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2008年7月22日 (火)

マーラー 交響曲第7番「夜の歌」 テンシュテット指揮

1 柏崎市の「栄寿し

これはいったい・・・・?

外観は完全な寿司屋。
でも路上には、ラーメンの幟があちこちに立っている。
ラーメン屋で寿司が食べれる、いや、寿司屋でラーメンが食べれる、珍しくもうれしいお店。
劇団ひとり食いだったので、カウンターに座った。
大将が寿司を握っている、その前でラーメンをズルズルすするこのミスマッチング~ゥ!
ラーメンは数種類あり、マーボー麺を選択した。
「なんでもアリ」の世界だ。

Mahaler7_tennstedt

「何でもアリ」と言えば、マーラーの音楽もそう。
フロイトの絶好の研究対象ともいえる複雑な人物だった、われらがグスタフ。
今泣いていたかと思えば、もう笑っているし、悲しみと歓びは背中合わせ。
神妙な大交響曲の中で、真面目に人生を語っていたかと思うと、急に軍楽隊がやってくるし、牧歌的な鐘が鳴らされたりと忙しい。
ウィーンの都会もあり、ボヘミアの田舎もあり。

そんなマーラーに、われわれ音楽愛好家が魅せられるようになったのも、多様化した現代ゆえ。
その多様化した現代社会、日本では、アメリカのお仕着せ型消費社会の歪みが都会や地方を問わずに顕在化し、後戻りできないくらいにかつて日本が誇った地域の横社会の美学が崩壊してしまった。

マーラーの音楽を聴く恐ろしさを、私はときおり感じる時がある。
音楽に何もそこまでと思うが、マーラーの何でもアリ音楽がもてはやされる中に、人と素直に交わらなくなった現代人の姿を見てしまう。自己耽溺的なマーラーの音楽に潜む魔力。
ワーグナーには、ドラマがあり人間の生々しい感情がある。ブルックナーには、自然と宗教がある。シュトラウスには、ドラマと写実というリアル感がある。
マーラーは、何でもありながら、逆に何もないのではなかろうか。
あるのはただ、マーラーの心象風景だけ。でも音楽の革新性はいやというほどある。
そして、やはりその音楽に魅力を感じ続けている自分がいる。
何を言っているかわからなくなってきた。これもマーラーだ。

マーラーの中でも6番と7番は、人気の点で出遅れ組だったが、今や一番人気の2曲となってしまった。
交響曲第7番は、ふたつの夜曲があるために「夜の歌」というタイトルがつけられているが、全曲は夜の気分というよりは、楽天的なムードの方が勝っている。
荘重かつドラマテックな1楽章、夜曲その1の行進曲風の2楽章、奇矯で怪しげな3楽章、まさにセレナード風の夜曲その2の4楽章、明るい大団円の終楽章は乱痴気さわぎ。
これぞまさに、マーラー・ワールドだが、私は3楽章と4楽章が好き。
日曜の晩、明日からまた始まる1週間を思い、アンニュイな気分の時に、4楽章を寝る前に聴く。ほのぼのと心安らかに就寝できる。

テンシュテットのEMIへのマーラー録音は全集を揃えた。
なかでも7番は、録音も含めて最高の演奏に思う。
テンシュテットのやや分裂気質的な指揮が、ロンドンフィルのくすんだマイルドな響きで緩和されていい具合になっている。
3種あるアバド、新旧バーンスタインともに好きな演奏。世評名高いライブ盤は未聴。
 この曲の初聴きは、ショルティとシカゴのFM放送。
初買いは、レヴァインとシカゴのLP、のちにアバドとシカゴのCD。そうシカゴづくしなのだ。
ところがですよ、実演体験はなし。若杉/都響のチクルスのチケットを持っていながら、熱を出して行けなかった。
なかなか曰くのある曲であり、私にとって怪しい魅力の曲。

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コメント

7番、2度実演の経験がありますよ。ひとつは都民交響楽団で、2つ目が高関=群響。でも群響より都民響のほうがびびっときたんだなあ、これが。ただし、技術的なことを言ったらどちらも・・・。7番こそはスーパー・ヴィルトゥオーゾで完璧かつ華麗な響きで聴きたいものであります。
8番で2度目にインバル=都響で「アタッタ」のに7番は難しいです。CDならばアバド(DVDのルツェルンはBPOのさらに上を行くっ!)、MTT。CD-Rでのハーディング(これがべらぼーな名演である!)。
テンちゃんはあっしの好みではありませなんだ・・・。

投稿: IANIS | 2008年7月23日 (水) 23時56分

IANISさん、こんばんは。
ハーディングのこの曲があるんですか。
彼は、師匠、アバド&ラトルの道を確実に歩んでますな。
この曲のライブ、インバルに期待大であります。
テンシュテットは、好き嫌いありますね。

投稿: yokochan | 2008年7月24日 (木) 23時42分

私は、この曲はクーベリックでよく聴きました。
草萌えるマーラーでした。
が、しかし、今はハイティンクのコンセルトヘボウで入れた2度目のヤツがいいなぁ。
なんといいますか、メルヘンチックに思うのです。
テンシュテット/ロンドン・フィルも結構好きでよく聴きます。新旧両方持っていますけど、彼はこんな何でもありの音楽が似合うように思うのです。
だから私はクラウスのブルックナーはどうもイマイチに感じるのですがいかがです?。

投稿: yurikamome122 | 2008年7月26日 (土) 21時42分

yurikamomeさん、こちらでもコメントありがとうございます。ハイティンクの2度目のものは未聴なんです。
マチネーのものは聴いてますが、ヘボウはいいですね。
そして、はちゃめちゃ系のテンシュテットはやはり、ブルックナーよりはマーラーでしたねぇ。
かといって8番を聴いただけですが。
器用だか、不器用だかよくわかんない不思議な指揮者でしたね。

投稿: yokochan | 2008年7月27日 (日) 00時41分

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» グスタフ・マーラー作曲、交響曲第7番「夜の歌」 [yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真]
 いつもお世話になっているお店の新装開店、お店も明るくなり、広々とゆったり。いつも美味しいワインを出してくれるあのお店は大好きです。宣伝したいくらい。教えて欲しい人はメール下さいね。  今日は昨日に続いてメルヘンチックな曲をもう1つ。グスタフ・マーラー作曲、交響曲第7番「夜の歌」。明るいボヘミアン、ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団。  これはアンデルセン童話みたいな感じ。森の木や動物がいろいろな物語を作る。たき火にあたっているとそれを遠目で眺める森の動物たち。やがて寝てしまう... [続きを読む]

受信: 2008年7月26日 (土) 21時42分

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