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2008年10月11日 (土)

幸田浩子&林美智子 デュオ・リサイタル

Nikikai_nagoya木曜は平塚・小田原へ出張、お昼は同級生の営むラーメン店で食事、夜は実家へ泊まり、金曜から名古屋へ。
金曜に「幸田浩子&林美智子」ジョイントリサイタルがあるのを発見し、チケットを電話予約し、怒涛の勢いで仕事をこなし、喜々として伏見のしわかわホールへ赴いた。

しらかわホールは初めて。
700席の美しいクラシック専用ホールだが、難点は2階バルコニー席。
予約の際に、1階や2階正面が売り切れておりますが・・・と言われ、じゃあしょうがないねと、バルコニーにステージ斜め上くらいの席に。
ところが、実際に席に行ってみると、なんと手すりが目線の位置にあるじゃないの。
舞台がまったく手すりの下にあるわけよ。
まったく見えないわけでもなく、格子状の側壁と手すりの間から覗き見える寸法だ。
これには参った。目がやたらと疲れるし、歌手が動くと隙間を探してこちらも首を回すことに。
音響的には適度な残響と密度の濃さがあって文句はないのだが、ステージを観るということにストレスがたまる席。こうした席でも一律同一料金ってのはちょっと考えものだ!
また、ホールのサイズに比べてロビーが不必要なまでにでかくて落ち着かない。
ホワイエのワイン@600円もボトルにはラベルが貼られていない無地で、どこのものか不明だし、味もさっぱりだったなぁ。

最初から文句ばっかり言っちゃいけないけど、コンサートは楽しかった。

  ヘンデル デュエット集から「夜明けに微笑むあの花を」Ⅰ~Ⅲ
         「セルセ」より「懐かしい木陰よ」
         「リナルド」より「私を泣かせてください」
  モーツァルト 「皇帝ティトゥスの慈悲」より
            「ああ、この苦しみ」
            「もしまだあなたに涙がおありなら」
            「私は行くが、君は平和に」

  ドリーブ  「ラクメ」より「おいで、マリカ」
  デッラクァ 「ヴィラネル」
  ドリーブ  「カディスの娘たち」
  オッフェンバック 「ホフマン物語」より
            「森の小鳥は憧れを歌う」
            「見ろ、震える弦の下で」
            「舟歌」「フィナーレ」
   アンコール ベッリーニ 「平和の天使」
           「舟歌」

           ソプラノ  :幸田 浩子
           メゾソプラノ:林 美智子
           ピアノ    :冨平恭平
                      (10.10@しらかわホール)

前半は、白いドレスの幸田さんと紺の林さん。
ヘンデルのデュエット曲は、「メサイア」の合唱曲と同じ旋律のもの。とても馴染みやすい。
そして林さんの歌う「オンブラ・マイ・フ」に幸田さんの「リナルド」の名旋律。
ふたりの伸びやかな声がホールに響き渡り、疲れたので目を閉じて聴いていた。
前半のハイライトは、林さんの歌うセストのアリア。ただでさえ素晴らしい音楽に、林さんの豊かな声量に温もりある声にしびれました。

後半、ピンクのドレスは幸田さん、白にグリーンの花をあしらったドレスの林さんが現れ、これからフランスものが始まるという華やかなムードに一新された。
誰もがうっとりとしてしまう、これまた名旋律の「ラクメ」の二重唱は、私の好きな曲。
ソプラノとメゾが艶やかに溶け合うロマンティックな歌声に聞き惚れてしまう。
どうせなら、ゾフィーとオクタヴィアンの二重唱も聴きたいよ・・・。
 あと素晴らしかったのが、林さんの歌った「カディスの娘」の魅力的な中声部の輝きと、幸田さんのオランピアのアリアの完璧なまでのテクニック。その技巧が鼻に付かず、豊かな音楽性に裏打ちされ、まるで微笑みを伴なったかのような暖かさを感じるのが幸田さんの素適なところ。
林さんの中音域と幸田さんの高音域。この二つはとても美しいと思った。
日本人的な繊細さと細やかな神経のかよった美しさ。
冨平さんのピアノは、ニュアンス豊かで見事なもの。オランピアのネジも回してます。

後半は、歌がホールを熱くしてしまい、ブラボーも飛び交って会場に一体感もうまれ、私の席のハンデも気にならなくなってしまった。
ビジュアルばかりでない、豊かな音楽性と、気さくで明るいお二人の人柄が感じられるステージマナーにも感心したいいコンサートでした。

帰りを気にしなくていいだけに、オジサン心が大いに芽生え、持参した林さんのCDに加え、幸田さんのモーツァルトを購入してサイン会の列に並んでしまった。
ドキドキしながら順番を待ち、いよいよ私の番に。
緊張しながらも、林さんに「横浜のオクタヴィアン素適でしたよ!」とお話をしたら、にこやかに「ありがとうございます」と。
そして、幸田さんには「こんど、お二人で、ばらの騎士やってくださいよう」とおねだりしたら、「4年前にやったんですよ。文化会館で、ねぇ、(みっちゃん)」とか、ほんと明るく話していただきました。「またやってくださいね。楽しみにしてますね」と私。
ミーハーっぽいけど、お父さん嬉ちぃ。日本語が通じるってのはえぇね(あたりまえか)。
11月に、幸田さんのシェーンベルク「ピエロ・リュネール」を聴く予定、これ必聴!

おふたりの過去記事

 「ばらの騎士」 林さんのオクタヴィアン
 「ナクソスのアリアドネ」 幸田さんのツェルビネッタ
 「地球はマルイぜ」 林さんの武満ソングス

おまけ(小さいですぞ)

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コメント

初しらかわホールですか。
確かにサイドバルコニー席は見づらいですね。安いのでつい買ってしまいますけれど。
正面席なら名古屋で最も素敵な音響であります。

林さんの武満、買いました!

投稿: ピースうさぎ | 2008年10月12日 (日) 06時03分

ピースうさぎさん、コメントありがとうございます。
このホールのバルコニー席には難儀しました。
せめてお値段を安くしてくれればよかったのですが・・・。
音はなかなかよかったです。
また、名古屋でコンサートにあたることを期待しています。

林さんの武満ソングス、ご感想を期待してますね。

投稿: yokochan | 2008年10月12日 (日) 16時37分

こんにちは。新国立の上の方も全く同じです。手摺りの隙間から見る感じ、おまけに身を乗り出す人がいるので閉口してしまいます。その点、紀尾井ホールは素晴らしい造りでした。
幸田さんのFM番組は良く通勤途上で聞きますが、とてもチャーミングな方ですね。でもビブラートが私の好みから外れて聞き苦しく思っています。林さんのリサイタルはBS2で初めて観ましたが、力もあり素晴らしい歌唱でした。

投稿: ご~けん | 2008年10月12日 (日) 21時07分

ご~けんさま、コメントありがとうございます。
新国もそうですね。私は出遅れた場合、比較的大丈夫な両サイドの前列を取るようにします。でもストレスたまりますね。
紀尾井ホールは未体験ですが、そうおっしゃられると気になりますねえ(笑)

さて、幸田さんのこの日はさほどビブラートは気にならなかったです。彼女の大阪弁はいいですね。笑瓶さんとの掛け合いも楽しいです。
林さんも聡明かつお茶目な方のようです。
日本人歌手も実力と容姿がともに伯仲してきましたね。

投稿: yokochan | 2008年10月13日 (月) 21時02分

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