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2008年6月11日 (水)

中村靖&金子裕美 「英国の薫り」

Nakumurakaneko バリトンの中村靖さんとソプラノの金子裕美さんのジョイントリサイタルを聴く。
ピアノは、柴田かんなん。

「英国の薫り」と題されたコンサート、フィンジやウォーロック、クィルター らの抒情と文学性豊かな、あまりにも素適な歌曲の数々。
同様のジョイントリサイタルは、これで3回目、中村さんのソロコンサートを入れると6回目の英国歌曲コンサートとなるらしい。
今まで、知らなかった自分が疎ましい。
ともあれ、初参戦のわたくし、今後は必ず押さえなくちゃならないシリーズであります。

みなとみらい小ホールで全席自由ながら、チケットは4500円と、ちとお高い。
土曜日聴いた、神奈川フィルが定期会員割引があったとはいえ3200円だったものだから・・・・。
平日の夜の横浜、英国音楽好きを自認する身としては、何をおいても駆けつけなくてはならない。

英国作曲家の歌曲は、デリケートで静かやな曲やミステリアスな雰囲気の曲が多いだけに、輝かしい声や雄弁な語り口、うますぎる歌手とは無縁の世界かもしれない。
今日のお二人は、そうした部類の歌手には属さない。真摯で暖か、ちょっと甘さも感じさせてくれる、伸びやかで、それは気持ちのいい歌声だった。

  ウォーロック 「結婚日和」、「乳搾りの娘たち」、
          「睡蓮(The Water Lilly)」
           「さくらんぼ釣り」、「思いてよ」
  ガーニー   「野は満ちて」、「柳の園で(The Sally Gardens)」
           「時がもし」、「春の願い」
  クィルター   「夢の谷」、「フクシアの樹」、
           「音楽は、優しき声絶えしとき・・」
  アイアランド   「歌曲聖俗集」
  
  フィンジ   「ディエス・ナタリス(生誕の日)」
           歌曲集「歌人へ」

  ~アンコール~
  
  レーマン   「ここに一人の男とその恋人が」
  ブリテン   「柳の園で」

       金子裕美(ウォーロック・クィルター・生誕の日、レーマン)
       中村 靖 (ガーニー・アイアランド・歌人へ、ブリテン)
       ピアノ:柴田かんな
                       (6.11@みなとみらい小ホール)

彼岸にたどり着いてしまったかのような歌曲集「たいしゃくしぎ」の作曲家ウォーロック
あの曲のイメージが強すぎたか、今日の5曲の歌は明るく楽しい牧歌調の音楽に驚き、かつ聞き惚れた。別名をもつ二面性の人ゆえか・・・。
 いかにも英国田園情緒満載のガーニーさんの歌。
リズミカルなヶ所が楽しく、明るく屈託ないクィルターの曲。他の曲もいろいろチェックしたくなる。
オーケストラ曲やピアノ曲を親しんでいるアイアランドの歌曲は、今回始めて聴く。
抒情とモダンな大胆さが交錯するアイアランドの歌曲。バーバーやジャズの雰囲気を感じてしまった。いい曲じゃないか!

 そして、本日のメインは後半のフィンジの2連作。
フィンジは寡作ながら、ナイーブで傷つきやすいデリケートな素晴らしい音楽ばかり残した。クラリネット協奏曲は、ワタクシ最愛の音楽のひとつ。
そして、ディエス・ナタリスも大好きな曲。本来のオーケストラ伴奏版はいくつか持っているが、今日のピアノ版は、オケよりもニュアンス豊かに感じ、極めて美しかった。
そう、この曲を始めとして、ピアノの柴田さん、あまりにも素晴らしい。慈しむようなピアノの音色に英国の緑の丘の風景が、ほのぼのと浮かびあがってくるようだ!
金子さんの、クリアーボイスで聴くフィンジ。
序奏の場面から、もう私は不覚にも涙をこぼしてしまった。
 同様に、中村さんの歌う「歌人へ」。これは初聴き。
なかなかに崇高かつ気品溢れる曲調で、哀感もたっぷり。
中村さんの真剣な歌い口は、とても共感が溢れていてよかった。

イェーツの「柳の園」に付けた曲が3つ。ガーニーに、アイアランドの歌曲集の中に、そしてアンコールのブリテン。いずれも青春の甘酸っぱさを感じる桂曲!
英国音楽を愛するお二人、とても素晴らしい。
ことに、金子さんの繊細で無垢の声はとても気に入りましたぞ。
私の郷里に近いところの方というのも、親しみがわくし。

なかなか満席とはいかない、渋いコンサートだったけれど、私の近くのご婦人など、フィンジの曲を聴いて「あぁ~、きれい」とおっしゃっていた。
こんな風に、英国音楽が静かに楚々と広まっていけばいいと思う。
ただ、曲のひとつひとつで拍手をするのはいかがなものかと。まして歌曲集ではちょっと・・・・。

Nakumurakaneko2

幸せのコンサートでありました。
また来年に。

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