« R・シュトラウス 「ティル」「ドン・ファン」「死と変容」 セル指揮 | トップページ | ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ハイティンク指揮 »

2008年5月24日 (土)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Img 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期公演を聴く。
お馴染みハンス=マルティン・シュナイト師の指揮。
このオーケストラ、特にこのコンビが繰り出す名演の数々に魅かれてついに定期会員となってしまった。

千葉在住、都内勤務の自分にとって、金曜日の夜に横浜に登場するのは、なかなかにタイヘンだし、まして定期会員になることは、ちょっとリスキーだったが、5公演をチョイスできるフェイヴァリット会員なるシステムがあって大助かり!
郷里のオーケストラへの愛着がなせる技なり。
(今、住む千葉のあのオケはいったいどうなってしまうんだろ・・・)

前段が長くなってしまったが、またもやドイツ音楽の真髄を味わわせてくれた名演との遭遇に心が震えた。

       ブラームス 交響曲第3番
   
       ヒンデミット 交響曲「画家マティス」

  ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                         (5.23@みなとみらいホール)

両曲合わせて75分くらいのシンプルなプログラムながら、その渋い、いや渋すぎる組み合わせに、もうワクワク状態。
ふたつともに、生で聴くのは初めて。

Kana_phil_2  ブラームスの3番は、かなり好きな曲で、力強さとともに、豊かな歌と哀愁に満ちた雰囲気が堪らなくいい。
冒頭から、一音一音をかなりゆったりと鳴らし、かつ引っ張る。これは、じっくりとやるぞ、と思い、こちらも心して構える。
そう、すみずみまでよく歌わせるシュナイト節が35分間展開させられた訳である。
繰り返しは省略されたものの、堂々たる冒頭主題に続く木管で歌われる牧歌的な主題。
この対比が実によろしい。時おりホルンが突出してしまうところをシュナイト師は、巧みに抑えながらバランスをとっている様子がうかがえた。
癒やしの音楽ともいえる第2楽章は、木管群が活躍。暖色系の音色が、このコンビによって見事に紡ぎだされる。さらに、こんどは、弦楽器の活躍する第3楽章。
曲が始まる前、有名な旋律をまず奏でるチェロのメンバーたちに、指揮者がよ~く歌ってよ・・・・なんて風に目で合図している様子。メンバーたちは、わかってますよ~とばかりににこやかに頷く・・・。こんなやりとりがあった。
そして音楽は、その様子のとおりに、思わず引き込まれるくらいに歌い、かつ泣きの名演。聞き古したこの旋律が、なんと豊かに響いたことであろうか。
コンマス石田氏の動きも気合いの入った終楽章。熱くてほろ苦い展開が、やがて静かに収束に向かい、いつものように祈るような指揮でピアニッシモの音が静かに消えた。
またもや、美しくも筋張の瞬間。堪え切れない人の拍手がぱらぱらと起きたが、大満足のエンディングで、シュナイト師もにこやかに楽員を讃えていた。
考えたら、この曲、すべての楽章が静かに終わる音楽なんだ。

休憩後のヒンデミットの「画家マティス」。
この曲や、グリューネヴァルトの絵については、アバドのCDの過去記事をご参照。
時代を考えると保守的なヒンデミットの作風。
ヒンデミットの作品にいえること、とっつきが悪く、なかなか微笑んでくれない。
アバドの演奏でも、アバドはまるで得意とするムソルグスキーを演奏するかのような渋いくて内省的なものだった。
はたして、シュナイト/神奈フィルはいかに。
 そう、それはそれは、美しくも輝やかしく、歌心と祈りにも欠けていない素適な名演だった。
オケがちょこちょこと踏み外すことはあったが、そんなことは全く気にならない。
あのムッツリ顔のヒンデミットの曲を、こんなにキレイに演奏できるんだ!

第1楽章「天使の合奏」は、曖味さのまったくないまさに天から光りが徐々に降り注いでくるかのような演奏。CDだと、もやもやした演奏に聞こえるが、素晴らしいホールで聴くこのコンビの演奏には、そうしたところが一切ない。
第2楽章「埋葬」。木管による哀感そそられる楚々とした旋律とそれを包み込む弦の伴奏が心を打つ。指揮棒を置き、ニュアンス豊かなシュナイト師の背中を見ているだけで、その音楽が感じられる。ソロオーボエ、毎度ながらにいい。
そして、フルートとこの音楽で大活躍のピッコロ、この二人がまた素晴らしい!
長大な第3楽章「聖アントニウスの誘惑」。強烈なフォルテの打激が数回、ここへ来てリズミカルで、賑やかなフルオーケストラが聴けるが、この演奏には華やかさなどひとつもない。クライマックスに向いつつ、オケが夢中になってシュナイト師の指揮に着いていっているのを目のあたりにして、聴くこちら側もどんどんと引き込まれ、ドキドキしてきてしまう。
さして、騒然とした中から、光明のようにコラールが管で奏でられ、それがやがて全オーケストラの合奏に引き継がれてゆくとき、私はもう感動で胸が一杯になりむせってしまいそうになった・・・。曲が高らかに終っても、身動きひとつしない指揮者と楽員。
またやられてしまった、シュナイト/神奈フィルに!

Landmark2 この音楽を見直すことのできた素晴らしいコンサート。
でもこんなの聴いちゃうと、CD聴けないヨ、罪なコンビ・・・・。

アフターコンサートは、神奈川フィルを愛するメンバーの方々とおいしいお酒で楽しいひと時を過しました。みなさん、お世話になりました。

         

|
|

« R・シュトラウス 「ティル」「ドン・ファン」「死と変容」 セル指揮 | トップページ | ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ハイティンク指揮 »

コメント

金曜日は楽しいひと時、お世話になりました。
稚拙な我がブログに立ち寄っていただきまして、併せてありがとうございます。

1時間ほど前に音楽堂から帰って来たところです。

楽しく素晴らしい演奏会とアフターコンサートの時にまた、お会いできましたらよろしくお願いします。

各地のホールの話、愉しいですよね~。

投稿: スリーパー | 2008年5月24日 (土) 22時09分

ブラ3ですか・・・いいなぁ。実はまだライヴで聴いていないんですよ、この曲。ほかのブラームスのは全部ライヴ体験有なのですが(と、この前、コングラ夫婦様と飲みながらポロッ)。渋い。渋すぎるぜ!シュナイトの指揮、神奈川フィルそしてみなとみらい・・・。

投稿: IANIS | 2008年5月25日 (日) 00時28分

スリーパーさま、こんにちは。
ABQのコンサートは素晴らしかったようですね。
拝見してて、涙が出そうになりました。
テレフンケン・レーベルからのベルクやモーツァルトをレコードで楽しみました。
またよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2008年5月25日 (日) 12時54分

IANISさん、いいでしょう?このプログラム。
今シーズンの神奈川フィルは、客の入りを無視したかのような渋いプロだらけです。

次回はエルガー2番ですが、二期会アリアドネとのバッティングは断腸の思いであります・・・・・・。

投稿: yokochan | 2008年5月25日 (日) 12時56分

こんにちは!絵は逆さにするこは出来ますが、音楽は後ろからってあるんでしょうか?!前衛ヒンデミットなら一度は考えたとか?!....失礼しました。さておき、定期会員にようこそ!でございます。関東横断なんのその、みなとみらいホールがお待ちしております。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: kyoko@epoch | 2008年5月25日 (日) 13時32分

kyokoさま、こんにちは。
前衛には、楽譜を逆さまにして、または逆から演奏するってのがあるみたいです。このあたりは、scweizer先生に次回お伺いしましょう。
最短で行ける千葉⇔横浜を研究せねばなりませぬね。
どうぞよろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2008年5月25日 (日) 17時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151893/41299654

この記事へのトラックバック一覧です: 神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮:

» 授業…打ち合わせ…そして神奈川フィル… [鎌倉スイス日記]
今日は朝から午後四時まで授業をしてから、急いで学校を出て、四谷で打ち合わせとリハ。簡単なもので他の日と思ったけれど、相手の都合で結局学校の授業の時間に割り込んで来てしまったもの。 で、それを大急ぎで済ませて横浜に移動した。みなとみらいでの神奈川フィルの定期を聞くためであるが、途中日本丸をデジカメでパチリ。そして急いでホールに行く。 ロビー・コンサートではヒンデミットの木管五重奏から第1楽章を演奏していた。終わって客席へと移動する途中、誰かが「全くの現代音楽だったね」と言っているのを聞いた。あれで... [続きを読む]

受信: 2008年5月24日 (土) 19時41分

» おすすめのヘアスタイルショートヘア情報を案内/ビューティーきれいナビ [ヘアスタイルショートヘアについてのオススメ情報です]
おすすめヘアスタイルショートヘアへ [続きを読む]

受信: 2008年5月26日 (月) 12時49分

« R・シュトラウス 「ティル」「ドン・ファン」「死と変容」 セル指揮 | トップページ | ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ハイティンク指揮 »