アイヴズ 交響曲第4番 小沢指揮
今日のお菓子は、銘菓と呼べるかどうか??
再褐ながら、クリスピー・ドーナツを。
都内に数店オープンしたものだから、新宿や有楽町の行列はさほどではなくなったけど、街や電車で、この箱を持ち歩く方を見かけることはいまだに多い。
首都圏だけなので、出張土産としての人気も高いと聞く。
口に頬張ると、サクサクっと溶けてしまうような食感。たしかにおいしい。
でも、おいしいものには棘がある。
甘すぎの超アメリカーンなスィーツなのだ。
日本に上陸して間もないが、本国アメリカでは70年の歴史がある。
そして健康志向に追いやられ、苦戦中で、FCの中には廃業してゆく先もあるという。
さてさて、日本ではどうなることでしょうか?
味に敏感な繊細な日本人。本国の許しが得られれば、独自の味が開発できるのではないかしら。
歌入り交響曲。
今日は、アメリカのホリデー・コンポーザー、チャールズ・アイヴズ(1874~1954)の交響曲第4番。
1909年から16年にかけてじっくり作曲された。
アイヴズの作風からして、もっと最近の作品のように思うが、マーラーが存命の頃の作品だけに、アイヴズの「趣味」の領域の作曲の腕前に驚きを禁じえない。
趣味とか書いたものの、実際は音楽家だった父親からみっちり教育を施されたほか、大学でも正規に作曲を学んでいる本物。
軍楽隊長だった父の影響は、マーラーさながらに、シリアスな音楽に突然割り込んでくる軍楽隊のマーチや賛美歌、街の喧騒音などの同時進行ぶりに現れている。
そんな独創性が、絶対に受けないと考えたアイヴズは生計を立てるために保険会社のサラリーマンとなり、高業績を納め、さらに会社まで設立してしまったのは有名なおはなし。
その合間に作曲をしたから日曜作曲家と呼ばれてしまう。
才能ある人が羨ましい。ワタクシなんぞ、酒飲んでごろんごろんしているだけだもの。
それはさておき、第4交響曲は4楽章形式で、第1と第4に合唱が入るがいずれも賛美歌。この交響曲は、既存の素材の寄せ集めとされるが、その素材は40曲以上ともいわれる。聴いていると、曲想や楽想の違う旋律が現れては消え、消えてはまた現れる。
それが最初は目まぐるしさを感じさせるが、聞き込むと徐々に旋律の出し入れが見えてくるし、いずれもアメリカ風の旋律ばかりなので、親しみやすいことに気付いてくる。
でも、しばらくして聴いてみると、またよそ行きの顔をしていたりするから、アイヴズの音楽はやっかいなのだ。
1楽章は短く、「夜を守る友よ」「はるかに仰ぎ見る」が荘重に歌われる。
2楽章に至って、いよいよ複雑極まる雑多なごった煮音楽が始まる。これを紐解くのは至難の業だし、旋律を追う事は私のような人間にとって不可能に近い。
というよりも、メインの指揮者に、サブを二人要したとされるストコフスキーの初演。
小沢は、これを安々と一人でこなしているところがスゴイ。すごすぎるよ。
3楽章は、別人のような音楽が流れる。フーガの技法で、オルガンも加わり荘重で感動的な旋律が幾重にも重なってゆき、最後はなかなかに感動的な場面となる。
この楽章は、なかなかに素晴らしい。アメリカ・ザ・ビューティフル!
4楽章、冒頭は打楽器と低弦が怪しい雰囲気をかもし出す。
この楽章は、実存に対する宗教的な経験を象徴しているとされるが、最後の方で、その錯綜するオーケストラのリズムに乗せて、合唱がアカペラ風に入ってくるところは、聴く身にとっては、ようやく光明が差したかのような気分が横溢する。
「芸術の作法」は学術的なものや決められた書式から生まれるものでなく、人生経験や日常の中から生まれてくる、というのがアイヴスの考えだったという。
まさに、この交響曲はその言葉どおりの音楽と受け止めていいのかもしれない。
でもまだまだ、私にはわからないところの多いアイヴズであった。
小沢とボストン響、ダングルウッド合唱団の76年の録音は、完璧なまでの演奏。
つーか、他の演奏を聴いたことがない。
同時期のベルリンフィルとのライブ放送を録音して聴いていたが、当時はさっぱりわからないヘンテコ音楽だった。今こそベルリンフィルで聴いてみたい。
でも、この頃のこのコンビは最良の時期だった。
何よりも気力に満ちていたし、鮮度が抜群に良かった・・・。
M・T・トーマスとシカゴ響のものを一度聴いてみたい。
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