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2008年7月 3日 (木)

シベリウス 組曲「ペレアスとメリザンド」 ヤルヴィ指揮

1 夕日の沈む海。
波辺で遊ぶ子供たち。

この画像も数年前の夏のもの。
日本海は、日が沈む絶景が多い。
秋田の浜辺、それはそれは壮大で美しい夕日だった。
夕焼けフリークの私としても、数本の指に入るくらいのものかもしれない。
何回か、書いておりますが、夕暮れの光景には、音楽が頭の中で鳴る。
ディーリアス、バックスに、ワルキューレに、そして北欧系・・・・。

Pelleas_jarviペレアスとメリザンド」にちなんだ音楽、その3は、北欧の巨頭シベリウスの組曲でござる。

1898年のフォーレの音楽を付して初演されたメーテルリンクの劇作。
1905年、ヘルシンキのスゥエーデン劇場での上演にあわせて、今度はシベリウスが劇付随音楽を作曲することとなった。
作品番号は46。
交響曲で見ると、第2番と第3番の間の時期で、実際に3番は執筆中。
 このことで、おわかりのとおり、民族主義的な雰囲気から、牧歌的・自然描写的な作風の移行期にあって、4番以降の内省的な弧高の世界までの道程の一過程とも聴こえる。

   ①城門にて          ②メリザンド
   ③海辺にて          ④庭園の噴水
   ⑤3人の盲目の姉妹     ⑥パストラール
   ⑦糸を紡ぐメリザンド     ⑧間奏曲
   ⑨メリザンドの死

全体で約30分。先ほど述べたような曲調の音楽で、描写的ではないけれど、とても聴きやすい作品。
1曲目から、弦の深い響きで始まり、そこはフランスの森ではなく、フィンランドの鬱蒼とした森林と深い水を湛えた湖を感じさせる。
どこからどこまでもシベリウス!
2曲目は、イングリッシュホルンがメリザンドを表わすのだろうか、もの悲しい。
海を見つめ、遠くをゆく船に思いを馳せたメリザンド。重く陰鬱な3曲目。
庭園の泉に、疑惑を生むこととなった指輪を落してしまうメリザンド。
またまた悲しいオーボエによる姉妹の歌。(ドビュッシーのオペラにはこのシーンはなかった)田園曲が続くが、7曲目の糸を紡ぐメリザンドの音楽はどこか不安に満ちている。
そこには、3番の交響曲との類似性も伺える。
妙に明るい間奏曲は、二人の最後の逢瀬場面らしい。
そして、最後の悲しみに満ちた、メリザンドの死の音楽は、なかなかに深い!
ドビュッシー、フォーレ、シベリウスともども、メリザンドの死を優しく悼む鎮魂曲なのだ。

本格デビューしたての頃の、親父ヤルヴィとエーテボリ響の演奏は、どこか鄙びていて、シベリウスの描いた北欧版「ペレアス」の世界を難なく表現している。
録音魔のヤルヴィだけれど、この頃のシベリウスが一番いい。
FM録音した、ホルスト・シュタインとN響の演奏も意外なほどによかった。

明日は、どんな「ペレアスとメリザンド」が待っているのかな・・・

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