ワーグナー 「パルシファル」 シュタインを偲んで
ホルスト・シュタインの逝去のニュースは、昨晩、出張先のホテルで知った。
酔って部屋に戻り、テレビをつけたらシュタインの指揮姿が映されていた。
携帯で、すぐさまに記事に残したが、酔いのためかろくな文章にならず、それでもいくつかコメントを頂戴し、シュタインを知る世代としての共感を強くした次第。
帰宅後、シュタインの思い出を書き留めておこうと思い、再度記事にさせていただいた。
音楽は、シュタインのバイロイトにおける貴重な映像記録のひとつ「パルシファル」。
テレビは見ずに、1幕のみを拝聴。
早めの低回しないテンポながら、オーケストラを隅ずみまでしっかり鳴らしていて、一音たりとも緩みのある音がない充実したオーケストラ。
シュタインの名前が日本でちらほらしだしたのは、グルダと共演したベートーヴェンの協奏曲あたりから。同じ頃、バイロイトでリングのウォルフガンクの新演出を任された。
さらに、NHK交響楽団が客演に招いた。73年のことだったかと思う。
N響との演奏はテレビで観劇した。ワーグナーは、「ラインの旅」と「葬送行進曲」だった。
その頭部ばかりに目がいってしまったけれど、動きの少ない的確な指揮と、当時夢中になりつつあったワーグナーの音楽を演奏するオケに大感動だった。
以後、FMでおりにふれ放送されるシュタインのワーグナーを録音しては、スタンダート演奏として本当に楽しんだものだ。
お陰さまで、シュタインの指揮でオランダ人以降のすべての作品を今でも聴くことができる。
日本ではオペラを振ることがなかったのが残念だけれど、N響やバンベルク響との演奏の数々は、放送を通じて親しく接することができた。
チャイコフスキーやシベリウス、ストラヴィンスキーなどのスラヴ系、ドビュッシーやメシアンなども得意にしていて器用な人でもあったのだ。
実演で印象に残っているのは、N響との第9とパルシファルのふたつ。
とくに後者のパルシファル第3幕の演奏会形式のものは、シュタインの最後の日本での指揮となったもので、クナッパーツブッシュばりのゆったりしたテンポで本当に神々しい演奏だった! シュタインが演奏終了後、涙を浮かべていたのが忘れらない・・・・。
活動の最後の頃は、テンポを遅くとるようになり、FMで聴いたエロイカも1時間くらいのすごい演奏だった。心臓の持病があったとはいえ、円熟を迎える最中の惜しまれる引退だった。
そして、その10年後の80歳での逝去は、私にとってワーグナーの師を失ってしまったような喪失感がある・・・・。
ワーグナーでは、DVDが「オランダ人」「マイスタージンガー」「パルシファル」。
CDは、全曲録音がないのが極めて無念。ウィーンフィル、N響、バンベルク響との管弦楽曲が3枚あるのみ。
根っからのオペラ指揮者で、自身もテノールの素晴らしい声をもっていた。
指揮しながらよく歌うこともあったらしい。
ウィーンでリングを振っているとき、ジークフリート役がもうろくしていて、何度も出を間違えていた。忍耐の尾を切らせてしまったシュタイン、指揮しながら、「ハイッ」「飲めよグンター」と歌って入りを指示して、その声がホールに響きわたってしまったという。
そんな職人指揮者、よきカペルマイスター、「ホルスト・シュタイン」さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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コメント
NHKにはN響アワーでお茶を濁すことなく、是非とも追悼番組を放映して頂きたいと思いますが、とりわけ日本で見る最後の姿となった「パルシファル」第三幕の全曲放映を願ってやみません。N響の名誉指揮者であり、また当代きってのワーグナー指揮者でもあったシュタインを偲ぶのにこれほどふさわしいものはないのですから。
投稿: 白夜 | 2008年7月31日 (木) 01時53分
こんばんは、シュタイン氏はワーグナー指揮者でも有名だったのですね。恥ずかしながら知りませんでしたが、少なくとも重厚でスケールの大きな音楽を聴かせる指揮者だった、というのはよくわかりました。録音や映像の中の存在で終わってしまいましたが、いつかワーグナーのDVDは見てみたいです。
投稿: stonez | 2008年7月31日 (木) 02時49分
このワーグナー集LP持っています。下記の演奏会を聴いた後、急いで近くのレコード屋さんで買いました。
http://park11.wakwak.com/~goda/k/N1980.htm
私がワーグナーに興味を持ち始めた、記念すべきレコードです。NHKの特集を心待ちにしたいと思います。
投稿: ご~けん | 2008年7月31日 (木) 06時58分
ホルスト・シュタイン、素晴らしい指揮者でした。
NHKのFM放送、年末のバイロイト音楽祭ではシュタインの演奏を沢山エアチェックさせてもらいました。
豪快で緻密、息づかいも自然な実に良いワーグナーでした。
ウィーン・フィルとのワーグナー管弦楽曲集はLPで今も愛聴しています。そしてグルダとのベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集は最愛のセットであります。
この数年は引退状態でしたね。彼のベートーヴェン交響曲全集は是非聴いてみたかっただけに、残念です。
投稿: mozart1889 | 2008年7月31日 (木) 08時21分
白夜さん、こんばんは。
シュタインはN響で、ワーグナーをかなり演奏してましたよね。
その代表が、ご指摘のパルシファルです。
あとオランダ人のほぼ全曲や、ユンクとマルトンを迎えたワルキューレなどなど、放送を望みたいものがたくさんあります。
しっかりとした放送を切に望みたいですね。
コメントありがとうございました。
投稿: yokochan | 2008年7月31日 (木) 22時54分
stonezさん、こんばんは。
シュタイン氏は、ワーグナーやオペラの重厚長大なものばかりでなく、チャイコフスキーのバレエなども上手に聴かせる人でした。これからそうした音源が復刻されることを望んでます。
ワーグナーとそうした音楽と両方を是非楽しんでみてください。
投稿: yokochan | 2008年7月31日 (木) 23時03分
ご~けんさま、こんばんは。
HP拝見しました。懐かしい演奏会ばかりで、シュタインさんのニュースなのに、とても嬉しくなりました。
ユンクとマルトンとの演奏会のテープは私もCDR化して愛聴してます。ワルキューレが最高です。
そして、このレコードもオリジナルのまま復活して欲しいものです。
歴代のN響指揮者たちが、亡くなったり引退したりするのは、とても寂しいです。
スウィトナーとサヴァリッシュには、ずっと元気でいて欲しいものです。
投稿: yokochan | 2008年7月31日 (木) 23時11分
mozart1889さん、こんばんは。
シュタインの指揮で聴いたワーグナーの放送の数々。シュタインとともにワーグナーにはまっていったように気がしてます。
そして、グルダとのベートーヴェンは絶品でしたね。
N響ともかなり演奏してましたから、第2や田園以外は揃っているかもしれません。NHKはシュタインをはじめとする過去演を定期的に放送して欲しいものです。
バンベルクとのブラームス全集も手に入りにくい一組ですね。
投稿: yokochan | 2008年7月31日 (木) 23時18分
こんばんは。
いつも楽しく拝見させていただいていますが、初めて投稿させていただきます。
マエストロ・シュタインの演奏は1990年代前半、自分が大学生時代にN響との共演を通じて体験いたしました。
ブルックナーのミサ曲第3番など、本当に素晴らしくてとても感動したことを、汗びっしょりになったマエストロの温厚な表情とともに鮮明に記憶しています・・・・。
皆さんがお書きになっていますが、FMでN響とのワーグナー・ライヴを再放送して欲しいです!(音源がなくて聴くことができないのです・・・・)
追悼の意味も込めて、マエストロの75年・バイロイトの指輪(CD-R)を聴いていますが、本当に澱みなく音楽が流れ自然でありながら、ワーグナーへの深い思い入れと情熱が伝わってくる演奏で、感動を新たにしています。
心からマエストロのご冥福を祈りたいと思います。
投稿: キンモクセイ | 2008年8月 1日 (金) 19時28分
私は、ホルスト・シュタインがバンベルク交響楽団とともに来日して、ブラームスツィクルスを聴きに行きました。エリザベート・レオンスカヤ、フランク・ペーター・ツィンマーマンといった素晴らしいソリストたちもそろい、大変充実したブラームスが聴けました。サインもいただきました。
ヴァーグナーも素晴らしかったそうですが、ブラームスも素晴しいものでした。そのときのプログラムをもう一度見てみたいものですね。
投稿: 畑山千恵子 | 2008年8月 1日 (金) 20時43分
キンモクセイさま、はじめまして。コメントありがとうございます。
シュタインさんとN響は、数え切れないくらいの名演を残してますね。ブルックナーのミサ曲はビデオに撮ってあるはずですので、確認してみたいと思います。
一連のワーグナーは、私にとって今となっては宝物のようですが、最大の記録は「リング」ですね。
オルフェオによる復刻を切に望みたいものです。
ワーグナー以外でも、フランクやチャイコフスキーの交響曲の名演は忘れがたいです。
思い出のマエストロたちが物故してゆくのは寂しい限りですね。
投稿: yokochan | 2008年8月 1日 (金) 23時06分
畑山千恵子さま、コメントありがとうございます。
バンベルクとのブラームス・チクルス行かれたのですね。
サインも羨ましいです。
適材のソリストとの演奏の様子は、たしかFM放送されたはずですが、当時はあまりに身近な指揮者だったので録音しておりませんでした。
唯一、2番のみ残ってまして、明るくて素朴な響きはドイツそのものです。
CDも名盤の誉れ高いですが、入手困難のようで、残念無念であります。
投稿: yokochan | 2008年8月 1日 (金) 23時11分
こんにちは
風鈴の音、いつもどこで鳴っているのだろうと
思ってました・・こちらだったんですね。
風鈴の絵、立体的で本物みたい。
夏の風物詩で、良いですね。
シュタインのジークフリートの話、
笑っちゃいました。そういう方だったんですね。
TBしますので、よろしくお願いします。
投稿: edc | 2008年8月 2日 (土) 14時23分
euridiceさま、コメントTBありがとうございます。
この風鈴はなかなかに気に入っているんです。
いろいろと考えるもんですねぇ。
シュタイン師は根っからの劇場の人だったんですね。
ホフマンとのエピソードも感心しました。
それとよく涙ぐむ方だったそうです。とても人間的です。
あらためて、ご冥福を祈りたいと思います。
投稿: yokochan | 2008年8月 2日 (土) 23時12分
早速BS2で追悼番組が組まれ嬉しい限りです。
期待した「パルシファル」こそありませんが
なかなか目配りの利いた好プログラムかと思います。
皆様オリンピックに気をとられて見逃されませぬよう(笑)
2008年 8月11日 (月) 00:40~ 追悼 ホルスト・シュタイン Bモード・ステレオ
1. 歌劇「さまよえるオランダ人」 序曲 ( ワーグナー作曲 )
2. 歌劇「さまよえるオランダ人」 から
水夫の合唱「見張りをやめろ、かじとりよ」 ( ワーグナー作曲 )
3. 歌劇「タンホイザー」 から
序曲とバッカナール ( ワーグナー作曲 )
4. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 前奏曲 ( ワーグナー作曲 )
5. 交響曲 第7番 イ長調 作品92 ( ベートーベン作曲 )
6. 交響詩「英雄の生涯」作品40 ( リヒャルト・シュトラウス作曲 )
7. 交響曲 第8番 ト長調 作品88 ( ドボルザーク作曲 )
テノール : 小林 一男
合 唱 : 早稲田大学混声合唱団
〃 : 二期会合唱団
管弦楽 : NHK交響楽団
指 揮 : ホルスト・シュタイン
解 説 : 奥田 佳道 (音楽評論家)
投稿: 白夜 | 2008年8月 6日 (水) 01時46分
白夜さま、素晴らしい情報をありがとうございます。
こりゃ、うかうかしていられませんね。
一部ビデオやカセット音源を持ってますが、この中では、サントリーホールでのベト7が最高の名演だったかと記憶します。
ドヴォ8やシュトラウスも手堅い演奏でしたし、ワーグナーも推して知るべしの内容ですね。
こういう機会しか再放送されないことは問題です。
歴代の演奏を恒常的に放送すべきNHK様であります。
投稿: yokochan | 2008年8月 6日 (水) 23時13分
今晩は。新潟に来ておられるのですね。新潟でスタンフォードの交響曲が演奏されたというのには少し驚きました。
ガーディナーのレハールは持っていないのです。ガーディナーヲタを公言しているのに情けないことです。
ラヴェルの四重奏曲は私はアルバン・ベルク四重奏団で聴いています。
シュタイン師が亡くなられてからもう3年になるのですね。今日、日本語字幕付のマイスタージンガーのDVDを購入してたった今見終えたところです。ウォルフガングの演出にもシュタインの指揮にも豪華なキャストにも感激しました。次はパルシファルです。
ブログ主様にお願いがあるのですが、シュタインは、件のバイロイトDVDでどのくらいの演奏時間でパルシファル全曲を演奏していますか?演奏時間だけが全てではないことはわきまえているつもりですが、DVD購入の時の参考にしたいと思いますので教えて頂けたら幸いです。
投稿: 越後のオックス | 2011年3月 3日 (木) 01時34分
越後のオックスさん、こんばんは。
こたびは、お寄りできなくてすいません。
慌ただしい楽旅になってしまいました。
大友氏のプロデュースがあってこその英国もの。
尾高さんと並んで、英国音楽を愛するものとしては心強い指揮者です。
ウィーンとは、いま疎遠になってるかもしれないガーディナーの貴重な録音です。
あと、シャブリエの作品集という不思議な1枚もありますね。
シュタインのワーグナーは映像しかなくって、そのうちのバイロイトのふたつはありがたい作品です。
心地よいテンポ感は、聴いてるとそう感じないのですが、タイムは予想外に短いのです。
スピーディな中に、どっしりとしたワーグナーを聴かせることができた本物のワーグナー指揮者です。
しばらく自宅を留守にしてますので、DVDを確認できません。
タイムの調査は、しばしお時間をください。
投稿: yokochan | 2011年3月 3日 (木) 23時15分
ようやく、映像を手に入れて、すべて一度見終えることができました。
この映像で見どころは、ベターかつ苦笑いですが、夜の乙女でしょうか。クレメンス・クラウスと似たテンポ感が心地いいです。私にとっての刷り込み盤が、ショルティ、ヴィーンフィルセッションということもあり、ルネ・コロの演技で見てみたかったですね。
映像ではヴァーグナー一家と一時期親しくなり、その後ヴィニフレット・ヴァーグナーを描いた映画で一家から追放、後にヒトラー、あるいはドイツ映画で、ドイツで総スカン、英仏米で絶賛され一部でカルト的人気を誇るハンス・ユルゲン・ジーバーベルクの映画で見ています。今の演出には、ナチス絡みの演出、一瞬だけ駒十字が出る、ヒヴァーグナー・ヒトラーの人形、デスマスクの登場。トラーがドイツを統一する様に読み替え、聖杯がでない等々。パルジファルが覚醒後両性具有これは男女2役で表現槍を持っていない女性ですっぽりで3幕男子はラストだけの登場、クリングゾールは、槍を投げ落としては力尽きる等ブレヒト流の異化の演技等、好き嫌いが分かれそうですが、美術や舞台のつくり方は素晴らしいと思いました。アンフォルタス演じた指揮者の顔芸や、第2幕のキスの瞬間が息子と母親にしか見えないところなども。読み替えの路線としては、去年の新国クプファー。全員生きて救われる点はヴォルフガング・ワーグナー、近年のバイロイトが好きです。といって、近年のバイロイトはその一点以外は演奏は未聴で置きますが、正直拒絶です。
名前クリック先にて、記事にしました。
ジーバーベルク監督を知るきっかけになったパルジファルの映像。
https://www.youtube.com/watch?v=Mic_EOGOTzE
花の乙女の場面はバレエがないのが唯一惜しい。ただそうなった理由は、服装を見れば納得できてしまうところ。この年代だと、かなり暗い舞台でほぼストリップでバレエした動画を発見した時は、やり過ぎで引きました。また女優陣へのこだわりは、ヴィスコンティ ベニスに死すに劣らない域だと思います。その点は、完璧で魅せられない人はいないのではと苦笑いしています。というわけでこの場面以外は、もっぱら見せ方が好きで、i Phoneに転送して映画ばかり見ています。シュタインの2-3幕は見れるようにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkj-98-kx2Y
https://www.youtube.com/watch?v=1EFjFMQ0CJc
https://www.youtube.com/watch?v=8PZErcCuEgA
https://www.youtube.com/watch?v=JOQv43sRUY8
https://www.youtube.com/watch?v=tMG-WFPKi4w
投稿: Kasshini | 2015年5月13日 (水) 10時49分
×夜の乙女
○花の乙女
×トラーがドイツを統一する様に読み替え、
○ヒトラーがドイツを統一する様に読み替え、
でした。失礼致しました。
今回綴った映画は、今のナチテーマの演出の元祖にもなりますが、今のバイロイトの読み替えよりも、ト書き通りであり、シュールなシーンも、ヴァーグナーの音楽が持っている一面を体現しているとも取れ個人的にはありと思い、何より美しいロケ、美術、ヴァンフリートにある石を用いた手の込んだセットに魅せられ挙げました。
投稿: Kasshini | 2015年5月13日 (水) 12時17分
Kasshiniさん、こんにちは。
ジーベルーベルクのパルシファルは、かつての昔、映画館で上演されたさいに、行こうとしつつ、忘れてしまった経緯があります。
いまはDVDもあるし、ネットでも見れるのですね。
以前に、映像を借りて見たのですが、すっかり忘れてましたが、全体を覆う、美しいトーンと、そして2幕の花の乙女のちょっと、ムフフの場面が記憶に残ってました。
でも、わたしには、ジョルダンとモンテカルロの明るく軽めの色調の音色が、CDでもお気にいりでした。
ゴールドベルクのタイトルロールもなかなかよいです。
舞台で観ると、花の乙女たちは、歌手たちが演じ歌うので、どんな演出でも、??ということになってしまいますが、こうした映像作品では、まったく問題なく、そして若く美しいですね。
わたくしは、やはり、ヴィーラントのブルーな照明のなかで、踊られるエロティックな花の乙女たちの演出を、是非観てみたかったです。。
いろいろと、興味深いコメントありがとうございました。
時間がなくて、ちょっと、パルシファルならびに、ワーグナーから遠ざかっておりますが、いつかゆっくりと、リングやパルシファルを楽しみたいと思ってます。
投稿: yokochan | 2015年5月21日 (木) 20時22分
ジーバーベルクの映画も見たことがあったのですね。ところどころお気に入りのようで。クリングゾールも救われるのはありとしても最近の演出は前述のとおり苦手。この映画もナチありですが、その美しいセットとそれ以前の映画で、世界最高の演出家としてヒトラーをリスペクトしながらも、ナチスが残した負の遺産に対して徹底抗戦しているので、異例でよしとしています。
ジョルダンは、後にいわくつきのヘアハイム演出のパルジファルでバイロイト経験ありですし、歌手も、クンドリーがイヴォンヌ・ミントンで、パルジファルは、後にバイロイトにも出演したゴールドベルク。このモンテカルロもパルジファルを中心にヴァーグナーの録音を結構残しているオケで、南フランスらしい音色もあって、キャスティングはいい方だったのですね。ジーバーベルクは、今も録音、映像は自画自賛しているそうです。
クナのパルジファル1951,1962,ジョージ・ロンドン、フラグスタート、二ルソンら名唱集も今年のタワレコ復刻にて買いましたが、クナの録音ではベストそうな1961とケーゲル盤には突撃予定です。今朝パルジファル1951以外取り込み終えたばかりで、聴き終え、記事にするにはまだ時間が掛かりそうです。
ヴィーラントの演出も、その死後破棄されたそうですが、復刻されてほしいですね。戦後バイロイトの原点として。冒頭、第1幕舞台転換の音楽、儀式の音楽、聖金曜日の奇跡、フィナーレはゆっくり目、それ以外は明快な演奏とともに、私は見てみたいですね。
投稿: Kasshini | 2015年6月 3日 (水) 13時20分
Kasshini さん、こんにちは。
パルシファルは、音楽も演出にも、汲めども尽きぬ魅力がありますね。
次のバイロイトの新演出は、話題のネルソンスの指揮ですが、演出は、日本生まれのドイツ人、ちょっと過激になりそうなヘンな人のようです!
で、前任のガッティの後を受けたのが、ジョルダンで、こちらは、モンテカルロでのジョルダンの息子、フィリップです。
パリオペラ座を率いて、いまや次世代のオペラ指揮者として、またウィーン響の指揮者として、大物ぶりを示してますね。
どちらかといえば、古い演奏ばかりを聴いてる自分ですが、ワーグナー指揮者も若返り、その解釈も新鮮なものが増えてます。
マーラー指揮者も幅が広がったように、わたくしも、それぞれ確認しなくてはいけないと痛感してます。
投稿: yokochan | 2015年6月 6日 (土) 09時30分
間違って覚えていたようで、苦笑しています。
ジーバーベルクの映像を知ったきっかけは、この記事で取り上げた映像を探している途中で知りました。戦後ドイツ映画の歴史までその流れで見てしまいました。ジーバーベルクの映画を見てからは正直なところ、感動することの怖さを感じてもいます。映像を買うとしたら、現時点では、クプファー演出バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンのBDくらいですね。
次のバイロイト新演出は時間があるかわかりませんが、見れたら異様と思います。
投稿: Kasshini | 2015年6月10日 (水) 10時51分