マーラー 交響曲第3番 ハイティンク指揮
今日のラーメンは、まさに京のラーメン。
京都もラーメンは激戦地で、私には胃袋がひとつしかないものだから(牛じゃない、あたりまえ)夜もあるし、そんなに食べてない。
唯一、こちらの「第一旭」と「新福菜館」ぐらい。
見た目の濃さとはうらはらに、鶏豚のスープベースは、あっさりとしたもの。大量の九条葱(たぶん)がうれしゅうおす。
マーラーの交響曲第3番は、1896年の完成。
「復活」後すぐにとりかかり、1年で仕上げたハイペース。歌曲集「子供の不思議な角笛」も同時進行していた。
有能な指揮者としても多忙な日々だっただけに、その創作力たるやすごいものがある。
全6楽章、100分あまりの長大さは、交響曲の長さのギネスかもしれない。(未知作品でブライアンとかあるかも)
70年頃の音楽の聞き始め、名曲を聴くばかりで、名曲解説全集で、マーラーの項目を見て、いったいこの男は何者だと思った。
マーラーなんてほとんど聴かれない頃だった。
交響曲は、4楽章で出来ているものだとばっかり思っていたから、まったく未知のマーラーの第3交響曲が6つもの楽章で出来ているのを見て呆れてしまった。
こいつはバカではないかと・・・・・。
そんな私がバカだったわけだが、「私の時代がきっと来る」としたマーラーの虜にしっかりなってしまった時期が私にも後にやってきたわけだ。
第3交響曲の初聴きは、断片ながらローゼンストックとN響とホーレンシュタインとロンドン響のそれぞれFM放送。さっぱりわからなかった。
この作品の真価をしっかり味わうことになるのは、ベルティーニとウィーン響のエアチェックテープと、初レコードのアバド&ウィーンフィルの名盤。
少ないライブ経験では、ベルティーニとN響、小沢とボストン響。
この曲で好きなのは、牧歌的で長大な1楽章と、終楽章の「愛が私に語ること」。
とりわけ後者は、マーラーの中でも最も好きな音楽で、ゆったりとしたテンポで歌うように演奏されたものでなければだめだ。時間で言うと23~4分くらい。
その理想は、アバドのウィーン盤なのである。 そんな思いをさらに一挙に満たす演奏があらわれた。
ハイティンク指揮のシカゴ交響楽団の2006年ライブ。
この巨大な演奏を何と評したらよいのだろうか。
演奏時間で音楽の良し悪しは測れないが、手元のコンセルトヘボウのスタジオ録音とクリスマスマチネ・ライブは全曲で約94分。終楽章が22~3分。
ベルリン盤は未聴ながら、このシカゴ盤は全曲101分、終楽章24分39秒。
歳とともに、ますます重厚長大な作品に巨視的な眼差しで、充実した名演を繰り広げるようになったハイティンク。
コンセルトヘボウという名器とともに歩み、今はそのヘボウではなくとも、薫り高い名演を繰り広げることができる。
思うに、コンサート指揮者から、グライドボーンやコヴェントガーデンでのオペラ指揮者としての経験を経たことが、ハイティンクの音楽に劇場的な広がりと豊かな潤いを与えることとなったのでは。
シカゴ響の蟻の這い出る隙間もない鉄壁のアンサンブルと、とりわけ金管奏者たちのべらぼうな巧さ!バシバシ決まるティンパニに、分厚くかつしなやかな弦。
ぎっしりと詰まった充実した音の塊に終始圧倒されっぱなし。
でもショルティ時代の「剛」のイメージばかりでなく、ハイティンクの指揮からは柔和で暖かな響きも随所に聴き取ることができる。
アバドやジュリーニが指揮したシカゴのマーラーとも異なる、ヨーロッパ的なアルプスの峰々を感じさせる壮大なマーラー。
メゾの、ザ・ブランゲーネともいうべきミシェル・デ・ヤングが若々しい。
いやはや、誉めすぎて言葉もないくらいだが、終楽章のあまりにも感動的なフィナーレには全身に戦慄が走り、同時に涙が溢れて止まらない・・・・。素晴らしすぎる!
ムーティの音楽監督受諾で、ドレスデンと同じように中継ぎ的なポジションで終わってしまうのが残念だが、ポストはともかく、シカゴのマーラーとブルックナーはハイティンクがすべて受け持って欲しいものだ。
既発の6番とブル7も聴きたいし、近く好きなショスタコ4番も出る。きっとスゴイぜ。
それと、シカゴの来シーズンのハイティンクの演目は、「復活」「ブル8」「英雄の生涯」「ショスタコ15」。大曲に混じって「ルトスワフスキ3」「ブリテン・イルミナシオン」「ウェーベルン・夏風の中で」「ジークフリート牧歌」などの素適な曲が予定されている。
ぜーんぶCD化して欲しい。
ムーティの「ヴェルレク」、シャイーやサロネンのマーラーまであっちゃうから、シカゴ響はとんでもなく充実しているってもんだ。
興奮してしまったけど、今回のCD、多くの方に聴いて感動していただきたい。
ちょいと高くて躊躇したけれど・・・。
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コメント
おはようございます-といっても深夜2時半ですが。
買ってらしたんですね。ハイティンク=CSOの3番の演奏を薦めた身としては責任を感じてますよ。アバドの演奏さえ後塵を拝するものとしてしまうのですから。でも、本当にすごいのだから仕方ねぇー・・・。
でもこの馥郁とした演奏スタイル、どうもシカゴだけのようで、ロンドンを振ったベートーヴェンやブラームスの全集では、前者がベーレンライター版を使用したピリオド・スタイル、後者はすっきりとまとめた現代性の表現となっております。
みなとみらいでのシュトラウス、果たしてどのハイティンクなのでしょう?
投稿: IANIS | 2008年7月11日 (金) 02時35分
yokochanさま
第一旭も、マスタ二も懐かしいです。
京都でラーメンを食べることはなくなっています。
ハイティンクのマーラー3番
そんなに良いんですか @@
3番好きにとっては、どうしようかな 爆〜
気にはなっていたんですが〜。
注文しようかな〜 もう少し待って安くなるのをまとうかな〜 爆〜
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 in Okinawa | 2008年7月11日 (金) 05時47分
IANISさん、おはようございます。
買っちまいました。
あまりに素晴らしすぎるこの演奏。私も、アバドを忘れさせるくらいで、かえって寂しい気もしてしまいました。
アバドはルツェルンのDVD(録画)をまだ視聴してませんが・・・・。
LSOとのベートーヴェンはあえて聴いてませんが、ブラームスはすっきり系で、ヘボウやBSOよりは味わいが薄く感じます。
ドレスデンとのブラ1は、濃い目ですから、やはりオケとの相性もあるのでしょうかねぇ??
シュトラウスが楽しみです。
投稿: yokochan | 2008年7月11日 (金) 08時24分
rudolfさま、おはようございます。沖縄中ですね!
マスタニは、私の事務所のそばにもあります。
京ラーメンはおいしいです。金閣寺周辺もおいしい店がたくさんあるようですね。
さて、この3番、超すごい演奏ですよ。
是非是非、購入をご検討くださいませ(笑)
私は、オークションで未開封のものを格安に買えましたが、来年の来日時には、少し安くなるかもしれません・・・
でも素晴らしい演奏すぎます!
投稿: yokochan | 2008年7月11日 (金) 08時32分
こんばんは。
なんと奇遇な!
ドラティの「巨人」を始め、ベルティーニと都饗の「復活」、そして小澤とボストンの「3番」を私も東京文化会館で聴きました。
80年代、日本はマーラーの演奏会が充実していました。
3番を生で聴いたのは後にも先にもボストンの演奏だけですが、淡白ながらキメの細かい、いい演奏でした。
小澤のCDはもうまったく買う気がしませんが、生はなかなかいいですね。
投稿: 吉田 | 2008年7月11日 (金) 22時36分
吉田さん、こんばんは。
こりゃまた奇遇ですねぇ!
80年代、私はマーラーばかりでした。
ベルティーニがブレイクする前でしたし。
そして、小沢のボストンとの蜜月のあの頃はいい時代でした。
私も同じく、小沢氏のCDはとんとご無沙汰です。
あまりに侘び寂びの境地すぎるのでしょうか??
投稿: yokochan | 2008年7月12日 (土) 21時42分