« ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 パリ国立オペラ公演 | トップページ | プッチーニ 三部作~「修道女アンジェリカ」 パッパーノ指揮 »

2008年8月 2日 (土)

プッチーニ 三部作~「外套」

Track おーっ、哀れなり!
いや、違います。
あまりの暑さにぐったりのにゃんこ。
もーだめ・・・・、とのことであります。
でもトラックの下はあぶにゃい。
(もしかしたらこの会心の写真、すでに公開済みかも、ボケてますもので)

Puccini_il_trittico_pappano

プッチーニ(1858~1924)のオペラ全曲シリーズ。10作中の8作目は3部作。
トゥーランドットの前は、1幕ものを3つ集めた3部作となった。
7作目「西部の娘」の初演後、パリで観たセーヌの雰囲気の横溢する悲劇「外套」に大いに引きつけられ、オペラ化を決心。3部作にしたいと思いつつも、
なかなか台本作家が見つからず、ようやく決まって1915年に、まず「外套」を作曲。
 残り2作が決まらないまま、愛すべき「ラ・ロンディーヌ」を1917年に作曲。
併行して、ほかの2作の題材を選別し、順次作曲し1918年に「3部作」完成、メトでの初演となった。

イル・トリッティコ」3部作、「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」    
ダンテの「神曲」にならい、それぞれ「地獄」「煉獄」「天国」に相当するように作られている。
1曲目の「地獄」は「外套」。ヴェリスモ風の死の横溢する激しい愛憎劇は、甘味な旋律と耳を聾する大音響が交錯する。
円熟の筆致に達していたプッチーニの作曲技法も鮮やかなものだ。
パリの雰囲気を豊かに表わす警笛や手回しオルガンなどがリアルだし、主役3人に与えられた短いが情熱的なアリアは極めて素晴らしい。
 でも、劇の内容はあまりに陰惨で目を覆いたくなる。
若い妻に初老の夫。ようやく出来た赤ん坊が亡くなってしまうことで、二人の間には隙間風が吹き、悲劇へと転がっていってしまう・・・・。

時は作曲当時、場所はパリのセーヌのほとり。海運を細々と営むミケーレ親方と妻ジョルジェッタ、働き手のルイージと仲間たち。

 仕事を終え煙草をふかすミケーレ、ジョルジェッタのつれないそぶりに心は浮かない。
ジョルジェッタは、仕事を終えたルイージや仲間たちに酒を振舞い、楽しい雰囲気。
仲間の妻は、田舎で旦那とつましい余生を送りたいと歌い、ジョルジェッタは、自分やルイージはパリの郊外の生まれで、こんな水辺での浮き草のような生活は早く終わりにしたいと歌う。そして、愛を交わしあい、密会を約束しあう二人。ルイージは熱い思いを歌う。
 寝ずに火照りを覚ますジョルジェッタにミケーレは、ふたたび「自分の外套に包まれればよい」と、やり直しを迫るが、またしてもそっけない妻。
 一人になり、怒り震わせ男をひっとらえてやると、豹変するミケーレ。
煙草に火を着けるが、それを同じ合図と勘違いしたルイージが船にやってくる。
「ははぁん、お前か」「違う、あっしじゃありやせん」「いやテメエだ!」と押し問答の末、絞殺してしまう。物音に出てきたジョルジェッタ、夫の怪しい雰囲気に怖くなって、以前のように「喜びも悲しみも包んでしまうといった、外套に私を包んでよ」とおねだり。
「そうさ、時には罪もな!俺のとこへ来やがれ・・・」と外套から転がりでたルイージの死体にジョルジェッタの顔を無理やり押し付ける。凄まじい悲鳴とともに幕。

こえ~。ミケーレはサドっ気ありすぎ。
ルイージの断末魔のうめき声に、ジョルジェッタの異常なくらいの叫び声。
特に後者は、あらゆるオペラの中でもナンバーワン級の「ウギャー~~ツ」である。

 ミケーレ :カルロ・グェルフィ    ジョルジェッタ:マリア・グレギーナ
 ルイージ :ニール・シコフ       ブルーゴラ:エレーナ・ズィーリオ
 恋人たち:アラーニャ&ゲオルギューほか

      アントニオ・パッパーノ指揮  ロンドン交響楽団
                         (97年録音)

トスカやカヴァレリアを歌えそうな強力メンバーによる録音。実際、この1時間足らずのオペラには凄まじいほどのドラマテックな声を必要とする。
この3人に文句のつけようがありませぬ。
でも甘味な曲だけれど、最後のギャーがあるかと思うと、そう何度も聴く気になれません。
パッパーノの唸り声も伴なった渾身の指揮は、ことさらに大音響を強調せずに、熱を帯びた音楽を見事につくり出すことに成功していると思う。

|
|

« ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 パリ国立オペラ公演 | トップページ | プッチーニ 三部作~「修道女アンジェリカ」 パッパーノ指揮 »

コメント

この写真は初出ですなぁ。
ネコはいいですね。

投稿: リベラ33 | 2008年8月 3日 (日) 06時03分

 yokochanさまが私が聴いたことのない曲について書いておられると、その曲を聴きたくなりますし、聴いたことのある曲について書いておられるとまた聴きたくなってきます。yokochanさま絶賛のシャイー指揮のプッチーニ管弦楽曲集が聴いてみたくなりこの間注文しました。         プッチーニの三部作はジュゼッペ・パターネ指揮ミュンヘン放送交響楽団の演奏をもっているのですが、気合を入れて聴いた事が無いです(情けない…)。これを機会に本気で聴いてみたいと思います。オペラに出てくる「ギャー!!」という絶叫で私が一番怖いのはベルクのルルで、ルルが殺されるところの「ギャー!!」ですね。初めて聴いた時は凍りついてしまいました。

投稿: 越後のオックス | 2008年8月 3日 (日) 11時32分

よかった初出でしたか。ありゃ、自分で言うのもなんですな。
一昨年夏に撮ったものを探しだしたものです。
ねこはいいです。この暑い中、犬猫どもも大変であります。

投稿: yokochan | 2008年8月 3日 (日) 13時15分

越後のオックスさん、こんにちは。
シャイーの1枚はクールで最高の1枚と存じます。
私も聴きたくなりました。
そして、3部作はその対比が驚くほどよく出来た連作に思います。次週3作が同時上演されますので、観にゆく予定です。

ルルのギャーもすごいですねぇー。
やはり近現代ものにギャーは多いようです(笑)

投稿: yokochan | 2008年8月 3日 (日) 13時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151893/42035205

この記事へのトラックバック一覧です: プッチーニ 三部作~「外套」:

» バークレー牧場 [アメリカテレビ映画・テレビドラマ ふぉーえばー]
1870年代のカリフォルニアを舞台に、サンホアキン・ヴァリー(ビッグバレー)で牧場とオレンジ畑と金鉱を所有する裕福なバークレー家の家族愛と正義を描いた西部劇 [続きを読む]

受信: 2008年8月 2日 (土) 23時34分

« ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」 パリ国立オペラ公演 | トップページ | プッチーニ 三部作~「修道女アンジェリカ」 パッパーノ指揮 »