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2008年8月22日 (金)

ブラームス 交響曲第1番 メータ指揮

Cosoms2 今日は日帰りで盛岡まで。
車を借りての移動中、路傍にもう早咲きのコスモスが。
一雨ごとに夏の暑さは緩やかにになり、朝晩はめっきり涼しくなりましたな。

訪問先を変えての移動中、今日のFM放送「気ままにクラシック」で、スウィトナー指揮する「田園」の5楽章の放送があった。
のどかな旋律が始まったとおもったら、「ここで地震の情報です・・・」と中断してしまった。
運転中で気がつかなかったが、岩手内陸部を震源とするものであったらしい。夜には茨城県沖もあったし、このところ地震が毎日どこかで起きていて、その備えも実際、肝要かと!

Brhams_sym1_mehta 名交響曲シリーズ、今日はブラームス交響曲第1番をいきます。
この選択はどちらさまも異存がないのではないかしら。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、そしてブラームスにドヴォルザーク。
あとはチャイコフスキーにハイドンあたりが、私の幼年時代の入門曲だったなぁ。

今なら、いきなりマーラーやブルックナー、ショスタコを聴いてしまうのであろう。
オケの進化、CDの開発などもそうした風潮を後押ししている。

ブラームスの1番、「ブラ1」は苦心のあげくの名作で、あまりに出来がいいために、どんな演奏でもそれなりによく聴けてしまう。
全体の構成が少し大仰すぎて、私などシラケちゃうこともある昨今だが、やはり本当にいい演奏で聴いてみると、大いなる感激を味わうことになる。
この曲の巨大な演奏は、ベームがウィーンフィルとやらかした75年のNHKホールライブで、音のリアルだったFMの生中継やテレビにと、何度見聞きしたかわからない。
熱く燃えたぎるような熱演に、この曲の真価があらためてわかった。
そして、当時高校生だった私は、この曲に夢中になりスコアも買って指揮棒を振り回したもんだ。
そのベームのカセットテープとアバドのレコード。
この曲はやはり、ウィーンフィルがいいと思いこんでいたが、その思いにさらに拍車をかけたのが、今日聴いたメータの指揮によるもの。

この演奏はべらぼうに美しい。どこからどこまでもウィーンフィルで、そのなみなみとこぼれんばかりの美音は、聴く者の頬を緩ませる微笑みの世界なのだ。
ひとつには、ゾフィエンザールを使った当時のデッカ録音の素晴らしさが、ウィーンフィルの美しい響きをさらに際立たせてもいる。
ムジークフェラインの丸みを帯びた音と違い、こちらは艶やかな音と豊かな残響が魅力。
 そしてメータの指揮が、自分はオーケストラに奉仕してますよ、と言わんばかりの一体化ぶりで、ウィーンに学び育った仲間同士のような間柄と化してしるのだ。
ニューヨークでは決してこのようにうまくはいかなかった。
ロスフィルでは、自分の柄にあった後期ロマン派や近代ものにおいてその美質が現れたが、ウィーンでは古典やロマン派の音楽において、実に不思議なくらいにオケと同体になったかのような名演をいまだに聴かせている。
ウィーンフィルの常連指揮者のなかでも最古参のお馴染みメータなんだ。

何度も書くけど、ともかく美しい。
冒頭のティンパニの連打からしてしっとりとしているし、主部の展開もゆったりとかつ堂々として気持ちがいい。
2楽章のホルン、オーボエ、クラリネット、そしてソロヴァイオリン!
音が滴るばかりで、思わず手ですくいたくなるようだ。ソロは、記載はないがヘッツェル教授であろうか。
優しい3楽章、立派すぎる終楽章。ホルン・トロンボーン、フルートの素晴らしさはどうだろう。のびやかで極めて気持ちを解放してくれるあの有名な主題がいとおしくなってくる。
繰返しも行なった全曲堂々の49分。
ウィーンフィルもメータも、もう今やこのような演奏は出来ないのではないだろうか。
76年の録音。70年代のウィーンにおいてだからこそ出来上がった演奏。
あぁ、あの頃に帰りたい・・・・。

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コメント

こんにちは。
ウィーン・フィルというとまず頭に浮かぶのが
K・クレメンス指揮の両シュトラウス、特にリヒャルトのほう。次がクナーパツブッシュが指揮したシューマンの4番や有名な小品集、そしてイッセルシュテット指揮のベートーヴェンです。

>70年代のウィーンにおいてだからこそ出来上がった演奏。あぁ、あの頃に帰りたい・・・・。
同感です。あの頃のウィーン・フィルが最高でした。

ブラームスの交響曲、1番と3番は無いのですが2番と4番は往時のウィーン・フィルとベームのエアチェックテープ(CDに焼いたもの)が今でもファーストチョイスです。
(1979年ザルツブルク音楽祭 1980年ウィーン芸術週間) 

投稿: 天ぬき | 2008年8月23日 (土) 12時35分

天ぬきさま、コメントありがとうございます。
久々にウィーンフィルの魅力に取り乱した文章になってしまいました(笑)
私もまだまだウィーンフィルの思い出のレコードはたくさんあります。
そして、エアチェックテープも70年代が豊富でして、ベーム、アバド、マゼール、カラヤン、メータ・・・ほんと、いい時代でした。
天ぬきさまの、ベームの2、4番はすこぶる魅力的ですね。
3番と4番は、演奏会ではあまり取り上げなかった曲ですから。

投稿: yokochan | 2008年8月23日 (土) 22時52分

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