アイアランド 「レジェンド」 パーキン&トムソン
紫陽花が盛りを迎えておりますな。
淡い色の数々、自然はこの雨の時期にほんとうにパステルの美しい花を作ってくれたものだと思う。
紫、ピンク、白、ブルーといろいろあるけれど、このラムネブルーが好きだな。
アイアランド ピアノとオーケストラのためのレジェンド
シンフォニック・ラプソディ「マイ・ダン」
ピアノ協奏曲 変ホ長調
ピアノ:エリック・パーキン
ブライデン・トムソン指揮ロンドン・フィルハーモニック
(1985.12@ ロンドン)
ジョン・アイアランド(1879~1862)は、英国音楽の中でも抒情的でメロディアスかつモダンな作風をもった人。
交響曲とオペラ以外のジャンルにそこそこの数の作品を残していて、先日は、その素適な歌曲を横浜で聴いたばかり。
マンチェスターの出身だが、バックスと同じくケルトの文化に大いなる関心を抱き、さらに、海を愛したことでも同じだ。
ウェールズの作家アーサー・マッケンに触発されたことも大きいらしい。
マッケンはわたくし、未読だけれど、ケルト臭プンプンの幻想作家らしい。これは是非にも読まねばなるまいの。
「レジェンド」は、マッケンに捧げられた音楽で、サセックス州あたりのHarrow Hillという場所に触発されて書かれたという。
そこには、有史以前の城郭の遺跡や鉱山があるらしい。
ピアノとオーケストラのための15分あまりのこの音楽は、幻想味豊かで、古代に思いを寄せるようなミステリアスな雰囲気や抒情的な歌に溢れたもの。
バックスのクールな荒涼感を思わせる壮絶な雰囲気もあって、短いながらにケルテックなアイアランドの音楽の特徴が凝縮されているように思う。
もう1曲、この作品と兄弟のようなオーケストラ作品「Mai-Dun」。
メイデン城という、これもいにしえの遺跡にちなんだシンフォニック・ラプソディ。
リズミカルなメインテーマで始まるが、すぐに静謐なムードに支配され、コールアングレやホルンがとても美しい雰囲気を作り上げ、徐々に情熱的な歌となってゆく。
こうしたノスタルジックな要素や、妖精の舞うようなファンタジー溢れる音楽は、英国音楽を愛する私の最も好む場面。
このCDのメインは「ピアノ協奏曲」。以前取り上げたけれど、こちらの方が親しみやすい音楽かもしれない。その第2楽章の美しさはたとえようがありませぬ。
エリック・パーキンのピアノに、ブライデン・トムソン指揮するロンドン・フィル。
バックスでも素晴らしい演奏をたくさん残したこのコンビの演奏、悪かろうはずがない。
というか他が考えられない・・・。
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コメント
私と相性の良くないトムソンながら、この曲もこの盤で知りました。ピアノ協奏曲第1楽章のピアノの出だしなんて、上等のイージーリスニング調で親しみやすさにも欠けていないのに、録音があまりないのは残念です。
更にトムソンのこの録音はあまりに残響を多く取りすぎて、何だか…。大体この頃のシャンドスは人工的なまでに残響をつけていたので、聞いていてちょっとイラッときます。やっぱり相性の悪さなのでしょうか?(笑)
レーンのピアノでハイペリオンから出ているので、そのうち買おうと思いながらそのままになっています。
取り上げられている「伝説」もファンタジックで幻想的で同時に映像的!私は某国営放送のドキュメンタリー風の時代劇あたりに向いているのでは…などと勝手なことを思っています。
トムソンのソロ?の"Mai-Dun"はそれでもなかなかの名演で、このCDの白眉だと思います。あの残響さえなければ…。
投稿: Schweizer_Musik | 2008年6月16日 (月) 07時51分
schweizer music先生、コメントありがとうございます。
トムソンが苦手なんですね(笑)
私は結構、というかトムソンの指揮は、ニールセン以外ほとんど持っているくらいに好きなんです。
確かに、彼が活躍したシャンドスの初期の録音は残響が多いですね。私のチープな装置と、狭小の部屋ではちょうどいいのかもしれません(笑)
おっしゃるように、Mai-Dunはなかなかに素晴らしい演奏ですし、曲も素晴らしいです。
アイアランドは、もっと聴かれていい作曲家ですよね。
投稿: yokochan | 2008年6月16日 (月) 22時11分