ヴェルディ レクイエム ジュリーニ指揮
先だって、熊本と福岡に行ってまいった。
実に3年ぶりの九州。以前は継続的な仕事があり、今は担当エリアから外れたためにご無沙汰九州。
今度は仕事を勝ち得ることが出来ますかどうか??
まずは、この方にご挨拶をして、昼の炎天下、天下の名城を攻める。
天守閣が見えるも、なかなかにたどり着かない堅牢な仕組み。
吹き出る汗に、吹き抜ける風が気持ちいい。
再現された謁見の大広間。
奥を重ねる襖の数々・・・・。
ははぁーッ!
下城後は、下界にて熊本ラーメンに再度熱い汗を流すわたし。
つわもの共が夢のあと・・・・。
毎年、私には8月の盛夏にヴェルディのレクィエムやブリテンの戦争レクイエムを聴くことが慣わしとなっている。
何回か書いたことで恐縮ながら、バーンスタインとロンドン響のテレビ放送を真夏に観たことが、暑い夏には熱いレクイエムを、平和への希求をこめて聴こう、という定番になった。
年月を経て付き合ううちに、この宗教曲は、怒りの日やトゥーバ・ミルムなどの大音響ばかりでなく、優しい抒情と歌に満ちた、ヴェルディならではのオペラテックな作品だということに当たり前のごとく気付くようになっていった。
そのきっかけ的演奏が、アバドとスカラ座のレコードと、同コンビの来日公演の放送。
そしてその後に聴いた先輩ジュリーニ盤もそうした傾向の演奏。
一番最初に聴いたのが、カラヤンのレコードだが、こちらはクライマックスをサンクトゥスや怒りの日の再現部に持ってきた劇的な演奏だったので、アバドやジュリーニがやたらに新鮮に聴こえたものだ。
その思いは、今こうして63年録音というかなりの年月を経た演奏を聴いてみて、変わらないばかりか、以前にも増して「歌うこと」の美しさ・素晴らしさ、そして強さを感じる。
トスカニーニの峻厳さよりは、私はジュリーニやアバドのような、救いのある優しさを込めた演奏が好き。ラクリモーサの心のこもった、かつ気品ある演奏は、このジュリーニが唯一かもしれない。
静の部分に対し、目立つ動の部分では、オケに合唱は全開するものの、叫ばず慌てずに一音一音じっくり音と向きあった取組み方で、決してうるさくならないのがいい。
大オペラ作曲家が、レクイエムという形式に託した「音楽による祈り」を巧まずに表出しつくしたジュリーニの名演は、いまも色褪せない。
S:エリーザベト・シュヴァルツコップ Ms:クリスタ・ルートヴィヒ
T:ニコライ・ゲッダ Bs:ニコライ・ギャウロウ
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団/合唱団
合唱指揮:ウィルヘルム・ピッツ
歌手陣の顔ぶれを見るだけで、ため息が出る。当時のEMI=レッグの力によるもの。
合唱指揮までが、バイロイトの重鎮ピッツだもの。
ただ私見ながら、シュヴァルツコップの歌は、昨今のスタイリッシュで精密な歌唱からすると表情が過剰に感じ、濃厚に過ぎるように思った。以前はそんな思いはなかったのに、歌唱スタイルの変遷はこちらの耳をも変えつつあるのだろうか・・・・。
正直寂しくもあり、彼女のシュトラウスやモーツァルトを聴くのが、少し怖いような気になってきた。頭の中に、すでにイメージとして出来上がっている歌声なのに。
同様のことが、ゲッダのテノールにも言えて、私には今や甘すぎて異質に感じるのも事実(インジェミスコはかなりつらい)。ところが、ルートヴィヒとギャウロウには、それらがない。
まあ、こんな贅沢いってたら、叱られてしまう。
私にとって、3種あるアバド、バルビローリとともに大事なジュリーニの演奏。
ベルリンでの新盤は未聴。
実はジュリーニが、75年にウィーン交響楽団と演奏したライブを自家CDRにしてあって、そちらがウィーンのオケの音色の微妙な配分と、素晴らしすぎの歌手(リッチャレルリ、ファスベンダー、カレーラス、ライモンディ)もあってかなりお気に入り。
今年も終戦の日を迎え、人の心がいつまでも平安で、穏やかであることを願う次第です。
| 固定リンク
コメント
もしかしたら、同じテレビ番組でしょうか?
もう30数年前に私もバーンスタイン、ロンドン響によるヴェルディのレクイエムのテレビを見て、それが一つの刷り込みとなっております。
ただ私の記憶では、梅雨の時期。
それがために、自分のブログでは7/8に取り上げていました。
投稿: golf130 | 2008年8月15日 (金) 20時43分
こんにちは。
ごめんなさい、音楽のことではありません。
熊本城は本丸御殿の大広間が復元される前に行きました。
僕の中では日本一の名城です。こうして写真を見ると、あー、懐かしい!もう一度行きたい!という思いが募ります。
投稿: よんちゃん | 2008年8月16日 (土) 10時02分
こんばんは。
ご無沙汰しています。
私、実は隠れお城ファン?なんです。
熊本城、名城ですね。
記事を拝読させていただいて、改めてその感を強くしました。
福岡と宮崎はときどき出張で行くのですが、熊本はまだ一回も行った事がありません。
今度はお互い頑張って仕事を作って、熊本でお目にかかりましょう。
投稿: romani | 2008年8月17日 (日) 22時46分
golf130さま、コメントありがとうございます。
私もおそらく同じテレビなのでしょうね。
1971年か72年かと記憶しますが、私のボケた頭の中では暑い夏だったような・・・・。でも自信がありません。
いずれにしても、強烈な音響とジャンピングの指揮は鮮烈でした。素晴らしい音楽です。
バーンスタイン盤の過去記事です。
http://wanderer.way-nifty.com/poet/2007/08/post_c8fb.html
投稿: yokochan | 2008年8月18日 (月) 00時27分
よんちゃんさま、こんばんは。
この新品でピカピカの大広間は、なかなかに見ごたえがありました。そしてお城は、一部冷房完備で、気持ちがよかったですが、興醒めの感もありましたねぇ。
姫路城とともに、天守閣に至る道程が険しく、まさに天下の名城であります。
投稿: yokochan | 2008年8月18日 (月) 00時30分
romoniさま、こちらこそ、ご無沙汰しております。
なんと、お城ファンなのですね!
私は、ファンと呼べるほどのものではありませんが、城を見かけると吸い寄せられて見にいってしまいます。
思えば、城は日本のいたるところに址も含めてあるものですね。
いやぁ、今度是非、熊本でご一緒しましょう。いい店ありますよ。もちろん、福岡でもOKです(笑)
その前にお仕事、お仕事!
投稿: yokochan | 2008年8月18日 (月) 00時34分
butler and wilson jewelry
charmed life jewelry
buy la trinacria jewelry
http://dostat.bplaced.net/glass8904.html itallian saint charms
投稿: raisewews | 2008年8月21日 (木) 05時44分
EMI時代のジュリーニの録音では、オール・スター・キャストのモーツァルト/『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』と並ぶ代表盤でしたね。後年にベルリン・フィルと録音し直した新盤は、如何な出来なのでしょう。
投稿: 覆面吾郎 | 2020年10月 7日 (水) 09時28分
クレンペラーとともに、レッグのフィルハーモニーアを支えたジュリーニ。
ドイツものはクレンペラーということで、しっかり分担されてましたね。
わたしも、いまだにベルリンフィル盤は未聴ですが、歌手の顔触れからもどうも触手が伸びません・・・
投稿: yokochan | 2020年10月 8日 (木) 08時36分