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2008年6月 1日 (日)

ヴェルディ 「仮面舞踏会」 アバド指揮

Tadachi 今日は素晴らしい天気。
外で子供とちょっと運動したたでけで、汗だくになってしまった。

こんな日は、こんな緑と清流のかたわらで、ビールをシュパっと開けて、「そうめん」などをするっと食べると最高だな。

最近知合った仕事仲間で、海外にもよく行く方がいて、外国から来たお客さんをもてなすのに、自宅で「そうめん」を食べさせるそうな。
白くて細く長い麺に、皆、目をしろくろさせているが、「これは、日本の宮廷のやんごとなき食べ物であ~る」と宣言するそうな。
すると、外人たちは箸を使いながら神妙に、音を立てずに、そろりそろりとお食べになるそうな。実際に、宮廷食だったこともあるそうだが、まあ意地悪なこと。

Verdi_un_ballo_in_maschera_abbado

今日は、久しぶりにヴェルディのオペラを。
仮面舞踏会」は、ヴェルディ中期43歳の作品。
26作あるヴェルディのオペラ、初期のものは「マクベス」を除いてちょっと苦手だが、でもその溢れ出すメロディの宝庫には、魅力を禁じえない。

前作の「シモンボッカネグラ」あたりから、祖国愛ばかりでなく、登場人物の苦悩や葛藤といった心理的な描き方が深みを持ち始めた。
オーケストラも、大きな音を響かせる一方で、輝かしさと、内省的な渋さが目立ってくる。

「運命の力」「ドン・カルロ」「アイーダ」「オテロ」「ファルスタッフ」と、後期の充実作品へと、さらにヴェルディの筆は磨きがかかることとなる。

有名な作品だから、超概略。舞台はボストン。本来のスクリーブの台本は、スウェーデンのギュスタフ三世を扱っていて、実際にあった話。
ナポリで初演をしようとした際に、イタリア人によるナポレオン三世暗殺未遂事件があり、その情勢から、舞台と人物を移し変えて上演せざるをえなかったらしい。

 第1幕
ボストンの知事リッカルドは、秘書レナートの妻アメーリアに想いを寄せている。
その知事を暗殺せんとする、サムエルとトムの2人組み。そのふたりを見張るレナート。
給仕のオスカルが、占い女のウルリカの助命を求めてくるので、リッカルドはウルリカに会いにゆく。リッカルドを占ったウルリカは、最初に握手をした友人に殺される運命にあると言う。そこへ、レナートが現れ、知事の安全を知り握手する・・・・。

 第2幕
ボストンの郊外の野辺。アメーリアは、恋を忘れる薬草を探している。そこへ、リッカルドが現れ、陶酔的な素晴らしい二重唱となる。
そこへ、危険を知らせにレナート登場。アメーリアをレナートに託し、リッカルド去る。
そこへ、サムエル&トム登場。自分の妻とも知らずに・・・とからかう二人。
ヴェールを脱がすと、何と妻。レナートは、リッカルドの暗殺計画に加担することに。

 第3幕
レナートの部屋。アメーリアは死を決意し、レナートは素晴らしいアリアで応酬。
2人組との打ち合わせで、レナートは自らが刺すことを決定。
一方、知事室では思い悩んだリッカルドが、レナート夫妻を本国に帰すことで、この問題解決をはかることを決意。オスカルが、仮面舞踏会は危険との手紙を持ち込む。
 さて舞踏会場では、仮面のためレナートはリッカルドを見つけられない。
オスカルに重要な用件として、姿を聞き出したレナート。
おりから、危険を知らせるアメーリアに会ったリッカルドをレナートは剣で刺してしまう。
絶え絶えのリッカルドは、二人を移動させようとしていたこと、アメーリカは無実であることを語り息絶える。

  リッカルド:プラシド・ドミンゴ   アメーリア:カーティア・リッチャレッリ
  レナート :テナート・ブルソン  オスカル :エディタ・グルベローヴァ
  ウルリカ :エレナ・オブラスツォワ サムエル:ルッジェーロ・ライモンディ
  トム   :ジョヴァンニ・フォイアーニ

     クラウディオ・アバド指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
                       ミラノ・スカラ座合唱団 
                                    (79・80年ミラノ)

Abbado_2  アバドスカラ座時代に残したヴェルディ録音は、「マクベス」「シモン」「仮面」「アイーダ」「ドンカルロ」の4作のみで、その数の少なさは残念極まりない。でも、レパートリーの選択に慎重だったアバドは、ヴェルディで取り上げたのは、あとは「ナブッコ」くらい。
「オテロ」と「ファルスタッフ」は、ベルリン時代だったから、機が熟すのを待っていたのか。
ついでに、スカラ座時代のレパートリーは、「フィガロ」、「セビリア」、「チェネレントラ」、「ルチア」、「カプレーキとモンテッキ」、ヴェルディ諸作、「ローエングリン」、「ボリス」、「ホヴァンシチナ」、「カルメン」、「ヴォツェック」、「3つのオレンジ」など。
いかにもアバドらしい演目ばかり、こんな内容でイタリアの殿堂スカラ座を束ねていたのだから、その手腕と地元出身者の強みを感じざるを得ない。

歌に偏重すると、ヴェルディが取り組みだした大胆な和声や響きがおろそかになる、そんな難しい「仮面舞踏会」だが、アバドはそんな難題に見事に応えているように思う。
アバドの得意な歌うピアニシモ、その反面のダイナミクスの幅の大きさ。たたみかけるような迫力や抜群なテンポ感も充分。
2幕のワーグナーをも思わせるようなロマンテックな響き。
幕切れもペシミステックになりすぎず、冷静な節度を保っているのがいい。
そんな熱くならないヴェルディが面白くなければ、アバドよりはムーティを聴けばいい。

このオペラの主役は、真面目なテノールがいい。かつてはベルゴンツィ、そしてここで歌うミンゴが理想的。この頃は、イキがよく、何を歌ってもそれは見事なものだった。
その相手役リッチャレッリも、若く美しく、苦悩する役を真摯に歌っている。
もともとドラマテックな声でない彼女、無理せずに身の丈にあった歌いぶりだが、2幕のアリアなどでは、さらに強い声を求めたくなるのも事実。
ブルソンは当時もうベテランだったが、この録音が本格的なメジャーデビューではなかったかと記憶する。後年の彫りの深い声とは違って、美声だけが目立つ気もしなくはない。
カプッチルリだったらば・・・・・。
オブラスツォワは、あきらかに異質。でも、グルベローヴァライモンディが贅沢にも脇をしめていて、彼らがちょこっと歌うと場が引き立つ思いだ。

スター歌手を揃えながら、それぞれの出来栄えが微妙にしっくり来ない。

アバドは後年、ウィーンのニューイヤーコンサートで、J・シュトラウスの作になる「仮面舞踏会」のカドリーユを、むちゃくちゃ楽しそうに、そして唖然とするほど見事に指揮していた。
いずれも、アバドの一時代の記録であろう。

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