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2008年6月17日 (火)

東京都交響楽団演奏会 ワトキンス指揮

Tmso イギリスの若手指揮者 ワトキンス指揮の東京都交響楽団の定期演奏会を聴く。
会員でもなんでもない私、都響は何年ぶりかのお久しぶり状態。

そう、狙いはエルガー(ペイン版)交響曲第3番
尾高さんの演奏を逃してしまったから、生で聴くのは当然初めて。


そして! 極めて素晴らしかった!
普段、この曲をCDで聴いているのと格段に違うライブな臨場感が溢れ、眼前で手に取るように展開されるオーケストラに目を奪われっぱなしだった。
P席での鑑賞だったためであるが、「ここでこんなことを」、とか「こんな風に弾いてるんだ・・」とかの思いで満たされていたわけ。

      シューマン         ピアノ協奏曲
                  
                 Pf:中野翔太

      エルガー(A・ペイン版) 交響曲第3番 

       ポール・ワトキンス指揮 東京都交響楽団
                       (6.17@サントリーホール)

このところ、シューマンとエルガーばかり。
期せずして、その二人の作品の組合せの一夜。
シューマンの独奏は、若い中野クン。
冒頭は、ピアノもオケも噛みあわず、この指揮者、大丈夫かな・・と思わせるくらい。
1楽章後半から、徐々に音楽が響き出し、3楽章は実にフレッシュで活き活きとした演奏となった。ところが、3楽章で、ピアノが完全に落っこちてしまった・・・。
気を取り直して、なんとか曲を閉じたが、ちょっと後味が悪いかな。
この指揮者の振り方が見ていて拍子の打点がわかりにくい。
でもS・オラモ似の写真と違って、正面から見ていると、ときおりMr.ビーンのような顔をする。そういえば、ビーン氏はローワン・アトキンソンと、紛らわしいお名前。
イギリス室内管の准指揮者らしく、実力派で、顔はともかく、今後活躍する予感。

でもエルガーでは、そんな指揮ぶりが全然問題なく、大きな枠組みを築きつつ、3番の交響曲が持つ壮大さをとてもよく引き出していたように思う。
1楽章は、早めでこだわりなく進む様子に、じっくり型の尾高さんの演奏との違いに戸惑いつつも、その流れのよさにすっかり乗せられてしまった。
その冒頭の第1主題は、前記事の「使徒たち」で書いたとおり、イエスの受難や復活を描いたオラトリオ3部作の、未完の「最後の審判」のモティーフだという。
 さすがに、その大作はペインさんも補完できないだろうなぁ。

2楽章の憂愁のスケルッオ、弱音器を着けたトランペットのソロがとても印象的。
打楽器が活躍するさまも、後ろから拝見していると、とても面白い。
都響のきめ細やかなアンサンブルが見事だった。
圧巻は続く二つの楽章。
「惑星」の「土星」を思わせる沈鬱かつ重々しい雰囲気を、エルガーの緩徐楽章らしい熱く高貴な抒情が打ち払う。ビオラにハープにオーボエにと、オケの動きに目が離せない。
ワトキンス氏の熱のこもった指揮は、オケをだんだんと熱くしていく。
そして、CDではとって付けたように感じる終楽章は、大交響曲の最後を飾る座りのいい音楽として鳴り響いた。
打楽器の大活躍は相変わらずであるが、全曲に渡って多用される、エルガーの特徴である上昇音型が見事に決まってゆく。
リズミカルで親しみやすい音楽に聴衆もついに引き込まれていくような雰囲気だった。
最後は急速に速度を落とし、ドラの音とともに静かに曲を閉じるわけであるが、もうひとつのエルガーの常套である、冒頭主要主題の回顧(ヴァイオリンでさりげなく現れる)を見事に決めてくれた。
 曲を閉じて、指揮棒を抱え込むようにしたワトキンス。
未知の曲の方もおられるであろうが、エンディングの余韻をじっくりと味わうことができた。

会心のワトキンス氏、かなりのブラボーも飛び、最後は、エルガー=ペインのスコアを高く掲げ歓声に応えた。

プログラム解説には、マーラー10番や、未完成、ルルやトゥーランドットといった補筆完成版のことが書かれていて、クック版マーラー10番が、たどった成功の道を、このエルガー=ペインもたどることができるであろうか・・・あなたの判断は? とある。
 私は、これまで、大好きなエルガーの交響曲がもう1曲増えたことを素直に喜んできたが、今回のライブ経験で、一歩踏み出し、札響・大フィルなど日本のオケが普通に名演をくりだすようになった、エルガーの名曲のひとつとして、認知いたします。はい。

11月には、尾高/札響が札幌定期で演奏したあと、恒例の東京公演でも演奏しますぞ!

  エルガー 交響曲第3番の過去記事

 コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団のCD
 尾高忠明指揮 札幌交響楽団のCD
 

   

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コメント

どうも管理人様、先日コメントさせていただきました、ゆうです。ワトキンスの3番素晴らしかったですね!今までの録音に比べて若干速めのテンポで進んで、非常に臨場感あふれる演奏でした。最後の怒涛のブラボーも納得です。アンコール用意していて欲しかったなぁ・・・最後にワトキンス氏がスコアを大事そうに掲げる姿が印象的でした。こういった指揮者が繰り返し演奏してくれることで、ひとつの楽曲として認知されていくのでしょうね。クック稿のマラ10のようになっていってほしいものです。そして11月の尾高さん&札響とのコンサート、私も楽しみです。尾高さんのこの曲への想い入れは凄まじいらしく、以前インタビューで「ちょっとクドイところもあるけど、部分部分によっては神様が見えるんです」とおっしゃっていました。

投稿: ゆう | 2008年6月18日 (水) 09時10分

突然お邪魔致します、夜来香と申します。
うわさの3番ということで、私もP席からじっくり見つつ聴きつつ、エルガー(+ペイン?)を堪能させていただきました。

個人的には第3楽章が素晴らしくてゾクゾクしっぱなしでした。都響さんの響きが本当に苦しくてそれでもって非常に美しくて、これは表現できませんね。全体を通して緊張感あふれる演奏、お見事!
エルガーっていいですね。

札響&尾高さん、楽しみです。

(MR.ビーンに大爆笑してしまいました、確かに。)

投稿: 夜来香 | 2008年6月18日 (水) 16時17分

ゆうさま、今回もコメントありがとうございました。
ほんと!素晴らしい演奏でしたね。
ワトキンス氏もこの曲を信じて演奏しているのが、実によくわかりました。都響はクールな応対でしたが、出てくる音は、充分ノビルメンテでした!
そういえば、マイクが林立してましたが、NHKで放送でもするのでしょうか??
 それと、あの雰囲気であれば、しんみりと「エニグマ」の「ニムロッド」などやってくれたら心豊かに帰宅できましたねぇ。
尾高さんの演奏、大いに楽しみです。

投稿: yokochan | 2008年6月18日 (水) 22時48分

夜来香さま、はじめまして。コメントどうもありがとうございます。
同じP席にいらっしゃったのですね。
きょろきょろと忙しい席ですが、本当に楽しめました。
あの3楽章、私も大感激で、今回ほど胸に沁みたことがありません。
いろいろな評価をなされる方がいらっしゃるでしょうが、私はエルガー・テイストが限りなく100%の名曲だと思います。
11月の尾高さんの演奏、札幌も聴いてしまいたいくらいです(笑)。
Mr.ビーン、夜来香さんも思われました?
微妙なところですが、そうと気付くと楽員は大変でしょうねぇ(笑)。

投稿: yokochan | 2008年6月18日 (水) 22時58分

はじめまして。バートレットと申します。
インターネットで今回の演奏会について調べていたところ、こちらを見つけお邪魔いたしました。

私もエルガーの3番目当てで急遽チケットを取って行ったのですが、素晴らしい演奏だと思いました。
(私も管理人様と同じP席でした)
やはり実際の演奏、特に第4楽章の迫力ある演奏に感動しました。

CDは既にサー・コリン/LSOとサー・アンドルー/BBCsoを持っているのですが、感動のあまりヒコックスのCDをネット通販で注文してしまいました。

11月の尾高さんの演奏会も予定がつけば聴きたいと思っています。
いつかイギリスのオーケストラの演奏でこの曲を日本で聴くことが出来ればなあと思っています。

投稿: バートレット | 2008年6月21日 (土) 17時45分

バートレッドさま、はじめまして。コメントありがとうございます。
バートレッドさまも、同じP席でお聴きでしたか。
ライブは感動が増しますね。そして、予想以上の名演でした。
あの日の演奏会で、この3番の存在価値が自分の中で高まった思いです。
バートレッドさんも数枚お持ちなんですね。
ヒコックス盤は、ほかの2曲も併せて欲しいところなんですが、チトお高い・・・・。
秋の尾高さんの演奏会、また感動を共有できることを楽しみにしております。
尾高さん、来年のN響で2番ですね。再来年は、N響でも3番をやるでしょうか!

投稿: yokochan | 2008年6月21日 (土) 22時07分

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