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2008年8月18日 (月)

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」 ケルテス指揮

5 もくもくとわき出る入道雲。
夏のこうした風景は、かつてはいたるところで見られたもんだ。
 昨今の熱帯地域化しつつある日本では、きれいな青空が少なくなり、晴れてはいても薄く雲がひいていたりして、からりとしない。
かと思うと、急に激しい雷雨が襲来するといった具合で、お天気の方も、昔を懐かしむようになってしまった。

Dovorak9_kertesz 久しぶりの定番名曲「新世界」を聴こう。
実家に帰って、古い音楽雑誌を眺めていたら、廃刊となってしまった「ステレオ芸術」に、いくつかの第9の演奏ランキングの記事があった。
1970年1月号である。
第9のチョイスは、ベートーヴェンにドヴォルザーク、ブルックナーの3人。
マーラーがいないところが、時代を感じさせる。

そしてこの雑誌で、「新世界」のランキングにノミネートされたのは、トスカニーニ・セル・アンチェル・バーンスタイン・ワルターに、このケルテス二度目のロンドン響とのレコードであった。
「新世界」の録音は、その後40年を経てやたらと増えたけれど、ここにあげられた演奏の数々は今もってその鮮度を保っていて、やはり永遠の名演と呼ぶに相応しいのであろう!

これらに、ノイマン、クーベリック、ジュリーニ、カラヤン、C・ディヴィス、アバドあたりを加えれば、古今の新世界の名演がとり揃うことだろうか。あと誰がありますでしょうか・・・。

ケルテス盤のお馴染みは、ウィーンフィルとの旧盤で、私のクラシック音楽初レコード。
新鮮で覇気に溢れた若さみなぎる名演だった。
そして、その数年後、今度はドヴォルザーク交響曲全集の一環としてロンドン交響楽団との再録音。鮮度の高さは変わらずに、繰返しを行い、旋律の歌わせ方も緻密でかつ大らかになって、ドヴォルザークの民族色をも感じさせる味わい深さが増した。
 今回久しぶりに聴いてみて、かっこよさとは無縁の、よどみなく流れる音楽の運びが、実に自然で、純音楽的な味わい深い新世界にとても気分がよろしい。
夏も後半に入り、朝晩が涼しい。
そんな季節にぴったりの「新世界」がケルテスとロンドン響の演奏だった。
ニュートラルなくせのないオケの響きが、優秀録音でまた映える。

以前にも記したとおり、水泳中に溺れて30年前に早世してしまったケルテス。
今もし健在なら、アバドあたりと同世代。押しも押されぬ大家としてどんな活躍を見せていただろうか!

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