« マーラー 交響曲第4番 ハイティンク指揮 | トップページ | マーラー 「リュッケルトの詩による5つの歌曲」 ハンプソン »

2008年7月16日 (水)

マーラー 交響曲第5番 レヴァイン指揮

Azabu1 今日のラーメン。
港区界隈では有名な「麻布ラーメン」。
麻布十番が本店で、屋台が発祥という。
本店のほか、芝と田町(三田)にあって、いずれも職場近くなので、締めとして利用する。
ここ田町店は、立食で、入口で食券を購入し、立つこと数分で、カウンターにラーメンが運ばれてくる。
タクシーの運転手さん、サラリーマン、学生さんと、ここは男の世界なのだ。
いろいろな種類があるが、醤油豚骨とあっさり中華そばが私は好き。
こちらは、「醤油豚骨&角煮入り」。腹一杯になるぜ。おじさんには、背脂がちょいとキツイ。もやしキムチ食べ放題だぜ、学生諸子!

マーラーの交響曲も折り返し点の第5番
コンサートになくてはならぬ定番作品となったのは、80年半ば以降か。
外来はおろか、日本のオケもこぞって取り上げる名曲は、70年代ではとても考えられないことだった。こんな難しい曲を演奏するのも大変だったはずで、トランペットやホルンが絶対にコケテしまったろうし、最後の大爆発まで力尽きてしまうのが日本のオケだった。
演奏技術の進歩は、確実にオーケストラのレパートリーを拡張していて、マーラーはその典型であろうな。アマチュアや学生オケが、軽々とマーラーや春祭を演奏してしまうのだから。

例によって、この曲の実演体験を。
ベルティーニ&都響、マゼール&ウィーンフィル、アバド&ロンドン響、小沢&新日フィル、ショルティ&シカゴ響、ずっと最近になって尾高&札響、ヤンソンス&バイエルン。
結構聴いているけど、古い話である。
この中では、アバドのかっこいい演奏とマゼールの古風な演奏、シカゴのお口あんぐりの演奏が印象に残っている。
 レコードでの初買いは、メータ&ロスフィルで、これまた擦り切れるほど聴いたけれど、今思うとやたらに早い。それよりもアバド&シカゴのシャープな演奏がいまだに、私のNO1。

Mahaler5_levine 今回のチクルスでの5番は、懐かしいレヴァインフィラデルフィア管の演奏を。
これもレコードで聴いていたもので、10番アダージョとともに2枚組だった。
77年の録音で、72年頃にレコード・デビューしたレヴァインは、RCAにメジャーオケを振って次々に交響曲録音を行なっていて、マーラーもその一環。
ザルツブルクに「幻想」で登場したとき、その超スピードの演奏は、颯爽と輝いていたし、ヴェルディのオペラの数々もスピーディで爽快だった。
そんなイメージで、マーラーを聴くと、そのゆったりとしたテンポと大らかさに驚くこととなる。
その後、ワーグナーをはじめとして、弛緩するくらいに遅いテンポをとるようになり、あの若き突進ぶりは消えてしまった・・・・。
レヴァインへの興味も急速に萎えてしまい、オペラはいいけど、それ以外はよくわからない指揮者となってしまったのだ。

久しぶりに聴き直してみて、堂々たるテンポ設定の中に、威勢の良さが充分うかがえ、それにフィラ管の各奏者の名人芸が見事に応えている。
音色が明るすぎるのが難点だが、バーンスタインやテンシュテットとは、完全に一線を画する普通の音楽としての接し方で、気負いも醒めたところもない、元気な演奏。
ここでは、マーラーの何でもありの複雑な深層心理の世界が、あまりに綺麗に整理され、すらすらと開示されてしまう。
最後のフィナーレも猛然とアッチェランドが掛けられ、あっけらかんとしたエンディングとなる。
こんなにこだわりがなくてよいのかしら?
そう、これはこれで当時は極めて新鮮でビューティフルなマーラーだったのだ。
今では、さらに精度や密度の高い演奏が次々に現れるようになり、レヴァインの演奏の軸足も少し過去のものと感じるのは私だけだろうか。

素晴らしく美しいアダージェットを聴いて、懐かしくも学生時代や新人の頃を思い出したりもしたレヴァインの演奏である。

|

« マーラー 交響曲第4番 ハイティンク指揮 | トップページ | マーラー 「リュッケルトの詩による5つの歌曲」 ハンプソン »

コメント

こんばんは。
ラーメンネタもマーラーネタも楽しませてもらっております。
実はレヴァインのマーラーは第九番しか聴いていないのです。これ、すごくいいですね。
発見したら即買おうと思っているのですが、なかなかめぐり会えません。

投稿: ピースうさぎ | 2008年7月16日 (水) 22時41分

こんばんは。
実演ではショルティ/シカゴ(86年)、メータ/イスラエル、尾高/東フィルを聴きに行きました。それぞれいい演奏でしたが、ことに尾高が印象的でした。東フィルがうまいものだったです。
ご紹介のマゼールとアバドは、行きたかったのに行けずにエアチェックしたクチです。どちらも忘れ難い演奏です。いまでもとってあります。
この頃のレヴァイン、いいですよね。フィラデルフィアの音響はもちろん鮮やかで、なんとも明快な音楽に痺れました。

投稿: 吉田 | 2008年7月16日 (水) 22時52分

 レヴァインのマーラー5番ですが、1000円を切る値段で輸入盤が入手可能のようですね。yokochan様や吉田様が絶賛しておられるので私も聴いてみたいと思います。私の脳内ではスローテンポのオペラ指揮者というイメージが強いレヴァインですが若き日のマーラーはどんな演奏なのでしょう。
 86年のショルティ&シカゴの第5番はTVで見ました。あのころのショルティ&シカゴの凄さは当時中学生の私にもひしひしと伝わってくるものでした。
 マーラーの5番のCDはシノーポリ&フィルハーモニアを中学生のころから愛聴しておりますが、最近はショルティ&シカゴの70年盤が好きです。

投稿: 越後のオックス | 2008年7月17日 (木) 09時57分

ピースうさぎさん、こんばんは。
名古屋でもラーメンしてますよ、ワタクシ。
レヴァインのマーラー、逆に第9は聴いたことがないのです。
越後のオックスさんのお話では、外盤で出ているようです。
5番は、なんだかんだで好きな交響曲です。

投稿: yokochan | 2008年7月17日 (木) 23時22分

吉田さん、こんばんは。
またショルティのコンサートで、一緒でしたね。
尾高氏は、この曲を得意にしていて、エルガー1番・ラフマニノフ2番と並ぶお得意3本柱なんです。
札響との演奏会もよかったですよ。

レヴァインはこの頃からDG初期ぐらいまでが一番輝いてましたね。オケもむちゃくちゃ巧いです。

投稿: yokochan | 2008年7月17日 (木) 23時26分

越後のオックスさん、こんばんは。
1000円を切る廉価盤!
私がこのレコードを買った値段は5000円でした・・・・。
隔世の感ありますね。
RCAへのマーラーシリーズは、いずれもゆったりテンポで、かつ覇気のある演奏です。是非聴いてみて下さい。

ショルティの演奏会は、前半が「ハフナー」で後半がマーラー、アンコールがドビュッシーの「夜想曲」の祭でした。
このコンビ、アンコールにタンホイザー序曲をやってしまうくらいの絶倫コンビでした。
耳にビンビンくる金管と低弦、すごかったです。

投稿: yokochan | 2008年7月17日 (木) 23時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マーラー 交響曲第5番 レヴァイン指揮:

« マーラー 交響曲第4番 ハイティンク指揮 | トップページ | マーラー 「リュッケルトの詩による5つの歌曲」 ハンプソン »