という意味あいだったらしい。クライスラーといっても、あのヴァイオリンのクライスラーではなく、文豪ホフマンの小説に登場するクライスラーのことらしい。でも、本人はそのクライスラーではなく、クララのことを思って作曲したというから、やっかいなシューマンなのだ。
でもそれは無視して、8つの幻想曲からなる緩急のモザイクのような小品たちは、それこそロマン溢れ、伸びやかさと激情の交錯する音楽。
ああした、ややこしい交響曲を後に書くことになるシューマン。
果たして単にオーケストレーションがヘタクソだっただけなのか?
かといって、一昨日の演奏は、その下手と思われるスコアが豊かに歌い、隅々まで鳴り響いていたのだし・・・。
本来の幸せなシューマンは、クララを思い、ロマンの森を思った、こうした作品の中にこそあるのかもしれない。
ベロフの若やぎと情熱に満ちたピアノは、シューマンにとても相応しいように思う。
技巧的にも完璧ながら、そのみずみずしい響きは、昨今の若い完成されたピアニストからは聴くことができない。気恥ずかしいくらいが、ちょうどいい。
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コメント
シューマンのピアノが登場するところがyokochanさんらしいなあ。そいでもって「クライスレリアーナ」だっ!どの曲聴いても、シューマネスクといおうか、豊かな歌とかファンタジーがあって、名曲です。彼のあらゆるジャンルの音楽をひっくるめても、ベストな音楽のひとつだと僕は思います。
だから、シューマンのピアノ音楽を「子供の情景」などから聴くのはやっぱ良くないよ、これとか幻想曲から聴かねば・・・。
ベロフは持ってないんです。キーシン、ポリーニ、アルゲリッチ、アシュケナージ(新)、ブレンデル。まぁ、月並みだとは思いますが。
投稿: IANIS | 2008年5月13日 (火) 01時59分
こんにちは。
私にとって「クライスレリアーナ」といえばホロヴッツです。
学生時代に初めて聴いた時の驚きは今でも忘れることはありません。
粒立ちにいい透明な音が散乱するように降りかかってきた時の驚きを!!
運良くテープデッキを回していたので何回も何回も聴きました
今もそのテープは保存してあります、劣化して聴けませんが。
投稿: 天ぬき | 2008年5月13日 (火) 13時23分
IANISさん、こんばんは。
まったくそうですな。これか幻想曲、あと森の情景とかもいいです。こっぱずかしいですが、青春の音楽です。
しかし、たくさんお持ちですねぇ。
私はあと、ブレンデルだけなんです。
若きベロフは、意外にいいですよ。あの素適なドビュッシーを録音した頃が一番良かったように思います。
投稿: yokochan | 2008年5月13日 (火) 21時54分
天ぬきさま、こんばんは。
そうそう、ホロヴィッツを忘れちゃいけませんね。
CBSのサンプラーレコードで、何百回も冒頭だけですが聴きました。顔写真のジャケットも忘れられません。
私も中学時代でした。懐かしいです。
かつてのカセットやオープンリールは、なかなか捨てられませんね。私もその一人です。
投稿: yokochan | 2008年5月13日 (火) 22時02分