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2008年10月25日 (土)

日本フィルハーモニー演奏会 尾高忠明指揮

尾高忠明指揮の日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演を聴いた。

      モーツァルト  交響曲第35番「ハフナー」
 
      三善 晃    交響三章

    ラフマニノフ  交響曲第3番

     尾高忠明 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
                     (10.25 @サントリーホール)

Odaka_jpo 渋いプログラムに、土曜の昼公演なのに観客は7割の入り。
私は、尾高さんのラフマニノフ狙いで、前半の演目は席についてプログラムを見てから思い出したくらい。
実は、このところ出張と飲みが続き、寝不足に加え、午前中も早めに仕事があったものだから体が重い。昼食を取らずにサントリーホールへ行き、大急ぎで「トゥーランドット」のカフェで食事をした。それにしても、ここは美味い。リーズナブルに店の中とほぼ同じ味が楽しめる。ふむふむ・・・。
なんていって喜んで、ホールにすべりこみ、モーツァルトの柔らかい響きに身を委ねた。
ところが、なんたる不覚。ものすごい睡魔に襲われてしまった。
お隣さんは、開始そうそう爆睡。ホールのそこここで、就寝中の方がいらっしゃる。
そんなホールを見渡す目も、尾高さんの優しい指揮ぶりを見る目も、ぼぅ~っと霞んでくる。いかんいかんと思いつつ、2楽章のアンダンテなどは、揺りかごに抱かれるような気分に誘われる・・・・。
それにしても、すばらしく気持ちのいいモーツァルトじゃあないか。
そんなことをうつらうつら思いつつ、終楽章を迎えてしまい、ここでようやく目も耳も復活。
おお、終わり良ければ云々で、和やかで優しいモーツァルトでございました。

次は初めて聴く三善晃の音楽。
1960年の日フィルの委嘱作で、初演は渡邊暁雄。
3つからなる形式の異なる章で、交響曲ではない。
当時とすれば、大胆で斬新な音楽であったはず。
ここに至って私も耳も全開。実に面白い音楽に、目と耳はきょろきょろ。
ゆったりと始まって、そのテンポを崩さないまま音楽は巨大化してゆく1楽章。
早いテンポで終始活力に溢れた2楽章は、シェーンベルクを思い起こさせる。
これまたゆっくり静かに始まる3楽章は、変奏曲形式で、とりわけヴァイオリンのピチカートから各弦部にそれが拡がり、全オーケストラでクライマックスを築く圧倒的な様相が素晴らしい。最後は、静かに消え入るようにしてこの緻密な音楽は終了した。
息を飲むようにして聴き入ってしまった・・・、が、しかし最後のピアニッシモで、爺さんが極めて大きな咳を音楽にかぶるように二発もした。
こりゃぶち壊しだったなぁ・・・・・・。でもオケが実にうまいもんだった。

後半は、尾高さんも、聴くわたしも充分に手の内に入ったラフマニノフ
ピアニストとして多忙を極めたことから、有名な2番の交響曲から30年も経過して作曲されたこの3番は、ラフマニノフの心の中のロシアを作品にしたものと自身語っている。
1936年のストコフスキーによる初演は、オーマンディも指揮したかったらしい。

2番についで、わたしはこの交響曲の魅力に取り付かれた。
そのきっかけは、FMで放送されたマゼールとベルリンフィルの演奏で、カセットに録音して、冬の最中、毎日ホットウィスキーを飲みながら聴いたもんだ。
ほどなく、そのコンビのレコードが出て、キレのいい録音とベルリンフィルの名技に参ってしまった。
CD時代も、たくさんの音源を揃えたが、尾高さんとBBCウェールズのものは、ノーブルで明晰な演奏でかなり好きな1枚だ。
実演では、エド・デ・ワールトと読響の素適な演奏を聴いたことがある。

 さて、今日尾高さんの日フィルとの演奏は、より自在でしなやかな演奏で、テンポもCDより速め。
3楽章ながら、緩徐楽章の2楽章の中間部にスケルツォ的な部分も挟まるところから、4楽章形式とも見立てることもできる。
また、冒頭の旋律が各章で回顧されることから、全体を見通す構成力も問われる曲。
その点における尾高さんの指揮ぶりは、まったく見事なもので歌に溺れず最後のクライマックスに向けて緻密な組立てを築きあげていたと思う。
それでもエルガーやラフマニノフを指揮する尾高さんのいきいきとした動きは毎度目を見張るものがあって、いつものイカダンスのような指揮ぶりにも熱が入る。
そして、終楽章のコーダの盛り上がりは、アッチェランドを巧みにかけて、CDとはくらべものにならない、圧倒的なものであった。
曲ゆえか、そのあっけない終結ゆえか、会場の拍手はやや盛り上がりに欠けた感あり。
私は一人、心の中でブラボーを叫んだものだ。

ラフマニノフ3番と、尾高さんのラフマニノフ、過去記事

「ワルター・ウエラーの3番」

「尾高&BBCウェールズの2番」

「尾高&東フィルの2番」

Rakhmaninov_3_odaka

尾高&BBCウェールズ響のラフマニノフ全集から第3番。
カップリングは、交響詩「死の島」。
お得意のグレゴリオ聖歌のモティーフがくどいくらいに鳴る。ジャケットのベックリンの絵にインスパイアされた作品。
マゼールのレコードもこの組み合わせだった。

 

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